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人生などクソ喰らえだ。だったらその人生を嘲笑えばいい。


これは、俺が小さい頃、地元のヤンキーに言われた言葉。


そして、俺が救われた言葉だ。


人生がクソならばもう笑って思うつぼにはハマらせない。それが俺があの時に決め生き方。誰にも邪魔は差せない。



俺は桃瀬 らん。高校2年生。ただの高校生。


俺に母が居ない。小さい頃、俺を産んでしまった後悔、妬みから衰弱してこの世を去った。


父は、1人になった俺を血が繋がっているからしょうがなく引き取った。


だから、俺には本当の家族はいない。形だけの家族が俺の世界。嫌われていようが、興味を持たれてないまいが、関係ない。


ただそこには形だけある。それでいい。それが普通だ。


父は毎晩暴力、暴言、などなど俺にぶつける。別に痛くない。だってそれって普通だろ?俺の家族のカタチ。なんとも思わない。


でもある時、父が再婚すると言い始めた。俺は驚きも喜びも悲しみも無かった。ただそこには、無関心だけが残った。




コンコン


家のドアがノックされる。ああ来たのか、と父はドアを開けに行った。


義母「あなたがらんくん?」


らん「はい」


義母「そう、よろしくね」


意外だった。父が俺のことを話すだなんて。まあ、話してなかったら今頃再婚なんてしてないか。


父「遠いとこからで疲れたろ?早く入りな」


義母「まあ、ありがとう。あなたたちも早く来なさい?」


あなたたち?連れ子いたのか。というか、何人いるんだ?


そんなことを考えていると、続々と5人の兄弟が入ってきた。


らん「…」


こいつらが兄弟か。まあ、関わることは無いだろう。なぜなら父が手を出すからだ。どうせそうだ。関わったところで何日もつか。


兄弟でも個性豊かのようだ。1人は睨み警戒し、1人は泣き、1人は怯え、1人は守りの体制、1人は隠れている。


ああ、仲がいいんだな。


そんなことを無意識に思った。すぐに自分の中で訂正し、この5人を後にした。



義母「改めて、よろしくね。らんくん。さ、自己紹介しなさい。」


父「楽しみだなあ」


いるま「ちっ」


すち「…ギロ」


なつ「…ブルブル」


みこと「…」


こさめ「…泣」


兄弟たちは見事に無視を決めた。これに父が切れたかと思いきや、義母がキレた。


義母「あなたたち?さっさと言いなさい?」


父「まあまあ、緊張しているんだろ。年長者として、らん、自己紹介しなさい。」


まさか自分に来ると思ってなくてびっくりした。それと同時に父が俺の名前を知っていたことに驚きが隠せなかった。


ただ、無言は流石に殴られるからここらしておく。


らん「桃瀬らんです。高校2年生です。」


義母「まぁ!大人っぽいわね」


らん「ありがとうございます。」


空っぽの言葉をただ機械のように吐き捨てる。


義母「ほら、早く」


いるま「いるま。順番にすち、なつ、みこと、こさめ。」


長男らしき子が不機嫌に言った。顔は綺麗でまだ、人間性は保っているんだなと感じた。


人目見ればあの子たちが虐待を受けていたなんて丸わかりだ。


でも可哀想だなんて思わない。〇ななくて運が良かったねぐらいにしか思わない。


父「じゃ、これからよろしくね。」


普通、漫画ではここから波乱万丈の展開になる。でも俺はそうはいかない。主人公のように勇敢でもなければ、人が何が嫌で何がいいかなんて俺には分からない。


俺は空っぽだから。


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