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小松田は署名を書いてもらったら
すぐに鈴井蘭助を保健室にまで連れていった。
「失礼します!誰かいませんか!?」
小松田は鈴井の腕を方に回し空いている方の手で力いっぱいに襖を開けた。保健室の中には6年は組善法寺伊作と3年は組三反田数馬と一緒に薬の整理や包帯を巻いていた。血相を変え保健室に入ってきた小松田を見て状況を素早く理解し処置の準備を始めた
「怪我人を早くこちらへ、数馬は….」
すぐに指示を出していた伊作だったが怪我人の顔を見て驚愕する
「蘭助、なのか、?」
「はい、鈴井蘭助です。
というかこれ見た目はあれでも
殆どふさがってるんで大丈夫ですよ」
伊作の表情とは裏腹に鈴井の顔はあの頃と同じ絵に書いたような笑顔をしていた。
しかしその体には縄で縛られたあとや切り傷など至る所に痛々しく、その中でも腹のところに大きく抉られたような傷跡があり塞がれたものではあったが処置が荒く跡が色濃く残っていた
「こ、これが大丈夫なわけあるか!?」
「小松田さん、新野先生を呼んでください、」
「わ、分かった!」
「す、ずい、せんぱ、い」
伊作の怒りの隠せない荒々しい声、
驚きを隠せないのと同時に悲しい気持ちを思いながら新野先生を探しに行く小松田、
久方に見た先輩の姿にガタガタと震える 手を
隠しながらも顔が真っ青になる数馬
どれもこれも鈴井の表情とは逆と言っていい程の状況であった。
「なにが、あったんだよ、」
普段の伊作の言葉とは思えない荒々しい言葉遣いに鈴井は戸惑いを持った
「伊作先輩、?本当に大丈夫ですよ? 」
「そんな顔しないでください」
鈴井は本気で戸惑っていた。
なぜなら彼にとってこの怪我はなんとも
思えないほどに傷つけられた記憶が酷く、
日常のひとつになりかけていた状態だったからだ。
鈴井蘭助は冬休み、春休みを含め4年生最終試験からずっと姿を消していた。教師達、生徒達含め伊作は静かに死んでいたと思っていたことに酷く自分を殴りたい感情に苛まれた。
この日小松田秀作は至る所で転けながらも新野先生を探す姿を見て重症の怪我人が要ることを全ての人が悟るだろう。
しかしその怪我人が学園の人間だと知るのは
3日後の話になる。