テラーノベル
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「……お母、様……?」
私の喉から出た声は、酷くひび割れていた。
目の前で無惨に破り捨てられた本のページが、まるで雪のようにひらひらと床に舞い落ちる。
「言ったでしょう、リリス。許可を出す権限が、あの男のどこにあるのかって」
母の冷徹な声音が、耳の奥に嫌な熱を持って反響する。
私は激しい眩暈に襲われ、たまらずその場に膝をついた。床に散らばったページの破片に、私の震える手が触れる。
カサリ、と乾いた音がした。
手のひらに絡みついてきたのは、紙の破片ではなかった。血の通わない、冷たくて長い、ベージュ色の髪の毛の束。
「お父様……? 私のお父様は……」
「そんな男、最初からこの家にはいないわよ」
母は私のすぐ目の前まで歩み寄ると、影で私をすっぽりと包み込むように見下ろした。
私の心臓が、ドクドクと、壊れた時計のように激しく打つ。
お父様はどこにもいない。私に優しい言葉を囁き、外出を許可してくれたあの笑顔は、すべて私の妄想だった。孤独に耐えかねた私の精神が、自分の長い髪を引き抜き、人形の形に編み上げて作り出した、ただの身代わり。
「気づいたかしら、リリス。あなたが無断外出をして、外の空気に触れるたびに、あなたの頭はそうやって壊れていくのよ」
母は冷たく微笑み、私のズキズキと痛む左頬を、今度は愛おしそうにそっと指先で撫でた。
その手の甲には、お父様の薬指にあったものと全く同じ、奇妙な█の紋章が、鈍く黒光りしていた。
「あなたは私の最高傑作。この完璧な家の中で、死ぬまで私の可愛いお人形として、同じ一日を踊っていればいいの。……さあ、その薄汚い抜け殻を片付けなさい。明日もまた、楽しい休日が始まるわよ」
母の冷たい足音が遠ざかり、部屋の扉がカチャリと固く閉ざされる。
一人残された薄暗い書斎で、私はズキズキと痛む頬を抑えながら、ただじっと床に散らばった自分の髪の毛を見つめていた。
その時。
私の胸元から、ハラリ、と一枚の紙切れが落ちた。
それは、お母様に破られた本の中に、最初から挟まれていた名もなき「貴方」からの、あの手紙だった。
母親の支配に染まったこの家の中で、その手紙の文字だけは、私の知らない青いインクで、必死にこう書き殴られていた。
『リリス。騙されるな。君のいる世界は──これで七回目のループだ。次こそ、僕が君を』
AK@アキ
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#ミステリーかもしれない
ねぎとろ
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#何かがおかしい
夢喰【文月村】
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コメント
4件
神作の予感
あっループものだったんだこれ!? お母様側にも何か事情があるのかな〜と思ったら思ったよりご執心だったし思ったより娘さんしか無かった…と言いたいけどループものなら一応お父様は居たのかな? イマジナリーフレンドが何かしらの拍子に力を得たとか別の事情があれば分かんないな どこまで把握してるんだろう
わぁ…そーゆーことかこれ…