テラーノベル
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スタートーー❗️
東京の朝は、いつもと変わらず動き始めていた。
しかし、その街のどこかで、一人の少女が姿を消している。
その事実だけが、コナンの胸に重くのしかかっていた。
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毛利探偵事務所
机の上には、美月のカメラが置かれている。
阿笠博士が慎重に調べながら言った。
「本体には異常はない。」
「だが……SDカードだけが抜かれとる。」
コナンはカメラを見つめた。
「犯人は写真そのものじゃなく、データだけを持ち去った。」
灰原が腕を組む。
「つまり、美月さんが撮った何枚かの写真に価値があった。」
「でも、犯人はどの写真か分からなかった。」
コナンはうなずく。
「だから本人まで連れ去ったんだ。」
蘭は不安そうに窓の外を見る。
「美月さん……無事だよね。」
コナンは静かに答えた。
「きっと。」
「犯人の目的は身代金じゃない。」
「だったら、美月さんはまだ必要な存在だ。」
⸻
倉庫
薄暗い部屋。
小さな窓から差し込む光で、美月は部屋を見回していた。
壁は古いコンクリート。
天井には配管。
隅には木箱。
(工場……?)
耳を澄ませる。
遠くから低い機械音が聞こえる。
さらに、数分おきに響く汽笛。
「船……?」
美月は小さくつぶやく。
(港の近くなのかな。)
その時、扉が開いた。
昨日の男が食事を運んできた。
「昼食です。」
美月は男を見つめる。
「あなたたちは、本当に私を傷つける気はないの?」
男は少し考え、答えた。
「そのつもりはありません。」
「なら、帰してください。」
男は首を横に振る。
「それはできない。」
「写真が見つかるまで。」
その言葉に、美月は静かに息を吐いた。
(やっぱり……。)
⸻
警視庁
目暮警部たちは、防犯カメラの映像を調べ続けていた。
高木刑事が声を上げる。
「警部!」
「事件現場から三キロ離れた交差点です!」
画面には黒いワゴン車。
ナンバーは泥で隠されている。
しかし。
「止めて。」
コナンが映像を指差した。
ワゴン車の後方。
小さなステッカー。
白いイルカが描かれている。
「レンタカーじゃない。」
「港湾関係者の許可証だ。」
佐藤刑事が驚く。
「じゃあ港へ向かった?」
「可能性は高い。」
⸻
美月の挑戦
男が部屋を出る。
カチャリ。
鍵が閉まる音。
美月は静かに立ち上がった。
部屋の中を改めて調べる。
木箱。
ロープ。
古い新聞。
その新聞の日付。
『七月二十日』
今日は七月二十三日。
(少なくとも三日前までは人がいた。)
さらに壁を見る。
白い粉が付着している。
指で触る。
「……塩?」
その瞬間。
美月の表情が変わる。
(港だ。)
(海の近く。)
彼女は窓から見える景色をもう一度見る。
遠くにクレーンがゆっくり動いていた。
「やっぱり……。」
(私は港の倉庫街にいる。)
⸻
コナンの推理
一方、コナンは河川敷へ戻っていた。
夕日に照らされた草。
カメラが落ちていた場所。
そして。
「……ん?」
地面に、小さな銀色の破片が落ちている。
拾い上げる。
「これって……。」
阿笠博士がのぞき込む。
「SDカードじゃないの。」
「いや。」
コナンは首を振る。
「SDカードケースの一部だ。」
つまり。
犯人は現場でカードを抜き取った。
しかし、その時――。
「慌てて落とした。」
「だからケースだけ残った。」
コナンの目が鋭く光る。
「犯人は予定外のことが起きて焦っていた。」
「ということは……。」
「現場を誰かに見られたんだ。」
⸻
謎の電話
その夜。
毛利探偵事務所の電話が鳴る。
「もしもし?」
蘭が受話器を取る。
ノイズ混じりの声。
「……写真を探すな。」
「探せば……。」
通信が乱れる。
その直後。
小さな声が聞こえた。
「……蘭さん。」
蘭の表情が変わる。
「美月さん!?」
しかし電話は切れた。
コナンは受話器を取り、録音を聞き返す。
「待って。」
「今の音……。」
背景に聞こえる低い汽笛。
そして、一定間隔で鳴る鐘。
コナンは地図を広げた。
「この鐘の音……。」
灰原が静かにつぶやく。
「港湾地区の時報じゃない?」
コナンは勢いよく立ち上がる。
「場所が絞れる!」
「美月さんは、東京湾の倉庫街にいる可能性が高い!」
その頃、美月は窓の外に浮かぶ月を見上げ、小さく微笑んだ。
「コナン君なら……。」
「きっと、この音に気づいてくれる。」
彼女は決して希望を失ってはいなかった。
そして、夜の倉庫街では、黒いワゴン車が静かにエンジンをかける。
「移送の準備を始めろ。」
「探偵が近づいている。」
男たちの冷たい声が、海風に消えていった。
⸻
――第二章 終――
次回・第三章「東京湾チェイス」
コナンは港湾地区へ急行し、美月がいると思われる倉庫を突き止めます。しかし犯人グループは一歩先に動き出し、美月を別の場所へ移送しようとしていました。東京湾を舞台に、コナンと犯人たちの緊迫した追跡劇が始まります。
コメント
3件
良かったです!第二章、一気にスケールが広がりましたね。美月が塩や汽笛から自分の位置を推理するところ、冷静で賢い子だなと思いました。コナンが現場でケースの破片を見つけて「犯人は誰かに見られた」と気づく流れも、伏線が効いてて好きです。電話越しに汽笛と時報の鐘を頼りに場所を絞る展開は、ミステリの醍醐味って感じでした。次回の東京湾チェイス、楽しみです!