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episode2「はじまり」
何もしなくても、目から雫が溢れ出ていく。
時々、KAITOさんたちが心配をしてか様子見に来てくれる。
でも、その人たちのことなんかまるで頭に入らなかった。
「レイナ……」
「ギュッ」
ただ、こうすることしかできなかった。
「朝ごはんだよ、食べよう!」
したから声が聞こえる。
「ここに持ってきて」
私はつきっきりで看病している。なぜなら他のメンバーはバイトで忙しいからだ。
「レイナちゃん、看病俺が代わるよ」
KAITOさんに看病を任せ、自室のベッドに寝転んだ。
「やっぱりドナー不足なんだね、絶望笑」
家の中が、だんだんと暗くなっていく。
痛みに苦しんで、顔を歪める翔くんのことはこれ以上見たくない。
就寝前に部屋へ向かうと、彼は珍しく笑顔を見せていた。
「痛いの、なくなった」
「うそ…でしょ…」
全身の力が凍りつくように失われていく。私はその場にどさっという音を立てて倒れた。
「な、何があったの?!」
下から誰かが呼んでいる。なろさんだろうか?
「レイナちゃん、起きて!」
体を揺さぶられて私はようやく起きた。
「翔くんが、痛いのなくなったって…」
「え…じゃあ…」
その場にいた全員の表情から、色が消えていた。
明日に向けて、覚悟を始めなくてはいけない。