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父「らん、この子達に案内してあげろ」
父は聞いた事のないような優しい声色で言った。俺は驚くのをやめて一言返事をした。
らん「2階がみんなの部屋だから」
誰も返事はしない。俺のことを警戒しているのだろう。俺は気にしない素振りを見せ、部屋割りを言った。
一通り終わった頃、黄色い髪の子が怯えながらも言った。
みこと「あ、案内、ありがとうございました。」
らん「うん」
面倒だったから一言で返したら紫の子が怒り出した。
いるま「おいっ!なn」
みこと「いるまくん!大丈夫だから」
この子が遮るのが意外だったのか、兄弟みんな目を見開いている。俺はと言うとさっさと部屋に戻りたかった。
みこと「あの、な、なんで、そんな睨んでるんですか?」
らん「は?」
久しぶりに怒りというものを感じた。虐待を受けてて痛みを感じないとは言ったが感情がない迄ではない。
俺だって喜怒哀楽はある。ただ、普通は面倒なのであまりしない。
そんな俺が怒りを感じた。なぜならば、睨んだ目、という言葉は俺の中で父のことを指す。この状況でそれが言われたら父と同じになる。
そんなの耐えられない。
らん「俺が親父と同じだっていいてぇの?」
みこと「ち、ちが」
らん「あんなやつと一緒にするなんて目が腐ってんじゃねーの」
すち「そんな言い方ないですよね。この子、まだ10歳ですよ。」
らん「年なんざかんけーねぇよ。」
すち「なっ」
らん「いいか、よく聞け。あんなクソ親父と二度と同じ扱いするな。」
らん「あ、あと、その兄弟ごっこ続けたきゃあいつに近づくなよ。俺は忠告した。あとは自己責任だ。」
そう吐き捨て、俺は部屋に戻った。振り返らず戻ったので顔は見れてないが、呆然としていたことには間違いない。
まあ、俺には関係ない。豪に入れば郷に従え。父が暴力をあの兄弟にしようがしまいが関係ない。
あの兄弟は5人兄弟なのだから。
夜が深くなり俺は父の部屋に向かった。父のサンドバッグにならないといけないからだ。
そうじゃないともっと酷くなる。
俺はすぐにドアをノックした。父からは「早くしろ」という怒りのような苛立ちのような返答が返ってきた。
父「お前、俺が再婚したからっていい気になんなよ?お前は俺の一生のサンドバッグだ。」
今更だ。そんなの分かってる。今になって逃げたいだなんて思う気力もない。
父「おい、俺はその目が大嫌いって言ったよな?似てんだよ、お前の母親に!」
らん「ゲホッぐっ」
父「おいおい困難でへばんなよなっ!」
らん「あ”“いっつ」
父「喋るな。お前は一生道具なんだから。」
ああ、まだ終わらないのか。今日は長いな。相当俺の目が嫌だったんだな。
昔から父は言う。俺の目は母に似てると。気持ちが悪いと。俺だってこんな目嫌いだ。俺はこんな両親の血が流れてる自分の身体が嫌いだ。
父「おい、拭いとけよ」
小一時間ぐらいたって開放された。今回は顔にも傷があった。顔は目立つからやめて欲しい。そんなことを言ったって聞いてくれないのは分かってる。
そんなことを考えながら、俺は寝た。怪我の治療もせず。
朝起きて、リビングに向かうとご飯が用意されていた。全部で6つ。両親は朝早くから会社でいない。となると、あと一つは誰だろうか。
らん「朝ごはんなんて初めて見た…」
そんなことを口にしてしまった。すると緑の髪の子が驚いたように、
すち「ご飯、食べたことないの?」
と俺のことが嫌いなはずなのに話しかけてきた。俺はなんて答えていいかわからない。
朝食なんて今まで見たことがなかったし、自分では作れない。しかも昨日のこともあり何も言えなかった。
すち「これ、あなたのです。」
らん「ごめん、たべない」
すち「そうですか」
緑の子は少し暗い顔をして淡々と答えた。罪悪感はあったがしょうがないと自分の中で割り切った。
俺が食べたって勿体ないだけだ。
このままリビングにいてもしょうがないと部屋に戻った。
少し時間が経つにつれ、笑い声や話し声が聞こえた。本当に仲の良さが滲み出ている。それはそうだろう。
一目見てわかった。前の父親か母親の彼氏のどちらかに暴力を振るわれていたのだろう。じゃないとあの怯え様と警戒心。何より沢山の絆創膏が物語っている。
一般の人から見たらあの5人は可哀想と思われるだろう。心にもないくせに同情されるだろう。でも俺は思ってしまう。
らん「羨ましいな…」
だって俺はどんなに暴力を振るわれたって慰め合える人はいないのだから。