テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
高校生パロ 第三話
新章 第一章に注意事が書かれているのでまだ読んでない方は先に其方を読んでから此方を読んでください。
「ということで。」
怜が真面目な顔で言った。
「今日は会長の家で勉強会です。」
「決定事項なんだ……。」
瀬麗梛は苦笑する。
「もちろんです。」
「小テストで赤点なんて取らせません。」
「そこまでじゃないよ!」
「英語は危ないです。」
「うっ……。」
図星だった。
夕方。
瀬麗梛の家。
「お邪魔しまーす!」
元気よく入ってきた來執が、部屋を見回す。
「うわぁ……。」
「めっちゃ綺麗。」
「普通だよ?」
瀬麗梛が首を傾げる。
「普通じゃないです。」
怜が即答した。
「机の上、教科書しかありません。」
「いや、それ普通じゃない?」
「俺の部屋なんて服の山。」
瀬凪が笑う。
「それは片付けよう?」
隋星が冷静にツッコむ。
机の上には五冊のノート。
「じゃあ始めよう。」
瀬麗梛が教科書を開く。
「まず英語。」
「はい。」
怜が先生役になる。
「ここは現在完了です。」
「……?」
「えっと……。」
瀬麗梛の頭の上に、見えない「?」が浮かんでいるようだった。
「なんで”have”になるの?」
「うーん……。」
怜は少し考えた。
「例えば。」
「『宿題を終わらせた』じゃなくて。」
「『もう終わってる状態』を表す感じです。」
「おぉ!」
瀬麗梛の目が輝く。
「分かった!」
「さすが怜!」
「ありがとうございます。」
怜は少しだけ照れたように笑った。
一方その頃。
「瀬凪。」
隋星が数学の問題を指差す。
「ここ違います。」
「え?」
「本当だ。」
「なんで?」
「途中式。」
「あー!」
「なるほど。」
「隋星先生すげぇ。」
「先生じゃありません。」
來執はというと。
「会長!」
「国語教えてください!」
「いいよ。」
「この文章の主人公の気持ちが分からなくて。」
瀬麗梛は問題を読む。
少し考えてから笑った。
「たぶんね。」
「主人公は嬉しかったんじゃないかな。」
「どうしてですか?」
「この前の文章を見ると。」
「最初は一人だったでしょ?」
「でも最後は誰かと一緒に笑ってる。」
「だから安心したんだと思う。」
來執は目を丸くした。
「すごい……。」
「そういう考え方もあるんですね。」
瀬麗梛は照れくさそうに笑う。
「正解かは分からないけどね。」
その様子を見ていた隋星が、小さく微笑む。
(やっぱり。)
(瀬麗梛は、人の気持ちを考えるのが本当に上手。)
二時間後。
「疲れたぁ……。」
瀬凪が机に突っ伏す。
「休憩にしようか。」
瀬麗梛が立ち上がる。
「お菓子あるよ。」
「!!」
來執が勢いよく顔を上げた。
「何があります!?」
「クッキー。」
「チョコ。」
「ポテチ。」
「あとプリン。」
「最高。」
來執は満面の笑みだった。
リビング。
五人はテーブルを囲んでお菓子を広げる。
「いただきます!」
クッキーを頬張る來執。
「おいしい!」
「それ、市販だけどね。」
「会長がくれたから三倍おいしいです!」
「どういう理屈?」
瀬麗梛は笑った。
「そういえば。」
瀬凪がポテトチップスを食べながら聞く。
「会長って中学の頃から頭良かったよね。」
「いやいや。」
瀬麗梛は首を振る。
「英語は昔から苦手だよ。」
「でも数学は毎回一位。」
怜がさらっと言う。
「え?」
來執が固まる。
「一位?」
「え?」
今度は瀬麗梛が固まる。
「そんなことあった?」
四人は顔を見合わせた。
「また始まった。」
「会長の無自覚。」
「本人だけ覚えてない。」
「ある意味才能ですね。」
隋星まで苦笑する。
瀬麗梛は困ったように笑うだけだった。
帰り道。
すっかり日が暮れていた。
「今日は楽しかったです!」
來執が笑う。
「また勉強会しましょう!」
「次はテスト終わってからね。」
瀬麗梛も笑う。
「約束。」
「約束!」
五人は夕焼けの代わりに、街灯が照らす帰り道をゆっくり歩いた。
勉強した時間も、お菓子を食べた時間も、笑い合った時間も。
きっと何年経っても、忘れない。
そんな気がした。
**第三話 終**
99
天夏@100人目指し中
113
13
388
コメント
3件
わあ、第三話、ほっこりしました〜🤍 勉強会のシーン、それぞれの教え方の違いが出てて面白かったです。怜の“状態”の説明、すごく分かりやすくて私も「おぉ!」ってなりました。 來執くんが「会長がくれたから三倍おいしい」って言うの、素直で可愛いなあ。それから、瀬麗梛さんの無自覚な“できる人”エピソード、クセになりますね。 五人でお菓子をつまみながら笑い合う時間、きっと大人になっても宝物になりますよ。そんな優しい空気がじんわり伝わってきました🌷