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【笑うあの子の裏事情】
Episode.15 信じる?
《🎼☔️side》
保健室のベッド。
……実は、起きてる。
でも、寝てるふり。
目を閉じたまま、じっとしている。
ほっぺ、痛い。
手の甲も、痛い。
足も。体も。
……全部、痛い。
カタカタカタ。
静かな保健室に、キーボードの音が響く。
らんくんだ。
お仕事してる。
今日は雪で学校休みなのに。
それでも、学校来てるんだ。
仕事、やりに。
……よかった。
来てくれてて。
もし、らんくんがいなかったら。
こさめ、 ここまで来れなかったかもしれない。
もしかしたら。
……ダメだったかも。
寝返りは打てない。
痛いから。
少しだけ、手のひらを見る。
ガーゼ。
真っ白だったはずなのに。
赤が、にじんでる。
血、いっぱい出てたんだなって分かる。
少しだけ、また痛い。
ううん。
違う。
……たくさん、痛い。
体だけじゃなくて。
心も、痛い。
頭の中に声が浮かぶ。
『どうして同じようにできないの』
『こんな夜遅くに帰ってきて、一体何がしたいの』
『言うことが聞けないなら出ていきなさい』
……あーあ。
また怒られちゃったな。
昨日の夜。
こさめは何も言わなかった。
ただ、外に出た。
靴も履かないで。
怖くて、 逃げちゃった。
だって。
まさか起きてるなんて思ってなかった。
いつもは寝てる時間だから。
だから、こっそり帰ったのに。
見つかっちゃった。
怒られて。
声が大きくなって。
怖くなって。
家を飛び出した。
外は、雪だった。
強い風。
空、見えなくて。
暗くて。
寒くて。
家を出た瞬間。
……聞こえた気がした。
名前。
呼ばれた気がした。
「こさめ」って。
でも。
聞こえなかったことにした。
振り向いたら、 また怒られちゃうかもしれないって思ったから。
だから。
そのまま走った。
雪の中。
ずっと。
……
🎼☔️「……ねぇ、らんくん」
ぽつりと声が出た。
キーボードの音が止まる。
🎼🌸「っ?!」
ガタッて音。
椅子が動いた音。
びっくりしたんだと思う。
🎼🌸「こさめ?起きてたの?」
🎼☔️「……うん」
らんくんが近くに来る。
少し心配そうな顔。
🎼🌸「大丈夫?」
こさめは少し考えてから言う。
🎼☔️「……ううん!」
小さく笑う。
🎼☔️「大丈夫じゃない!」
らんくんは、ふっと息を吐く。
🎼🌸「元気に言うことじゃないよ」
🎼☔️「えへへ……」
いつもみたいに。
へらへら笑う。
何事もなかったみたいに。
でも。
今日は、無理。
……なんか、疲れちゃったから。
少し天井を見る。
白い天井。
静かな保健室。
🎼☔️「……らんくんはさ」
🎼🌸「ん?」
🎼☔️「“すごい人”って、信じる?」
らんくんは少し首を傾ける。
🎼🌸「……前にも聞いたよ、その話」
🎼☔️「うん!話した!」
こさめは少し笑う。
🎼☔️「それで、信じる?」
🎼🌸「信じるって……」
らんくんは腕を組んだ。
🎼🌸「何をどう信じるの?」
🎼☔️「うーん、例えばー」
少し考える。
🎼☔️「自分のこと、大切にしてくれてるのかなっ!とか!」
らんくんは一瞬、目を丸くして。
それから、ふっと笑った。
🎼🌸「なんだそれ」
柔らかい笑い方。
らんくんの笑い方、好き。
馬鹿にしてない。
ちゃんと聞いてくれてる感じ。
受け止めてくれてる感じ。
🎼🌸「そうだなぁ」
らんくんは少し考えて言った。
🎼🌸「俺は信じるよ」
🎼☔️「どうして?」
🎼🌸「どうしてって……」
少し視線を上げて。
🎼🌸「自分が、その人のことを大切にしたいって思うから、かな」
……そっか。
そう考えるんだ。
少し胸が、あったかくなる。
🎼🌸「こさめは?」
🎼☔️「えぇ?!こさめに聞くの?!」
🎼🌸「こさめから聞いてきたんだよ?」
🎼☔️「うー……」
困る。
🎼☔️「こさめは、分からない!」
🎼🌸「なんで?」
🎼☔️「……うーん」
考える。
たくさん考える。
沈黙。
でも、 急がなくていい。
らんくんは待ってくれる。
🎼☔️「……こさめが」
ゆっくり言う。
🎼☔️「避けてるから」
らんくんが少しだけ目を細める。
🎼🌸「……誰を?」
こさめは答えない。
少しだけ視線を横に向ける。
🎼☔️「……多分」
小さく言う。
🎼☔️「信じたくても」
🎼☔️「信じられないところ、あるかなって」
らんくんは何も言わない。
静かに聞いてくれる。
だから、少しだけ続ける。
🎼☔️「……その人」
🎼☔️「すごい人なんだよ」
ぽつりと呟く。
🎼☔️「何でもできて」
🎼☔️「ちゃんとしてて」
🎼☔️「みんなにすごいって言われて」
🎼☔️「……こさめと、全然違う」
胸が少し苦しくなる。
🎼☔️「でも」
手をぎゅっと握る。
🎼☔️「優しい時もあるんだよ」
🎼☔️「すごく、たまにだけど」
🎼☔️「だから」
声が少し小さくなる。
🎼☔️「……分かんなくなる」
好きなのか。
怖いのか。
信じたいのか。
逃げたいのか。
らんくんが静かに聞く。
🎼🌸「その人」
🎼🌸「こさめにとって、大事な人?」
こさめは少しだけ笑った。
でも。
少しだけ、苦しかった。
🎼☔️「……うん」
小さく頷く。
🎼☔️「多分ね」
そして。
ぽつりと呟いた。
🎼☔️「……お兄ちゃんだから」
保健室の空気が、少しだけ静かになった。
next.♡1000
コメント
7件
やばいこの物語、、本当に見入っちゃいます。小説家目指せますよほんとに 続き待ってます
☔くんにとっては📢くんが"すごい人" "大事な人"なんだよね 比べられて嫌なことはあっても"お兄ちゃんだから"どこか大切に思いたいって気持ちがあるのかもね 今回も🌸くん優しすぎて私の学校の保健の先生も🌸くんにしてください(´>∀<`)ゝ 続き楽しみ!❤❤