朝いつものように妹に起こされ、歯を磨き顔を洗い、リビングで家族と朝ご飯を食べた。
妹と父を見送り、その日は3限があったので、母に昼前に出て行くことを伝え、自室戻って少し寝る。
スマホのアラームが鳴り、嫌々起きる。服を着替えて大学へ行く準備を整える。
ベッドに腰を下ろし、スマホのホームボタンを押す。妃馬さんからの通知。
「おはようございます。今日は来ますか?」
正直妃馬さんと会い、仲良くなってだいぶ経つので、こういうメッセージにも慣れてはいた。
慣れてはいたが、やはりドキドキはするものだ。
通知をタップし、妃馬さんとのトーク画面へ飛び、返信を打ち込む。
「おはようございます。行きますよ」
なんとなく淡白かな?と思ったが変に付け足すのも違うと思ったし
妃馬さんからスタンプが送られていないのにスタンプを送るのも違うと思ったので
その文だけで送信ボタンをタップする。大学の3限の講義は13時からなので
僕の場合、1時間少しを考慮しないといけないので12時前には家を出ないといけない。
アラームに起こされ、着替えも済んだが、まだ出るには時間があったので
ベッドに寝転がりながらサティスフィーでミステリーのゲームをする。
基本的にノベル型のミステリーゲームでストーリーがおもしろく、推理パートもおもしろい。
字を読み、絵を見て進めていく。マップ画面になり
自分で行き場所を選択する画面だったので一旦スマホを手に取り、ホーム画面を押す。
妃馬さんからの通知。読もうとしたが時刻が目に入る。11時47分。
時間の過ぎる早さに驚き、荷物を持ち、ドタバタと慌て、階段を下りて
洗面所で寝癖チェックをする。幸い寝癖はなかった。
一度玄関へ顔を出し、母に行ってくると一言かけ、玄関へ行く。
靴を履いて母と挨拶を交わし、音楽を聴きながら駅へ向かう。
駅につき、ホームに入り、電車に乗る。大吉祥寺駅で降り、電車を乗り換える。
大学の最寄り駅で降り、大学への道を歩く。
正門を通り過ぎ、コンビニでココティー(心の紅茶の略称)のストレートティーを買い
正門から大学校内へ入る。校舎への石畳の道を歩いていると
バァサッっと肩に腕が回ってくる感覚があり、前に少し蹌踉めく。パッっと後ろを向く。
笑顔の鹿島が視界内に入る。
「よっ!怜ちゃん!」
音楽の向こうから聞こえる鹿島の声。僕はイヤホンを外す。
「よっ」
「良かったぁ~怜ちゃんいて」
「いなかったら帰ってた?」
「うん…あ、いや匠ちゃんとかいても帰んなかったな」
鹿島の「とか」が気になってあえて踏み込む。
「森本さん「とか」もな」
と言うと鹿島は
「へ?なんのことかなー?」
と口笛を吹くフリをして、あからさまにとぼけて見せる。
「誤魔化し方へたくそか」
「まあそうね。森もっさん…いや森もっさんいても無理かも」
「なにが」
「いや、誘っちゃうじゃん?ついつい」
「じゃん?って言われても知らんけど」
「誘うの無理かも」
「は?一番最初に大学で会ったとき、誘ってご飯行ったって言ってたろ」
「いやぁ~そうなんだけどさぁ~」
ふにゃふにゃになって絡みついてくる鹿島。
「なんだよ」
「冷静に考えたら無理くない?あんな可愛い子」
「たしかにオーラパナいけどな」
「でしょでしょ?」
「最初思い出せば行けんちゃうん?」
「あんときはなんだろうね。こう…なんだろう。勢い?…でもないか…」
鹿島は自分の顔の前で両手で宙になにかを形作るような仕草をしながら悩む。
「わからん。なに?」
僕も鹿島の手の仕草を真似する。
「こう…こう…ね?」
「わからんて」
校舎の中に入る。
「講義室どこ?」
「知らんのかい」
「連れてってーパパー」
「はいはい。行きますよー」
鹿島を連れて講義室へ向かう。開け放たれた前の扉から中へ入る。
後ろのほうのテーブルのイスに綺麗な白髪がすぐに目に入った。
「匠ちゃんおるやん」
「おるな」
ざーっと見渡す。僕から見て右側、窓側に匠
その横の列、同じ列の僕から見て左側、扉、壁側の席に音成、妃馬さんの姿が見てとれた。
一番最初に音成と目が合い、音成が教えたのか妃馬さんの視線もこちらに向く。
妃馬さんと目が合う。ニコッっと笑い手を振ってくれる。僕も音成と妃馬さんに手を振り返す。
「森もっさんはぁ~…っと…」
「いなそうね」
「んん~…いないね」
「そんなじっくり見渡さんでもわかるだろ」
「まあね」
匠に近づく。
「おっす匠ちゃん」
「おっす」
「来たんだな」
「来ましたよ。眠い目を擦りながら」
「2限は?」
「出てませんがなにか」
匠が匠の座っているイスをテーブル側にひいてくれて
匠の座っているイスと後ろのテーブルとの隙間をなるべく空けようとしてくれていた。
鹿島はその隙間を通る。
「さすがっす」
僕も匠の肩を揉みながら隙間を通り、イスに座る。窓側から鹿島、僕、匠といった順番だ。
「匠ちゃん今なにやってんの?」
「これ?」
匠はサティスフィーを掲げる。
「そそ」
「今はね、Strange My Lifeっての」
「あぁ!知ってる知ってる!」
「あ、やっぱ鹿島知ってんだ」
「やったことはないけどね」
鹿島も僕もバッグからサティスフィーを出す。
「でも知ってんだ?」
僕はサティスフィーの電源を入れてあつまれせいぶつの森を起動する。
「一応オレの好きな実況者さんがやってるゲームとか
話題のゲームとかそーゆーのはやらなくてもチェックはしてる」
「さすがっす」
「でもやりはしないんだ?」
「そうねぇ~。オレ対戦系というかバトルアクションが好きだからさ
Strange My Lifeってストーリーじゃん」
「ストーリーじゃん?」
「そうね。ストーリーを楽しむ…というか世界観を楽しむゲームって感じかな?」
「もちろん実況で見たときは最高におもしろいって思ったけど
どっかで対戦というか、派手なアクション望んでる自分がいるんだよね」
「じゃあロボット系とか、トリック オア ストリートとかもやったりするん?」
「あぁ、うん。やるやる。トリック オア ストリートは5買って最初はまあまあやり込んでたよ」
「格ゲーってまた別のセンスが必要でしょ」
「まあね。ランクやってたけど、ある程度強いとは自負してたんだけど
それでもやっぱある一定ラインから全っ然歯が立たなくなってね。
格ゲー勢の壁を思い知ったよ」
「ロボット系もやんの?」
「あれはいいよぉ~?ストーリーもおもろいの多いし、好きな機体とか選べるし
自分で機体カスタム出来たりするゲームもあるし
いざ敵と闘うってなると、まあ厳しい敵もいたりするけど、結構爽快アクションなのよね」
「へぇ~。オレロボゲーは小学生の頃にちょっとやったくらいだな」
「オレも小学生の頃やってた気がする。たしかにそれ以降やってない」
「今度やってみ?案外ハマるで」
そんな話をしていると講師の方が入ってきて講義が始まる。
鹿島も匠も僕も講義が始まったというのに相変わらずサティスフィーをしている。
僕は一旦サティスフィーを一旦テーブルの上に置き、スマホをポケットから出す。
太ももの上でホームボタンを押す。妃馬さんからの通知。
「小野田さんも来てましたね。鹿島さんも」
通知をタップし、妃馬さんとのトーク画面へ飛び、返信を打ち込む。
「ですね。まさかマジで来るとは…w鹿島とは大学入ってすぐ会いました」
送信ボタンをタップし、トーク一覧に戻って電源を切り、画面を下にしてテーブルに置く。
「んで?そんなロボゲーが好きな鹿島は今なにしてんの?」
サティスフィーを太もも上に移動させて、あつまれせいぶつの森をプレイしながら聞く。
「いや別にロボゲー好きってわけちゃうで」
「ゲーム全般が好きね。はいはい」
「流すなよ」
「で?今はなにやってん?」
「今はねぇ~Dilapidated my buddyってやつ」
「ディラ…ん?なに?なにそれ」
「うぅ~ん。ロボゲー好きってわけじゃないって言っといてあれだけど、ロボゲー」
「ロボゲーじゃねぇか」
つい大きな声でツッコミそうになるが、めちゃくちゃ講義中なのを思い出して小声でツッコむ。
「えへへ」
「えへへって」
「カワイー」
匠がぼそっっと言う。
「え?マジ?ありがと」
「聞いた?匠の感情ない「カワイー」全然思ってないで?」
「え、嘘でしょ?」
鹿島が匠のほうを見る。僕も匠のほうを見る。匠はこちらに一瞥もくれずにサティスフィーを見つめたまま
「カワイーカワイー」
とまるで感情のない「カワイー」を言う。
「ほら」
「いや、オレにはわかる。匠ちゃんはガチで言ってるわ」
「ごめん。言っちゃ悪いけど、顔は匠のほうが可愛いで」
「えーんえーん」
「どんなゲームなん?それ」
「無視!?」
あつまれせいぶつの森で日課をしながら、鹿島が今やっているゲームについて聞く。
「ストーリーもおもろいゲームでさ、たまたまなんだけどね?
MyPipeのあなたへのおすすめで出てきたのよ。このゲームのトレーラー映像が。
グラフィックも良し、ストーリーもおもしろそう。
アクションも見た限りでは爽快。結構発売楽しみでこないだ買った」
「鹿島が楽しみってことは結構おもしろいんか」
「今んとこ最高。ストーリーヤバくて激アツ」
サティスフィーを一旦テーブルに置いてスマホを手に取る。
ホームボタンを押し、画面をつける。妃馬さんからの通知。
「ね!「たぶんね」みたいなこと言ってたのにw門くらいのとこでってことですか?」
通知をタップし、返信を打ち込みながら鹿島の話を聞く。
「激アツ」
「そうそう。主人公はね、最初はエリート中のエリートから始まるのよ。
でもあるミッションのときに自分の操縦ではないのに味方を攻撃してしまうんよ。
それでエリート部隊はおろか所属してる部隊からもクビ宣告されるんよ」
「まあ…ね?いますからね。妃馬さんの隣にw
ですね。急に肩組まれてヤベーやつ来たかと思いましたw」
送信ボタンをタップし、トーク一覧に戻り、電源を切ってテーブルに置く。
引き続き、鹿島の今やっているロボットゲームの話を聞く。
「でも自分の操縦じゃない。なのにあんなことが起きた。
納得できない。ってことになるんだけど、操縦できるバボも…。
あ、この世界ではロボのことを「buddy robot」略して「bubo(バボ)」って言うんだけど
主人公には操縦できるバボがないんよ。んでどうしようかって悩んでるときに
角から走って曲がってきた女の子ぶつかるんよ」
「ベタだなぁ~」
匠も話を聞いていたらしい。
「まあ、たしかにベタなんだけどね。で「痛ったいな」って悪態つかれて
「お前が飛び出してきたせいだろ」ってケンカになるかと思ったら
「あ!」って顔指されて「味方攻撃してクビんなった人じゃん!」って
主人公のこと知ってたのよ。まあ正直エリート中のエリートだから
ニュースとかで取り上げられるくらいだから知ってるのは不思議じゃないんだけどね?
「はいはい。どーも」って言って過ぎ去ろうとしたら
「うちの爺ちゃんがあれは明らかにおかしいって言ってたよ」って言われて
話を聞くとその女の子のおじいちゃんはバボマニアで
しかもそんじょそこらのバボマニアとは違って設定値とか機体操作感
操縦席なんかにも詳しくて、その女の子の家行くことになってね?
んでおじいちゃんと話すわけよ。そしたら「あのときどんな小さなことでもいいから
違和感はなかったか?」って聞かれて思い出したら
いつもより操縦席から操作したときにバボに反映されるまで、ほんの少しだけラグがあったことを思い出して
おじいちゃんにニュース映像を見せられたのよ。まあ主人公からしたら見たくもない映像だけどね。
んで、いつも活躍して良いニュースのときの映像とその味方を攻撃したときの映像を見比べさせれられるのよ。
でも主人公はバボにはあんまり愛のないやつでさ。違いが全然わかんないわけよ。
したらおじいちゃんが説明するわけ「首とか膝がわかりやすいんだけど
恐らく重さが違って、味方に攻撃したときのほうが
いつもより関節の隙間が狭い」って言われたの。ま、言われて見てもわかんないんだけどね。
で、そのおじいちゃんが言うには「恐らくいつもはないパーツが組み込まれていて
ボディーが重くなって関節の隙間が狭くなってる」って
「そのパーツのせいで操縦にラグがあって、そのパーツのせいで暴走したんだろう」って。
んで、そこからそんなことをした犯人を見つけようとするんだけど
いかんせんバボもない、関係者でもない人は施設内にも入れないし
内部事情もわからないわけ。そしたらそのおじいちゃんが
「ついてこい」って。で、ついていったらおっきな倉庫にサビサビのバボがあったんだよ。
「こいつをお前さんにやる」って。「ただし、こいつには「愛」を注ぐこと。
お前さんはエリートだったかもしれんがバボに関して「愛」が足りない。
「愛」を注げば今よりもっと強くなれる」そう言われて
そのバボのカードキーを受け取るところでタイトルロゴどーん!って」
あつまれせいぶつの森の日課をやりながら話半分で聞いていたものの、たしかにおもしろそうだった。
「へぇ~おもろそう。今どこまでいってんの?」
「今はね、だいぶパーツ開発できるようになって、前の同僚と会ったとこかな」
「それ進んでんの?」
「わからん。でもまだまだだと思う。だってまだ攻撃した同僚にも後輩にも
先輩も会ってないし、上司とも会ってないし、主人公を嵌めたやつとも会ってないから」
「そっか。ストーリー的には主人公嵌めたやつを探して…ってのが主軸だもんな」
「そうそう。で今は前の同僚。
あの事件のときは一緒の部隊ではなかった同僚と会ったとこだから、まだまだ全然よね」
「オレもやろうかな」
匠が呟く。
「おぉ!おもしろいよ!
特に匠ちゃんストーリー重視のゲーム好きそうだから、たぶんハマると思う」
「アクションは?難しくない?」
「難易度設定あるし、ノーマルでも割と簡単…よ?」
「歯切れ良くなかったな」
「いやぁ~いかんせんオレもまだ全然進んでないからさ。
この先激強のボスとか出てくるかもしんないし」
「あぁ~ね」
「怜ちゃんもやれば?」
「うん。気にはなってる」
「でも残念ながら完全オフラインゲームだから通信はできないんだけどね」
「あ、そうなんだ。ロボゲーってオンラインあるもんだと思ってた」
「MyPipeの紹介動画でもオンライン対戦追加希望のコメント結構あったわ」
「コメントも読んでんだ?」
「新しいゲームとかは読んでるね。ナンバリングタイトルは読まない。
ネタバレあるかもだし、楽しみにしてたいからね」
「なんで新しいのは読むん?」
「それこそナンバリングタイトルかもでしょ?だとしたら、1からやりたいじゃん?
だからコメ欄で先輩たちを探してる」
「ゲームに関してはマジでガリ勉なんだよなぁ~」
「そんな褒めんなってぇ~」
「いや、まあ、割と褒めてるかも」
「お…い?え?あ、そうなの?思った返答じゃなくて調子狂うわ」
あつまれせいぶつの森での日課を終え、スマホを手に取り、ホームボタンを押す。妃馬さんからの通知。
「あ、あぁ。なるほどですねw
鹿島さんテンション高めですからねw」
通知をタップし、妃馬さんとのトーク画面へ飛び、返信を打ち込む。
「十中八九音成目当てで来てるんでしょうねw
チャラ男日本代表みたいなやつですからねw」
送信ボタンをタップする。電源を切り、テーブルに置く。
サティスフィーに視線を落とすが、あつまれせいぶつの森の日課はこなしてしまったし
なにをしようか考える。もう一度スマホを手に取り、ホームボタンを押し
ホーム画面に行き、Hoogle(ホーグル)で検索ワードを打ち込む。
「でぃらぴ」
と入れると予測ワードに
「ディラピレイテッド マイ バディー」
と出てきたのでタップする。すぐにゲームのタイトルと
nyAmaZon(ニャマゾン)での値段が出てきた。
「え、たっか」
7,980円。しかも発売日は本当につい最近だった。
「え?あぁこれね。まだ全然高いよ」
「いくらー?」
匠が僕のスマホ画面を覗く。
「ほぉ~」
「いや匠からしたら安いだろうけど」
「いや高いよ」
「発売されてすぐなんて大体8,000くらいするで」
「まあ、それもそうか」
「ちなみにオレは予約特典ありのプレミアムエディション買ったんだぁ~」
「さすが過ぎるな」
と言って、検索結果で出てきたnyAmaZon(ニャマゾン)をタップする。
するとnyAmaZonでの検索結果で予約特典付きのプレミアムエディションも出てきた。
つい大きな声が出そうになり、ベタに左手で口を覆う。
「たっ!」
「か」すらも出なかった。2万4,600円。
「これ買ったん!?」
「え?予約特典ありだからないでしょ?…あ、売ってんだ?あ、いやこんな高くはない。
オレが買ったときは1万9,000とかかな?2万はいかなかったよ?」
「転売だから高くなってんのか」
「もっと高くなるかもね」
「限定版だから?」
「そうそう。初期のバボと主人公とヒロインとじいちゃんのフィギュア付きで
追加コンテンツのコードもあって値段にしては豪華だから。ヤバいと思う」
「こっから?」
「うん。割と爆発するかもね」
「じゃ、オレ予約特典付きプレミアムエディション買おー」
「いいなぁ~金持ちは。オレふつーのですら躊躇ってるわ」
そんな会話をしながら、妃馬さんから返信が来たら返信していた。
「キャ─(´∩ω∩`)─♡こっちも照れますねw
チャラ男日本代表の割に大学には来ないんですねw」
「わかりますw親友の恋愛事情は知っておきたいけど、むず痒くなるというかw
たしかにwナンパもしたことないっていうしw」
「そうそう!ほんとキャ─(´∩ω∩`)─♡って感じになりますw
へぇ~したことないんですね。意外」
「わかりますわかりますw言葉にできないけど、こう恥ずかしくて、でも嬉しい感じw
らしいですよ。友達が相手にされなかった話聞いて、笑ってたって聞いたことありますw」
「そうそう!もちろん嬉しいんですけどね?w
鹿島さん友達に頼まれそうなもんなのに」
「そうそうw嬉しさ圧勝だけど、なんかムズムズする感じw
よく頼まれたとは言ってました」
「わかるわぁ~w
あ、やっぱり?」
「やっぱり音成ともそーゆー話するんですね?
でも断ってたって」
「しますします。3日に1回くらいでグループ電話するんで、そのときにいろいろ話しますね。
なんでなんだろ」
「仲良いなぁ~w
単純に勇気なかったらしいですよ」
送信ボタンをタップする。
「えぇ~今回はこ こ ま で に します。えぇ~お疲れ様でした」
講師の方が講義の終わりを告げる。
「あ、いつの間に終わってた」
鹿島が驚く。
「同じく」
匠も感情が今ひとつ伝わらないが驚いたらしい。
「ヤベー。ディラマイおもしろー」
「ディラマイって略すの?」
「知らん」
「ストマイおもしろー」
「ストマイって略すん?」
「知らん」
「なんやねん」
鹿島と匠が笑顔になる。
「帰りまっか」
「せやな」
「あーい」
全員で帰る支度を整える。といっても全員テーブルの上にノートすら出しておらず
サティスフィーをバッグにしまってポケットにスマホを入れるだけで済んだ。
自然と音成と妃馬さんに近づく。
「おーとなしさーん!きーさきさーん!かーえりまーしょー」
「小学生か」
無邪気な鹿島の笑顔に思わずツッコむ。
「帰りましょ」
「へーい」
音成と妃馬さんも帰る支度を整える。5人で駅までの道を歩く。
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