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藤澤サイド
『さびしい』
急に現れたそのメッセージは元貴からのもの。
たったそれだけの言葉。
その言葉の節々から元貴の気持ちが伝わってきた。
暗い夜道を一人で走る。
もう、時間は夜の一時を回っている。
走って走って辿り着いた、元貴の家。
「元貴、入るよ…?」
一応声をかけて、家に入る。
リビングに元貴の姿はない。
なら、と寝室に行ってみると、元貴はベッドの上で座っていた。
纏う元貴の寂しげな雰囲気。
何があったのか、よくわからない。
きっと元貴にしかわからないことなんだろう。
僕には想像出来ないし、聞いたとしても理解できるかどうかなんてわからない。
でも、理解できなくても、
想像できなくても、
元貴からの『さびしい』のSOSを受け取って、癒して、元貴に寄り添うことなら出来る。
「元貴、」
「りょ、ちゃん、」
元貴はベッドの上から身体を動かさないまま首だけを動かして勝手を向く。
無表情で、ただこっちを見て、唇を動かす。
「きてくれたの、?」
「もちろん」
その言葉に元貴は唇を少しだけ綻ばせた。
「涼ちゃん、ごめんね」
「なにが?」
「こんな奴が、恋人で」
「別に。元貴が寂しがり屋なの、もう知ってる」
「…そっか。」
元貴がそう言う。
その声は弱くて掠れていて、震えていた。
雨に濡れた子猫みたいな元貴をそっと抱きしめて、唇を押し当てる。
元貴は艶美な声を漏らしながらもキスに答えてくれる。
そして静かに僕をベッドに押し倒す。
服を全部脱がされて、陰部を優しく触られて。
我ながら情けない声を漏らしながら、
でも元貴は気にせずいじくり回してくる。
元貴の表情は変わらない。
相変わらず何も喋らない。
でも、元貴の纏う雰囲気だけは、
確かに変わっていた。
♡&💬よろしくお願いします
コメント
1件
更新はや?!ありがたい