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仁人が舜太の部屋から戻ってきた時、その表情を見て俺は安堵した。
「話せた?」
「うん、着いてきてくれてありがとう」
明らかに、行きよりも明るく落ち着いた声色に、俺も一緒になって緊張を解いた。
正直言うと、仁人を見送った時、再び仁人が傷付くようなことが起きてしまわないか、少しの間だったとしても二人を同じ空間に居合わせて良いのか、そんな心配が一瞬頭をよぎった。
その時は本気で舜太を殴ろうとすら心を固めていたが、それは杞憂に終わったようだ。
「帰ろう」
俺は、仁人の肩を軽く組んで、その場を後にした。
あの日から3ヶ月近くが経った。
俺たちはあいもかわらず、5人でのグループ活動に精を出している。
今日もグループでのバラエティ番組の撮影があった。
あれ以来、仁人と舜太との関係性は徐々に好転しているようで、今日の撮影の中でも自然な掛け合いを見せていた。
一つ変わったことと言えば、前以上に舜太の仁人に対する愛情表現がオープンになったことだ。
物理的なスキンシップはないものの、公然と、「ほんま、仁ちゃん可愛い」「好き!」など口にするし、仁人と絡む時の表情が恋する乙女もとい少年のそれになっており、動画に付くコメントでも度々ファンから暖かな突っ込みを頂戴している。
仁人も、舜太からのフリに、いつものようにうざったそうな表情を見せつつも、懐深く受け入れてみせるので、余計にファンたちが熱く湧き上がっているようだ。
そんな中、俺は仁人との距離感で思い悩んでいた。
あの日を境に、仁人とはこれまで以上によく二人で会っているし、二人の時には手を繋いだり、そういう雰囲気になればキスだってする。
仕事の話をしていたところから、甘い雰囲気に切り替わる時、仁人の目はトロンと溶けて、纏っている空気も柔らかいものになる。
その瞬間、俺は堪らなく気持ちが高揚して、少し自分勝手に仁人の唇を奪う時がある。
だけど。
口付けに夢中になりすぎて、上がる息を抑えられずにいる俺に、時折仁人が見せる緊張の表情。俺の中に雄を感じると、それまで擦り寄ってきていたのに少し距離を置こうとする。
トラウマ…
その度に俺の頭には、あの日嗚咽しながら苦しんでいた仁人の姿が蘇ってきて、冷静になれと時分に言い聞かせる。
仁人を大切にしたい。
だけども、もっとお互いを深く知りたい。
泣かせたくない、甘やかしたい。
全てを暴きたい。
自分の中にある葛藤に苛まれる日々に、毎回理性で感情に蓋をする日々に、
いつか限界を迎えた自分がどうなってしまうのかという恐れに、
頭の中が忙しい。
「はぁ…」
帰りの車の中、思わず漏れたため息に、乗り合わせた仁人が隣の席から反応する。メンバーを順に降ろした車には、俺と仁人の二人が残っていた。
「今日も疲れたねー、勇人大丈夫?」
#さのじん
自分夢の中
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「ん、…なぁー疲れたわー」
無理矢理話を合わせると、仁人はじっと俺を見た。
「勇人、明日久々オフじゃない?」
「あ、そうそう、やっとだわ…まじでいつぶりだろ」
「まじで、最近ありがたくも忙しすぎるよなー」
なんてことない会話。
昔からの馴染みのテンポが心地よい。
仕事からの束の間の解放も相待って、俺は少しだけ気分が上がっていた。
「勇人、この後暇なら俺ん家来ない?飯食おうよ」
「ぇ…っ!あ、ぁあ〜暇だし、行こっかな」
二人の時は、行きつけの店でご飯に行くのがいつもの流れだった。
突然の家への誘いに、俺は思わず声を上擦らせてしまう。視線を向けた仁人は、しかしいつも通りの表情で、特に俺の反応も意に介していないようだった。
他意がなさそうなその様子に俺は少しだけ肩を落とす。
しばらくして送り届けられた仁人の家。通されたエントランスを抜けて、エレベーターに乗り込む。それまで続いていた会話が一旦途切れて、俺は微かな気まずさを感じていた。
いつものように軽口が一つも思い浮かばなくて、仁人の部屋が近づくにつれて、緊張をしているのが自分でも分かってしまったからだ。
そんな俺とは対照的に、いつものスンとした表情の仁人は、普段通りの足取りで俺を部屋まで案内した。
ガチャリと内廊下に音が響き、仁人が扉を開ける。
「どうぞー」
招き入れられたそこは、仁人らしい落ち着いた色合いの部屋だった。
壁に飾られたポスターや絵画が彼らしさを表現していて、心地よく感じる。
物珍しいものでも見るかのように、じっくり部屋の様子を見ていると、仁人がぷはっと笑った。
「見過ぎだって!」
「いや、だって、お前ん家来るの初めてだし」
「確かに。あー、まぁ、ソファでも座ったら?」
自らもソファに座り、隣の席をポンポンと軽く叩いて誘われる。
ギシリ、と仁人が座った時よりも大きい音で俺はソファを軋ませた。
「はぁー疲れたねー、お疲れ様だわ。勇人何食べたい?もう頼んじゃおうぜ」
そう言って、自らのスマホ画面を俺に見せるように体を近づけてくる。表示されたアプリに様々な飲食店のマークが並んでいるのが見えた。
ふわりと仁人の匂いが鼻を掠める。
香りに誘われて、仁人に目を移すと、視線に気づいた仁人も俺を見上げた。
キスしたい…
ゴクリ、と喉が鳴ってしまった。
仁人にも聞こえていたようで、少し驚いた表情の後、耳をじんわりと赤く染めてみせた。
ゆっくり顔を近づけると、目を閉じて俺を受け入れようとしてくれる。そのいじらしさが堪らず、仁人に深いキスをした。
「ふっ…ん、はぁ…っ」
静かな部屋に、仁人の甘い声が響く。それだけで頭が気持ち良さに包まれた。
互いに顔の角度を変えながら、より深くを貪る。自然と背もたれに仁人を押し倒すような姿勢になり、白い手が俺の肩に軽く乗せられた。
「はやと…」
「仁人、舌出して」
「ん…、ぁやと…、ぁふ…っ」
舌を絡め取られながらも、俺の名前を呼ぶ姿に、俺は呼吸が早くなるのを止められない。
もうそろそろ離れないと。
これ以上はダメだ。
快楽を感じる一方で頭が警鐘を鳴らす。
離れ難い気持ちながらも体に力を入れて体を起こしかけると、仁人がパッと目を開けた。
いつもの溶けて潤んだ目元。
必死に理性で押さえつけている欲がムクムクと頭も持ち上げてしまう。
俺が己の欲望と葛藤していると、仁人は火照った唇を開いて言った。
「勇人…、もう、いいよ…?」
「…えっ?」
予想もしていなかった言葉に俺は一瞬動きを止めた。何度か聞こえた言葉を頭で繰り返す。
「いつも俺に気遣って、途中でやめてくれてるでしょ…?」
「俺、もう、、大丈夫だから…」
首まで赤く染め上げて、仁人は小さく、でもしっかりと言葉を紡いだ。
やっと、言葉の意味を噛み締めて、俺は体の中の熱が急速に上がって行くのを感じた。それでも、仁人を傷つけてしまうのが怖くて、彼の本心を探りたくて質問する。
「怖く…ない?」
聞けば、こくり、と頷かれた。
「勇人なら、怖くないよ…だから」
いいよ
仁人の言葉を聞き終わる瞬間、俺はその体をソファへ押し倒していた。
部屋の湿度は確実に上がっていて、窓がうっすらと曇り始める。
再びの深いキスをしながら、俺は下に組み敷いた体から上着を脱がせにかかった。ぎこちなくも、体を浮かせて、俺の意のままになる仁人。
「ぁ…っ、」
最後のTシャツを脱がせた時、鼻にかかった声が耳をくすぐった。
ぞくぞくと体中に甘い痺れが走り、俺は下半身が重くなるのを感じた。
「仁人、大事にするから…」
そう伝えると、顔を真っ赤にさせて、潤んだ瞳で見上げてくる。
「下もいい…?」
ボトムスのボタンを外すと、俺の声に応えて腰を少しだけ上げてみせる。
するりと引き抜いた先には、白い太ももが横たわっていて、その生々しさに俺はいけないものでも見てしまった気分で、思わず目を逸らしてしまった。
口を押さえてしばらく固まった俺に、心配そうに仁人が覗き込んでくる。
「勇人…?」
その顔もダイレクトに下半身に響く。
ゆっくり、優しいキスを落とすと、安心したように仁人は目を閉じた。
仁人の顔の横に付いていた手を、そろりと白い胸に置いた。ぴくりと分かりやすい反応が返ってきて、俺は口角が上がるのを何とか抑えた。
しっとりとした肌に指を這わせて、段々と胸の突起までたどり着く。最初は掠めるように、だんだんとしっかりと。
「っ…あっ、ん、ぅ…ゃあっ」
ピクピクと体を震えさせる。
初めての感覚に戸惑う姿が、可愛い。
これからもっと乱れるというのに、仁人は自分の口を手で塞いで、恥ずかしそうに声を抑えにかかる。
「仁人、、可愛い」
「ふっ…、ぅう…、ぁあっ!!」
思わず唇で吸い付くと、一際甲高い嬌声が上がった。
「気持ちいいの?」
聞けば、コクコクと頷かれる。
その素直な態度に、俺の手が止まらなくなる。
もっと時間をかけて安心させたいのに、気づいた時には下着に指をかけて下にずらしていた。早急に仁人自身に手をかける。
「…っ!」
突然自身を襲った刺激に、仁人は一瞬体を強張らせた。
「はや、と…」
「ごめん、仁人…大丈夫だから」
まるで自分に言い聞かせるかのように呟いて、俺はゆるく手を動かす。
手で口を押さえたまま、仁人の眉が悩ましく歪んだ。
「ぁっ、ぅう…、くふぅ…っ」
少しずつ汗ばんでいく肌。
水音を響かせながら、段々と足先を突っ張らせていく姿に、目が離せない。
「はや、と…っ、手放して…、もうイキそ…っ、ぁ…?」
仁人の顔が緩んでいき、もう間も無く最後を迎えようとしていたところで、手を離した。
自分から離せと言ったのに、仁人は物足りなさそうに俺を見つめてくる。
無意識なその顔に、俺は自身の昂りを感じた。
膝裏を片足だけ持ち上げて、後ろに指を這わす。前からゆるりと垂れた水分が後ろまで伝って、すんなりと俺の指を受け入れた。
「んぁっ…!」
いつだったか、何かの撮影時に、仁人が口元が緩いと自分で言っていて、俺が「全部緩いじゃん」と突っ込んだことがあったっけ。
あれ、本当だったな。
仁人の中で指を動かしながら、悩ましい表情を浮かべている仁人に、そんなことを考えていた。
「…ぃあっ!!あっ、そ、こ…!」
突然、俺の指に反応して仁人の体が跳ね上がった。ひくり、と腹筋を引き攣らせて仁人は思わず上半身をゆるく起こす。
「ここ?」
「ひぃあっ!?あっ、だ、だめ…っ、つよ、すぎぃっ…」
グリグリっともう一度指で押し上げると、仁人はしなやかに腰を反らせた。
一度落ち着いていた前が、再び熱を持ち始めて、解放に向かおうとしている。
要望通り、力を弱めて掠るくらいのタッチに変えると、次第に仁人の腰が揺れ始める。俺の指を誘うように、ゆらゆらと動き出した時、俺は一度指を引き抜いた。
「あっ…はぁっ…」
またもや熱を解放させてもらえず、仁人が焦がれた瞳を向けてくる。
その姿に俺は微かに笑みをこぼす。
普段は禁欲的なくせに、その実こんなに乱れた痴態を晒しくれるなんて。
たまらなすぎる。
かちゃり、と俺はベルトを外した。
「あ、勇人…」
「仁人、入れるね」
「んっ…わかっ、たぁっ、んぁぁああ!」
俺の質量に引き裂かれながら、仁人はズグズグと熱を飲み込んでいく。
口を覆っていた手は既に離れ、俺の上着を引きちぎりそうなくらい強く掴んだ。
容赦なく声が漏れてくる。
「はっ…、はっ…」
「入った…」
「あっ、んぁっ、んふぅ、うっ、ぐぅ…っ」
「あっつ…」
ゆっくり中を突くと、それだけで仁人からは首を緩く横に振って快楽に追い込まれる姿を見せられる。
たまに敏感な部分を責めると、見るからに、ヒュッと息を飲む。
俺の腰を挟むように上がった白い足。
指を突っ張らせて、俺を感じている。
ずっと可愛く悶える仁人を見ていたい気持ちと、彼の中に欲を解放させたい気持ちが拮抗する。
だんだんとスピードを早めると、仁人からはますます余裕がなくなった、
「じんとっ…!」
「ぁっ、はやと…はや、とぉ…!あ、あぁ、も、いっ、ぃっく…ぅ!」
上り詰めて行く感覚。
きっと仁人も同じ。仁人の前に手をかけて追い込みをかける。
強い快感に襲われながら、俺は仁人の中にその熱を弾けさせた。
同時に俺の手の中で、一際大きく震えて仁人の熱も爆ぜた。
「はぁ…っ、はぁ…ぁ、んぅ…」
苦しそうにしながら、俺のキスを受け入れる。
しばらく二人とも余韻が収まらなくて、震える呼吸が整うまで繋がったままでいた。
皮のソファはすっかり濡れて、色を変えていた。
「仁人、体大丈夫?」
一通り、綺麗にした後で、俺たちは同じベッドに横になった。隣で寝る仁人に聞く。
「…うん、大丈夫」
俺に背を向けて寝る仁人の表情は読み取れない。
「ねぇ、こっち向いてよ」
思いの外甘い声が出て驚いた。
仁人も同じ反応だったようで、少し意外そうな表情でこちらに寝返りを打った。
「しちゃったね、俺ら。怖くなかった…?」
「怖くなかったよ、、むしろ、き、気持ちよかった…」
最後は恥ずかしさでボリュームが小さくなった声。
それでもしっかりと聞き取って、俺は顔がにやけるのを止められない。
かわいすぎる。
「ねぇ、勇人…」
「なに?」
「ありがとね、、俺の事待っててくれて」
仁人が見上げてくる。
この瞳に捉われた奴は、俺と舜太以外にもいたはずだ。
臆病なくせに、大胆で。
気を遣いなのに、鈍感で。
こんな可愛い奴が俺の隣にいてくれるなら。
それだけで幸せだから。
「その顔、俺以外に見せるの禁止な」
俺の言葉に、仁人は赤く染まった頬に手を持って行く。
どんな時も隣にいよう。
今度は君が傷つかないように。
俺がずっと隣で守るから。
コメント
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更新ありがとうございます、、そのじんとさのじんどちらも好きなので、良すぎます、、、😭
おつかれさま、あんこさん!第5話読み終わったよ〜〜😭💕💕 もうね、仁人くんが「勇人なら怖くないよ」って勇気出して言ったとこ、マジで胸熱すぎてやばかった!!ずっと我慢してた勇人くんの理性がついに報われた瞬間だよね…✨✨ お互いを想い合いながらも、自分の欲とトラウマの狭間で葛藤してた二人がやっと一つになれたの、尊すぎて何回でも読み返せる…!仁人くんの「待っててくれてありがとう」も、勇人くんの「その顔俺以外に見せるな」も、エモすぎて泣いた😭💖💖 次も楽しみにしてるよ、あんこさん!また感想書きに来るね〜🌸