テラーノベル
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パニックになりかける頭を、美咲は必死に冷静に保とうとした。今から外へ逃げても追いつかれる。戦っても勝てるわけがない。生き残る方法は一つ、警察を呼ぶことだけだ。美咲は極限の素早さでベッドから滑り降り、床とベッドのわずかな隙間へと這いずり込んだ。ここは元々、季節外れの布団などを収納するために、少し高めに設計されたベッドだった。スマホの画面を最小の明るさにし、音量をゼロにする。震える指で「110」を入力し、発信ボタンを押した。数秒のコールの後、オペレーターの落ち着いた声が聞こえる。
『事件ですか、事故ですか?』
美咲は口元を片手で強く覆い、限界まで声を押し殺して囁いた。
「たすけて……ストーカーが、今、部屋の天井から降りてこようとしてます。住所は、〇〇町のアパート……202号室、鍵はかかってます、早く、早く……っ!」
『分かりました。今すぐ最寄りのパトカーを向かわせます。そのまま絶対に声を出さず、安全な場所に隠れていてください』
「ドスン!」すぐ近くで、床が大きく鳴った。男が部屋に降りてきたのだ。美咲は通話状態のスマホを胸に抱きしめ、呼吸を完全に止めた。ペタ……ペタ……と、垢汚れで黒ずんだ男の裸足が、床を踏む音が聞こえる。音はベッドのすぐ横で止まった。
「あれぇ……? おかしいな。どこ行っちゃったの、美咲ちゃん」
男の声は、すぐ耳元で聞こえるほど近い。男は部屋の中を見回しているようだ。クローゼットが開けられ、中の服が乱暴に引っ張り出される音がする。
「いないなぁ。どこかなぁ、美咲ちゃん……」
その時、美咲の手の中で、スマホの画面が一瞬だけ明るくなった。新たなメッセージの通知だ。メッセージの送信者は――真上にいる、あの男。表示された文字は一言だけだった。『みーつけた』ヒッ、と息が漏れた瞬間、ベッドのシーツが乱暴に捲り上げられた。床に両手をつき、首を真横に90度曲げた男の顔が、ベッドの下に滑り込んできた。男の目が、美咲を捉えて三日月のように細められる。「こんなところにいたんだ。かーくれんぼ、終わり」男の長い手が、ベッドの下へ突っ込まれ、美咲の足を掴んだ。「ドガシャァァァン!!」その瞬間、玄関のドアが凄まじい音を立てて破られた。
「警察だ! 動くな!!」
通報を受けて近くを巡回していたパトカーが、わずか数分で現場に急行し、ドアを破壊して突入してきたのだ。
「うわあああ! 邪魔するな!」
暴れる男は、3人の警察官によって一瞬で床に組み伏せられ、金属音とともに手錠をかけられた。
「大丈夫ですか! もう安心ですよ!」
警察官に抱き起こされ、ベッドの下から救出された美咲は、激しい安堵からその場に泣き崩れた。その後、男は完全に隔離され、二度と美咲の前に現れることはなかった。美咲の部屋の天井は修復され、今では本当の平穏が戻っている。毎晩午前2時、スマホが鳴ることは、もう二度とない。
コメント
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うわ、めっちゃ怖かった……! 天井裏から降りてくるストーカーとかマジであり得ないし、「みーつけた」のタイミングで鳥肌立ったわ。でも警察の突入がめちゃくちゃナイスタイミングで、ホッとした〜。美咲がベッドの下に隠れて必死に声♡♡♡て通報するところ、臨場感がヤバかった。助かって本当によかった!