テラーノベル
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スタートーー❗️
夜の東京湾。
冷たい海風が、埠頭(ふとう)に並ぶコンテナを静かに揺らしていた。
港に設置された大型クレーンが赤い警告灯を点滅させ、遠くでは貨物船の汽笛が低く響いている。
その光景を見つめながら、コナンはスケートボードを足元に置いた。
「間違いない……。」
「ここに美月さんがいる。」
⸻
港湾地区・第七倉庫
目暮警部たちは、港の地図を広げていた。
「鐘の音と汽笛が一致する場所は?」
高木刑事が答える。
「第七倉庫周辺です!」
佐藤刑事が無線を取る。
「全員、包囲を開始してください!」
パトカーの赤色灯が静かに回り始める。
しかし、コナンだけは何か引っかかっていた。
(静かすぎる……。)
(もし犯人がプロなら。)
(警察が来ることくらい予想している。)
その時だった。
港の奥からエンジン音が響く。
ブォォォン!
黒いワゴン車が勢いよく飛び出してきた。
「逃げた!」
高木刑事が叫ぶ。
「追え!」
⸻
倉庫の中
その少し前。
美月は窓の外を見つめていた。
すると、廊下から慌ただしい足音が聞こえる。
「警察だ!」
「予定変更!」
「急げ!」
扉が勢いよく開く。
黒いスーツの男が二人飛び込んできた。
「移動する!」
「立って!」
美月は落ち着いて男たちを見た。
「……どこへ行くんですか?」
「質問するな。」
男はそう言いながらも、美月の手首を強くつかむことはしなかった。
その様子を見て、美月は気づく。
(やっぱり……。)
(この人たちは私を傷つけるつもりじゃない。)
だが、逃げる機会は逃さない。
廊下へ出た瞬間、美月はさりげなく髪留めを床へ落とした。
小さな星形の髪留めは、薄暗い通路の隅で静かに光っていた。
⸻
「博士!」
「頼む!」
阿笠博士が頷く。
「任せるんじゃ!」
コナンはターボエンジン付きスケートボードに飛び乗る。
スイッチを押す。
ギュイィィン!
勢いよく加速したスケートボードが埠頭を駆け抜ける。
前方では黒いワゴン車が急カーブを曲がる。
「逃がすか!」
コナンはアクセルを開く。
夜風が頬を切る。
コンテナの間を縫うように走り抜けるスケートボード。
ワゴン車との距離が少しずつ縮まっていく。
⸻
車内。
美月は静かに窓の外を見つめていた。
橋を渡る。
コンテナ。
巨大なクレーン。
赤い倉庫。
(場所を覚えよう。)
ポケットには、小さなメモ帳。
男たちが前を向いた一瞬。
美月はページを一枚だけ破り、
小さく丸めて窓の隙間から落とした。
風に乗った紙は、道路脇へ舞っていく。
(お願い……。)
(誰か見つけて。)
⸻
コナンはワゴン車の後ろへ追いついた。
その時。
後部ドアが少しだけ開く。
「!」
中が見えた。
美月だ。
彼女もコナンに気づく。
「コナン君!」
二人の目が合った。
美月は小さくうなずく。
“私は大丈夫”
そう伝えるような笑顔だった。
しかし次の瞬間。
バン!
後部ドアが閉まる。
ワゴン車は急加速した。
⸻
コンテナヤード
前方。
大型トレーラーが道を塞ぐ。
「まずい!」
ワゴン車は細い隙間へ突っ込んだ。
コナンも迷わず飛び込む。
タイヤが火花を散らす。
「うわっ!」
あと数センチでコンテナに激突するところだった。
その瞬間。
ドォン!
大きな衝撃。
ワゴン車が横転したように見えた。
だが。
「違う!」
煙の中から現れたのは、同じ黒いワゴン車が二台。
「入れ替わった……!」
犯人はコンテナの陰を利用し、車を交換していたのだ。
コナンは歯を食いしばる。
「どっちだ……!」
⸻
星形の手がかり
その時。
蘭が叫んだ。
「コナン君!」
道路に、小さな星形の髪留めが落ちている。
コナンはそれを拾い上げた。
「美月さん……。」
裏には、小さく文字が刻まれていた。
『M』
コナンは優しく握りしめる。
「これは……。」
「わざと落としてくれたんだ。」
「まだ近くにいる。」
その時、灰原が静かに言う。
「もう一つ見て。」
髪留めには白い粉が付着していた。
コナンは指で触れる。
「……石灰?」
博士が考え込む。
「港にはこんな粉は少ないのう。」
コナンの目が輝く。
「違う。」
「これはセメント工場の粉だ!」
「移送先は港じゃない!」
「東京湾沿いの工業地帯だ!」
⸻
ラストシーン
一方、走り去るワゴン車の中。
男たちは無線を受ける。
「第一倉庫は警察に包囲された。」
「第二地点へ向かえ。」
「了解。」
美月は静かに窓の外を見つめていた。
(コナン君。)
(髪留め、気づいてくれたかな。)
その頃、コナンは星形の髪留めをポケットへしまい、静かに微笑んだ。
「ありがとう、美月さん。」
「君が残した手がかりは、ちゃんと受け取った。」
スケートボードに再び乗る。
エンジンが唸りを上げる。
「必ず助け出す!」
夜の東京湾へ向かって、コナンは走り出した。
⸻
――第三章 終――
次回・第四章「閉ざされた工場」
コナンたちは、美月が残した新たな手がかりから、東京湾沿いの廃セメント工場へたどり着きます。しかし、そこで待っていたのは巧妙な罠と、事件の黒幕へつながる新たな謎でした。一方、美月も監禁場所からの脱出を試み、犯人たちの目的に少しずつ近づいていきます。
コメント
1件
みぅ🤍🥀です。読んだよ、第三章「東京湾チェイス」……っ! 夜の港の雰囲気と、コナンのスケボー追跡、めっちゃ映像が浮かんだ……! 特に美月が髪留め落とすとことか、小さい紙を窓から落とすところ、状況をちゃんと理解してるキャラだなって思ってじーんとした。強くつかまない犯人たちの態度も気になるし、入れ替わったワゴン車のトリックも好き。石灰粉の伏線も効いてる。 次が楽しみすぎるよ、工場編……! 美月ちゃん、無事でいてほしい……🥀