テラーノベル
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何時から好きになったかと聞かれたら、u20の時の顔合わせの時だったか。所謂一目惚れというものだろう。彼奴が他の人に向ける笑顔に狡い、自分だけに向けて欲しいと感じた。そうだ
u20vsブルーロックの試合が終わったあの日、知りたくない事を知ってしまった。彼奴は潔世一に一目惚れしている事を。何処までも彼奴は俺から離れていくんだ。いや、まだ方法はある。少しずつ周りから狂わせていけばいい。
u20とブルーロックの試合の後からずっと潔の事が頭から離れられない。自分より1つ歳下の男なのにあのシュート、熱意。全て俺に突き刺さった。これが一目惚れなんだろうな……。
だが問題は歳の差だ。1つ違いと言い、俺は潔世一に恋愛的な意味で惚れてしまったのだ。凄くかっこよかった……。
まさかその後日のオフで潔に会うと思わなかった…。カラオケという暗い空間だったから俺が顔真っ赤になっていたのは誰も気づいてない。その後なんだっけ……。ボーリングへ行ったんだ。試合のあのかっこよさと違い年相応の可愛さがありこれがギャップ萌えなんだろう。そこにも好きになってしまった。でもその後潔が帰ってしまったのが凄く寂しく感じた。
もう少し居たかったな……。
「おい、どうした閃堂」
「んぇ?」
愛空に声掛けられてたのに気が付かなかった。普段なら有り得ないことだ。
「なんかずっとボーッとしてるからさ…具合悪い?顔赤いし」
え、嘘。俺顔赤いの?潔にバレてない…よな?バレてたら嫌だな……。
「なぁ、ほんとにどうした?何時もの元気がねぇじゃねぇか」
「そうだぞ閃堂〜。お前らしくない」
他のメンバーからも言われてしまった。これは誤魔化すしかないよな……。大丈夫だと口開こうとした時
「んー、たしかにめっちゃ熱くない?流石に帰った方いいんじゃない?」
「冬だし悪化したらやばいぞ」
残ったブルーロックのメンバーにも言われてしまった。そんなにやばい?流石に帰った方が良い気がしてきた。
「ん……もしかしたらホントに風邪引きかけてるかも。流石に帰るわ」
「送っていこうか?」
「ん、大丈夫。ありがとな愛空」
ブルーロックのメンバーとも連絡先交換して帰ることにした。やばいな、まだドキドキしてる。私服の潔も良かったな……と考えながら歩いてたせいか前の人にぶつかってしまった。
「あ……ごめんなさ……」
「閃堂?」
「え、冴?」
そこにはもうスペインに戻ってるであろう冴がそこにいた。なんでここに?と思ったがまだスペインに帰る予定が無いだけなんだろう。でもどうしてここにいるんだろう。
「……スペインに戻ってないのかよ」
「なんだ、戻って欲しかったのか?」
「あ、いや……そういう訳じゃ……」
なんだろう、普段の俺じゃない。恋愛は人を変えるって言うのは正にこれなんだろうな。なんて言おうか迷ってる時におでこに何か当たった。温かい?
「え……なにしてんの」
「顔赤いからな、寒いのかと思って」
どうやら額に当てられていたのは缶のココアだった。さっき買ったばかりだろうか、結構温かい。今の俺は熱いのか寒いのか感覚がちょっと分からなくなっていた。でも思ったのが
「…お前、普段イケすかねぇのに優しいんだな」
「ふぅん、じゃあこれは要らないか」
そう言いながらココアを取り上げられて仕舞った。別にそんな風に言ったつもりなんて無い。
「そういう意味じゃねぇよ。意外だなって話。それ俺にくれんじゃねえの?」
「素直に欲しいって言えよ、へぼ」
「ヘボ言うな!もう試合終わっただろ!」
久しぶりに大声を出したせいなのかわこらないがふらついてしまった。やばい、受け身取れない……。痛みが来るのを目を瞑りながら待っていたがなかなか来ない。そのまま目を開けたら冴が俺のことを支えてくれてたみたいだ。
「体調悪いのに一人で出歩いてんのかよ」
「あ、えっと……それは……はい」
もう体調悪いにしてしまえ。訂正するのさえ面倒に感じた。恋の病だから体調不良と言ってもおかしくないはずだ。
「はぁ……それならそう言え。近くに俺が泊まってるホテルあるから来い」
「え」
俺いいよなんて一言も言ってないのにぐいぐいとそのまま導かれるような冴の泊まってるホテルへ辿り着いた。こいつ、意外と強引か?いや強引な男だこいつ。でも優しいのかもとちょっと思い始めていた。
漸く、漸く近くに連れてこれた。でも心はまだ俺に近づいてない。もっと近づけなければ……。俺はこいつにとって今欲しいであろう言葉を放った。
「なぁ、閃堂。」
「んぇ、何?」
「お前、潔世一が好きだろ」
そうするとどうだろうか。さっきも顔を真っ赤にしていたのに茹でダコのように顔を真っ赤にしている。うっすらと湯気も見えるレベルに。言葉が出ないのか口をパクパクさせていた。その姿にとても可愛らしく感じて、早く自分がその口を塞いでやりたかったが、今やってしまえば折角距離を詰めたのが台無しになってしまうか我慢だ。
「え、あ……なん……おま」
「バレバレだっての」
「え……あっ……え?」
凄く混乱してる。それさえも凄く可愛い。想いを向けてるのが俺じゃないのが腹立つが。まぁ、いい。それも少しずつ変えてしまおう。
「まぁ、落ち着けって。な?」
そう言いながら俺は閃堂……いや、秋人の背中を摩った。呼吸を整えるために。
暫くすると落ち着いたのか普通に喋れるようになっていた。もう少しあの時間が欲しかったが仕方ない。
「ありがとう、冴……死ぬところだった」
「まだ死ぬんじゃねぇよ」
「分かってるって」
呼吸が安定して来たが、過呼吸を起こしかけていた影響か口から少し唾液が垂れていた。舐めとってしまいたい衝動を抑えつつ、近くにあるティッシュで拭き取ってやった。子供扱いするな!と言っていたが子供なんて可愛いものじゃない。恋人だ。まだなってないけど。
「まぁ、落ち着いたなら話せよ。スッキリするかもしれねぇだろ」
「これってそういうもんなん?」
「……そうじゃねぇか?」
「知らねぇで言ったのかよ。お前って面白いな」
漸く俺にも笑ってくれた。よかった。死角にカメラを仕込んでおいて。あとからじっくり見よう。それは後にして本来やるべきことをする。それはこいつの潔に対する恋心を聞き、それをアドバイスしていく。そうすれば自然とコイツは心を開いて
俺色に染まっていく。
「ほら、言えよ。他の人には言えねぇだろ」
「え!?あ、うん……」
その後は嫉妬に狂いそうになった。何故あの男、潔世一に惚れてしまったのか。全部俺で良いじゃねぇかよ。あんなガキに秋人を渡す訳にはいかない。というよりさせない。でも幸せそうに話す此奴はほんとに可愛い。話の内容は置いておいて。
「じゃあ、これからは俺がお前の潔トークに付き合う」
「え、いいのか?迷惑じゃねぇの?」
「いや、全く?それとお前に惚れさせるようなコーデとか見繕ってやるよ」
「ほ、ほんとか!?」
凄く眩しい。まだ完全に目線は俺じゃないけども。その眩しい顔も、幸せそうな顔も早く俺の物にしてしまいたい。そんなドロドロとしたものが俺の中に溢れていくのが分かる。あぁ、俺はもう引き返せない。
その後、本当に冴は何でもしてくれた。
毎日会ってくれて、俺の話を聞いてくれて、コーデも一緒に考えてくれた。最近潔にも
「最近の閃堂さんって、めっちゃお洒落ですよね」
そう、褒められたのだ。それがあまりにも嬉しくて、心が満たされていった。でも冴と1つ約束していることがある
『俺との関係は口外するな』
当たり前だろうな。そんな事言ったら信頼を失いそうな気がする。潔の事が好きだから……。
「あ、そう言えば」
「ん?」
「この前のオフ、俺帰ったあと閃堂さんも帰ったって聞いたんですけど体調大丈夫でした?」
「え、あ、あぁ……大丈夫だったぞ。ちょっと火照っちゃっただけ……」
そうだった、そう言う話になって俺帰ったんだった。また少しぼーっとしていたら、蜂楽に後ろから抱きつかれた。
「閃ちゃーん!この後暇?」
「え、うん。用事は……ないけど」
「じゃあさ、この後皆でご飯行くんだけど2人も行こーよ!」
どうやら、前もご飯に行こうか話になったけど、俺と潔が居なかったら別の日にしようとなったらしい。今日もそんな感じに遊ぼうと言うので来ていたのをすっかり忘れていた。潔と居れて嬉しいのが勝っていたからなんだろうな。
「あぁ、行く行く!」
「OK〜!伝えてくる!」
そして、蜂楽は俺から離れて玲王達の所へ行った。そう言えば彼奴、冴は来るのだろうか。来てくれなかったら、心臓が破裂しそうだ。早く話を聞いて欲しいと思っている。近くにいると安心してしまう気持ちに疑問を持っている。
可笑しいな。好きなのは潔なのに。
なんて思ってるんだろうな。秋人や他の人から見えないカフェからずっと見ていた。この前あげたブレスレットに盗聴器とGPSを付けているから会話も、場所さえも分かる。
あぁ、ほんとに邪魔だな。潔から離れて愛空達の所へ行った秋人。何を言い始めるのだろうかと思えば
『なぁ、冴は誘うのか』
まさかそんな言葉が聞けるなんて思いもしなかった。もう少し時間かかるものだと思っていたからこんなにも早く来るとは。すると、スマホが振動した為確認する。あのキャプテンからだ。内容はさっき話していた食事会の事だろう。
当然の通り参加すると返事をする。今日の夜が楽しみだなと思いながらカフェの窓から秋人だけを見ている。
夜になり、指定された店へ向かえば秋人と目が合った。他の人から離れてすぐ俺の元に来て、袖を引っ張られた。
「なぁ、席隣に座ってくんない?」
「……あぁ、いいぞ」
どうやら潔を視界に入れたくないようだった。壁側の席で俺の左隣に秋人が座っていた。何故かその隣が凛だったが。そこは気にしない。そこからはいつもの通り話を聞いていた。周りに人がいるから小声だったが。
「……っていう感じになったんだ。お前には感謝してるよ」
「……そうか」
話の大半は潔だった。もうそれだけで嫉妬で腹が煮えくり返る。ふと凛の斜め前に座っている潔へ殺気を向けてしまった。こんな幸せそうな秋人を見て彼奴は何とも思わないだろうし、思ってないだろうな。何故なら、秋人は俺が好きだと言う認識を周りにさせているようなものだ。
当の本人は気づいていないがな。
殺気を向けすぎたのか潔がこちらへ気づいて直ぐに目を逸らした。だが、それも直ぐに終わる。少し話を聞いていなかったから、秋人が袖を引っ張って来た。
「……おい、聞いてる?」
「すまん、少し考え事してた」
「へぇ、お前にもそんな事あるんだな」
初めて知ったといいながら微笑んだ。本当に可愛い。もうこの時点で二人で抜け出したいけどそれはできない。此奴はここに残るって言うだろうし。すると、秋人の隣に座っていた凛に肩を叩かれ、そちらに目線を向けると『外へ来い』と合図された。仕方ないと思いつつ
「少し風に当たってくる。すぐ戻る」
「ん?あぁ、わかった」
2人して外へ出た瞬間、凛に壁へ追い込まれた。
何でお前がキレてんだよ。俺はお前のせいで秋人との時間が潰れたから内心キレていると言うのに。
「あんた、何考えてんだ」
「……なんの事だよ」
「あんた、あの閃堂って男に何かしてるだろ」
「その何かってなんだよ、言ってみろ」
「他の奴ら気づいてねぇけど、バレバレなんだよ。あの服装やらアクセとかあんたの好みの奴だろ」
まぁ、此奴にはバレるよな。わかってはいたが。兄弟というのは面倒だなとここで感じてしまった。誰にも気づかれないようにはしているのに弟にはバレるのだから。
「だとしたらどうする?それは俺の勝手だろうが」
「あんたが良からぬ事考えてんじゃねぇかと思って聞いてんだよ」
「服装に関しては彼奴から望んだことだ。自分に合うのがいいと所望していたからな」
「……。」
暫く睨み合っていたら、店の扉が開いた。よく見知っている髪色。秋人がそこに居た。まさか会話聞かれてないよな。
「あ、そんな所にいたのかよ。そろそろ解散だから戻ってこいってさ」
「……あぁ、わかった。ほら戻るぞ、凛」
「……。あんたのやってる事は人としてどうかしてる」
「……好きに言え」
周りからどう思われようが俺にはどうでもいい。隣に俺しか見えてない秋人が居れば他はどうでもいいんだ。弟の凛さえも。
その帰り、相談したいことがあると言われいつもの俺のホテルへ2人で向かった。多分また潔関連だろうな。でもそれも今日で終わりだ。もう準備は整っているのだから。
「相談ってなんだよ」
「……あ、えっと…。そろそろ潔に告白しようかなと思って……していいと思う?」
やっぱりな。そろそろ言うんじゃないかとは思っていたからショックは受けない。むしろ計画通りではある。俺は笑顔で言った。
「……あぁ、そろそろしていいんじゃないか?行ってこいよ」
「…!そ、そうだよな……!来週……してくる
…。応援してくれるよな?」
「あぁ」
ほんとに何処までも気づかない秋人に愛おしさが溢れてくる。こんな純粋な奴が壊れる瞬間はさぞいいだろう。純粋な奴ほど壊れてしまえばこっちの物だ。
そして、後日告白しに行った秋人は思いっきりフラれてしまった。まぁ当たり前だがな。
『だって、お前好きなのは冴だろ?』
潔に言われた言葉はもう聞こえていないだろうな。さぁ、最後のひと押ししに行くか。カフェの席から立ち、秋人が向かったであろう場所へ向かう。
フラれてしまった。まさかフラれるなんて思わなかった。潔のあの後なんて言ったかなんて知らない。『え、俺の事好きだったの?ごめん付き合えない』これ以降の言葉は俺の耳には入って来なかった。俺はフラフラと近くの公園のベンチに座っていた。まるで空も泣いてるかのように雨が強く俺に打ち付けていた。傘なんてないからびしょ濡れだ。
すると急に当たっていた雨が止まった。いや、防がれた。誰だろうかと思い顔を上げたらまさに今近くにいて欲しかった男、糸師冴がいた。
「ずぶ濡れじゃねぇか。風邪引くぞ」
「さ、さえ……」
そのまま泣きながら冴へ抱きついた。冴の服が濡れているのも気にせずに。そのまま抱き締めてくれる冴の温もりが今の俺にとっては救世主のようだった。子供のように泣いてしまっているのに何も言わずに背中を摩ってくれる。これがすごく心地よく感じた。
「……まずホテルいくぞ」
「……っ、う、ん」
そのまま俺は冴に引っ張られながらいつものホテルへと向かった。
ホテルに着いてからは温かいお風呂に居れてくれたのと新しい下着をくれた。服は自分たちのサイズが同じな為冴のシャツを借りた。凄く落ち着く匂いだ。
髪まで乾かしてくれた冴は本当に優しいなと思った。あまりのショックでほとんど動けない俺に何も言わずにしてくれている。
「……フラレちまったんだな」
「……うん。向こうは俺の気持ちに全く気づいて無かったって……」
「それはショックだっただろうな。寒かっただろ、これ飲め」
そう言いながら冴はココアをくれた。入れたばかりなんだろう、湯気が立っていた。俺はそれを受け取り少しずつ飲んで行った。冷え切った心に凄く染み渡るその温かさに溺れていくような感じがした。凄く身体が熱い。
「……なぁ」
「ん?」
「お前の気持ちに気づかないあんな男より、俺を選べよ」
「え……」
え、何を言ってるんだ此奴は。冴を選ぶ……?なんで…?俺失恋したばかりなのに……?困惑していると彼奴の手が俺に絡まってきた。まるで恋人のような掴み方で。
「俺はあんな奴より愛してやれる。お前の好きもなんでも受け入れられる。一生離さないし、離れさせないと誓う」
「え、あ……え…?」
「なぁ、お前は本当はどっちが好きなんだ?お前の気持ちに気づかない潔か。ずっと近くに居続けた俺と……」
そう言われた時何かがハマったかのように納得してしまった。俺は潔じゃなくて
「なぁ、どっちだ?秋人」
その声は凄く甘ったるしい声だった。俺が出した答えは
「……お前だよ、冴。お前の愛で全部染めてくれ」
「……あぁ、勿論」
そう言いながら俺は冴にキスをされた。それは凄く心地よく、ずっと身体が望んでいたように思えたほど気持ちが良かった。
その後はする事をして、ぐっすり眠ってしまった秋人。俺がココアに仕込んでいた媚薬には気づかないでいてくれてよかった。
これで秋人は俺の物だ。
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