◇ご本人様とは一切関係ありません。
◆誤字脱字などありましたら教えて下さると嬉しいです。
◇前編後編で別れております。こちら前編です。
◆とある曲のパロディになっています。
♤♠♤♠♤♠
___なんでピンク色の髪の毛してるのー?
なんでって、生まれた時からこの色だからだよ。
___え〜きもちわる〜い。お母さんもいないんでしょ?
…いないけど、お父さんがいるから平気だよ。
___僕らと違うところばっかりで変なの。
……全員一緒じゃないとだめなの……?
___おかしいよ
_______きもww
____________近寄ってくんなよ
__________ーーーーー!!!
____________ーーー?www
……………………もう、疲れた。
高校に入学して数ヶ月。
俺、ないこは人生初の放課後に呼び出しをくらいました。
あ、先生からじゃなくてクラスメイトの男から。ここ男子校なんだよね。
ここ最近ちょっと調子乗ってたから殴られるのかなって思ってる。今日新しく出た漫画買いに行きたかったんだけどな〜……。
呼び出された場所は体育館裏。いかにもボコられそうな場所No.1だ。ちなみにNo.2は空き教室とトイレ。
アニメとかドラマでよくある屋上は閉鎖されてることが多いから呼び出される事はあまりない。
話が逸れたけど今から体育館裏向かいます。
ていうかこの学校、体育館裏フェンスがあって丸見えなんだけど大丈夫なのか…?
「…ここら辺、だよね……」
日差しが強くなってきた7月上旬。体育館の影のおかげであまり暑くはないけど鮮やかな緑色の葉っぱを見て、夏なんだなあと実感する。
そんな事を考えながら呼び出した相手を待っていると足音が聞こえてきた。
「あ、もう来てたんや。待たせてごめん。」
「そんなに待ってないから平気だよ」
俺を呼び出したのはクラスメイトの青髪。
そんな暴力とかする奴じゃないと思ってたんだけど…人は見かけによらないってこういう事だよな。
「俺のどっかが気に入らなくてここに呼んだんだよね?ここ、フェンスあるから丸見えだけどいいの?」
「え…?あ、いや違……じゃあ場所変えるか」
なんで今ちょっと狼狽えたんだ…?
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そうして移動してきたのは階段の踊り場。踊り場って先生とかにも見つかりやすいのになんでここにしたんだろう…。
「…えっ、と。いきなり呼び出してごめん。言いたいことがあって。」
「言いたいこと…?」
あれ、殴られるわけじゃないの…?
もしかして陰口じゃなくて真正面から言いに来るタイプ?初めて会ったな…
「一目見た時からずっと好きです。」
「…は、」
「今すぐにとは言わんから、返事が欲しい。」
そう言って腰を折って深く頭を下げて手を差し出してくる。
喉が一気に乾いて上手く言葉を発することが出来ない。頭が真っ白になって何も考えられない。え、今、こいつ……
「あんま話した事もない奴が急にごめん。でもこれは嘘じゃないから。本気で好き。」
いきなり直接ぶつけられた好意に驚いて口も頭も回らない。口から出たのは声になり損ねた吐息だけ。…あ、
「……っ」
「あ、ちょ…っ!」
♠︎
横をちらりと見たあと階段を駆け上がって逃げてしまった君。追いかける気は起きなかった。
いきなり大して話したことも無い奴に告白されて迷惑だったのだろう。少し考えれば分かる事だったのに突っ走ってしまった自分に嫌気が差す。
♤
その日の夜。
何となく交換した、3ヶ月前に挨拶の一言で止まっているトーク画面を開く。
文を打つ手が震える。こんなに緊張しているのは高校受験以来だ。
『今日はいきなりほんまごめん。明日からは普通のクラスメイトとして仲良くしてくれる…?』
ブロックされていないことを願い、せめてこれ以上関係が悪くならないように。
既読がつく。ブロックされていないことが分かり少し安心した。
『分かった。俺の方こそ逃げてごめん。』
『気にしないで´`*』
なんて送っても君は優しいから気にするんだろう、と思いながら送信ボタンを押す。
…正直、期待はしていた。自分の容姿はいい方だと自覚していたし何かの偶然でOKがもらえるんじゃないかと思っていた。
そんなの俺のただの願望で、現実はそう甘くなかった。冷静になって考えれば小学生でも分かる簡単なことだったのに。
今日だけは明日が来て欲しくないと思った。
♤
そんな事思っても変わらず今日は来るもので。
開きっぱなしにしていたトーク画面には『本当にごめん』とだけ返ってきていた。
「っし。」
冷たい水で顔を洗い気持ちを入れ替える。
いつもより少しだけ長く鏡の前で髪をいじって家を出た。
♤♤
____もし、俺と君の関係性が少しでも違ったら。
どちらかの性別が違ったら。もう少しタイミングが違かったら。
顔を洗って入れ替えたはずなのに思い浮かぶのは君の事ばかり。自分が思っていた以上に君に溺れているみたいだ。
そんな事を考えているうちに教室に着く。
できるだけいつも通りの表情で、声のトーンで。
「おはよう」
「ぁ…おはよ…」
ドアを開けるとちょうど教室を出ようとしていたのかないこが目の前にいた。いきなり開いたドアに驚いたのか元々大きい目が更に見開かれて綺麗な瞳がしっかり見える。
その表情に、声に、蓋をしたはずの想いが勢いよく溢れてくる。
「……すき」
「へ、」
途端に耳まで真っ赤になる顔。人から好意を伝えられるのに慣れていないのが分かるその反応に愛しさが込み上げる。
「き、昨日普通になるってLINEで…!!」
「あー…無理やわ。やっぱ大好きなんよ。」
「〜〜っ!」
ふと声に出てしまった2文字だけでこんな可愛い反応をするなんて知らなかった。また1つ好きなところが増えていく。
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コメント
3件
今回もとっても好きです👏👏👏👏 曲パロ……深海少女だったりしますか…?