テラーノベル
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液晶画面の強い光が、暗い部屋の中に美咲の顔を白く浮かび上がらせていた。時刻は午前1時59分。美咲は掛け布団を首元まで引き上げ、歯の根が合わないほどガタガタと震えながら、スマホの時計を見つめていた。すべては1週間前から始まった。毎晩、午前2時ちょうどに届く、差出人不明のメッセージ。そこに添付されているのは、いつだって「美咲の寝顔」の写真だった。警察に泣きつき、管理会社に頼んで鍵を最新の電子ロックに換えた。窓には外から開けられない補助錠をつけ、専門業者を呼んで部屋中の盗聴器・盗撮カメラの検査も行った。
「カメラの電波もレンズも、一切検出されませんでした。安心してください」
昼間、そう言って帰っていった業者の言葉だけを心の支えにして、美咲は今夜の『その時』を待っていた。ピピッ。午前2時を告げる電子音が、静寂を切り裂く。同時に、手の中のスマホが「ブー、ブー」と重いバイブレーションの音を立てた。心臓が跳ね上がる。美咲は恐る恐る、通知をタップして画像を開いた。
「……嘘……嘘でしょ……っ!」
喉の奥から乾いた悲鳴が漏れた。画面に写っていたのは、いつもの寝顔ではない。今まさに、恐怖に顔を歪め、スマホの画面を見つめて震えている、リアルタイムの美咲自身の姿だった。カメラのアングルは、美咲の真上。完全に天井の中心から見下ろしている。その瞬間、頭上の薄い天井板が、ミシッ……と不自然にきしむ音がした。美咲の身体が完全に硬直する。スマホが再び震えた。
『やっと、目が合ったね』
美咲は息を止め、首が折れるほどの恐怖を感じながら、ゆっくりと真上の天井を見上げた。そこには、古いアパートに備え付けられた、四角い通気口の格子がある。暗闇の隙間から、血走った二つの人間の眼球が、爛々と輝きながら美咲をじっと見下ろしていた。ガタガタガタッ!天井板が乱暴に押し上げられ、男が今にも部屋へと這い出てこようとしている。猶予は数秒もない。美咲の脳内で、生存のための選択肢が激しく火花を散らした。
A 外へ逃げる
B 迎え撃つ
C ベッドの下で通報
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コメント
1件
らるあると あ、やば。これすごく好きです。 「やっと目が合ったね」のとこ、心臓止まるかと思いました。通気口の格子の奥から血走った眼球がこっちを見てる描写、情景が克明に浮かんでしまって……。 しかも写真が寝顔じゃなくて“今まさに画面を見て震えてる自分”のリアルタイム映像になってるのが、背筋が凍る仕掛けでした。A・B・Cの選択肢も、読み手を主体的に巻き込んでくる構成で惹きが強いです。続きはどのルートから読もうか、迷ってます。