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◆曲パロの後編になります。前話を読んでいない方は是非前編から。
◇一部白水要素あります。
♠♠♠
「はぁ…帰りたい」
生徒会の仕事で資料室に1人居残り。
夕日が差すエモい教室で永遠と生徒会の会計報告の最終チェックや目安箱の意見をどう反映させるか考える。
他の生徒が帰っていく声。楽しそうな声が聞こえてきて思わず窓の外を見つめる。
…あ。
ぱちり。ちょうど外にいたいふくんと目が合ってしまった。なんだか気まずくて一瞬で目を逸らしてしまう。
いふくんに気持ちを伝えられてから少し経ったけれどどう接すればいいのか分からなくて告白される前より距離が空いている気がする。
あれから事ある毎に『好き』を伝えてくれているいふくん。
こんな俺の隣に並んでまた小さい頃みたいになったらどうしよう。
誰にも迷惑はかけたくないのに。
今は髪色の事で何も言われたくないから校則が緩い高校に頑張って勉強して入学したし、親についても何も言われたくないから仲良い人もなるべく作らないようにした。
………あれ、なんで俺、こんないふくんの事ばっかり考えて……
どうでもいい相手だったら放っておけばいいのに。
そういえば俺が告白されてる時逃げたのは階段を上ってる人がいたからで…なんで逃げたんだ?別に人がいても気にしなかったら良かったのに。
もしかして、俺………
「…なわけ…」
だったらなんで今顔が熱いんだ?
窓に反射した自分の顔が目に映る。
耳まで真っ赤になっている俺の顔。
「……、まじ、か…」
自分の気持ちを自覚すると同時に自分の容姿を思い出す。やっぱり、俺には無理なんだ。
♤♤
自分の部屋の机に突っ伏しながら聴く大好きなアーティストの恋愛ソング。
『さぁ、君はどうしたい??』
『僕らの恋はここからはじめようか』
俺は…どうしたいんだろう。
いふくんの傍にいたい、けどこの髪色のせいで迷惑をかけてしまうかもしれない。それが嫌だから距離をとってしまう?
でもいふくんの隣に俺以外の誰かがいるのも気に食わない。
1つのことでずっと悩んでいる自分にも、変なところで独占しようとする自分にも嫌気がさす。
このモヤモヤをどうすれば解消できる?どうすれば………
____いっその事、全部忘れてこの恋に溺れていたい。
「もう告っちゃえばいいのに〜〜」
「うわぁあああああ?!!!!?!!!」
「わぁああ何!!!!」
「あ、え、はぁび、びっくりした……急に部屋に入ってこないでよ」
「ちゃんとノックしたし〜」
いきなり部屋に入ってきたのは弟のいむだった。俺のひとつ下で受験期だから少しピリピリしてる。
「それで?何…?」
「お父さんが今日は外食にしようかって。だから準備して」
「はいはい…」
♤♤
「それで〜しょーちゃんがね〜!!」
楽しそうに学校での話を父さんにするいむ。
俺と同じで普通では無い髪色や瞳の色なのに俺とは違って仲良い友達ができて楽しい学校生活を送れているんだろうか。
「よくその初兎くん?が話に出てくるけど付き合ってたりするのかい?」
「っ、?!げほ、っげほ……はぁ、そんなわけないだろ」
父さんが平然と言うものだから飲んでいたお冷を吹き出しそうになった。
「え?!えへ、実は〜……」
「まじで…?」
いむが同性の同級生と付き合っているという事実を知り、やはり頭に浮かんでくるのはいふくんの顔。
「ないこは、そういう子いないのか?」
「ぅえ?!お、俺は……」
「ないちゃんもいるでしょ、さっき部屋でブツブツ言ってたじゃん」
「いない。」そう答えようとした途端、口を挟んでくるいむ。声に出てたのか…。
聞かれていた事に対する恥ずかしさと面倒くささが湧いてくる。
「…2人には関係無いだろ。」
あえてぶっきらぼうな返事をしてお冷のおかわりを取りにドリンクバーへと行こうとすると僕も行く、とコーラがまだ入っているコップを片手にいむがついてきた。
「…コーラ、まだめちゃくちゃ残ってるけど。」
「いいの。」
訪れる沈黙。俺がコップに氷を追加するジャラジャラとした音が2人の間に流れる。
「……ないちゃんが何に対して悩んでるのかとか、僕馬鹿だから分かんないけど、…だけど、ないちゃんなら上手くやるって。そう思う。」
「…なにそれ、根拠とか、」
「ないよ。僕の勘だもん!」
そう言って得意気な笑顔を見せてくる。
なんだかんだいむの笑顔を見たのは久しぶりかもしれない。最近ずっとピリピリしていたから。
「その言葉。あんま信用は出来ないけど…」
「ちょっと!折角元気づけてやったのに!!」
「ありがとう。なんとなく勇気出たかも。」
さっきの笑顔とは一転して頬をふくらませ怒った顔をしたいむの頭を優しく撫でながらお礼を口にする。
本当に根拠も何もない弟の勘だけど、まるで大丈夫だよと言ってもらっているような気持ちになった。
「ま、振られたら振られたで、僕が笑ってあげる!」
「振られる前提なのやめてくれる?」
♠♠
いつもより少し早く登校して、自分の下駄箱を開いたら上履きと一緒に手紙が入っているのを見つける。
「……、?」
手紙に書いてあったのは
『放課後、あの階段の踊り場で待ってる。』
「…ないこの字?」
手紙の内容を理解すると同時にフラッシュバックしてくるあの日の光景。
♠
放課後。帰りのHRが終わると同時に教室を飛び出しあの階段へと向かう。
走って向かっている時、ずっと考えているのはやっぱりないこの事。あの日の事。走馬灯のようにどんどん頭の中に流れてくる。
今日だけは、今だけはどうか俺と同じ夢を見て……!!
踊り場についた時、ないこはもうそこにいた。
少し頬を赤くして、緊張したような表情で。
「…いきなりごめん、伝えたい事があって、」
「____好き、です。」
手を前に差し出されると同時に愛しい声が耳から脳に伝達される。
ないこの口から発せられた言葉を理解するまで時間はいらなかった。
差し出された手を取り微笑みながら返事を口にする。
「俺も。」
やっと俺を選んでくれる、その日が来た。
̗̀ ꒰ঌ 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 END 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 ໒꒱ ̖́-