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🌾失礼します。すごい好きです。🦈ちゃんと📢くんの関係やストーリーが素敵ですт т続き楽しみにしてます。
最高。
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【笑うあの子の裏事情】
Episode.16 現実と夢の傍
《🎼📢side》
探しても。
探しても。
どこにも、いない。
足を止める。
🎼📢「……っ、はあ……っ」
息が荒い。
吐く息が、白い。
冷たい空気が喉を刺して、目が少し滲む。
手は、もう感覚があまりない。
足も、冷たい。
いや───
冷たい、なんてもんじゃない。
🎼📢「……くそ」
小さく吐き出す。
その時。
🎼👑「っまニキ……?」
声。
振り向く。
そこにいたのは───
みことと、すち。
厚めのコート。
ニット帽。
イヤーマフ。
マフラー。
手袋。
完全防備。
それに比べて。
……俺は。
サンダル。
薄い服。
手袋も何もない。
🎼🍵「……いるまちゃん、寒そうだよ」
すちが眉を寄せる。
🎼🍵「どうしてサンダルなの?」
🎼👑「それに、薄着で……」
みことも心配そうに見る。
🎼📢「……」
答えない。
答えられない。
夜に、 家を飛び出した。
こさめを、追いかけて。
でも───
見つからなかった。
ただ、それだけ。
🎼🍵「……こさめちゃん、見た?」
すちが聞く。
🎼👑「昨日の夜に、音がして」
🎼👑「窓見たら、こさめちゃんが家から飛び出してたんやけど」
みことが続ける。
……ああ。
そうだよ。
飛び出したんだ。
あいつは。
この大雪の中。
裸足で。
薄着で。
笑ってなくて。
……あの顔。
頭から離れない。
🎼📢「……」
視線を落とす。
雪が積もっている。
白い。
全部、白い。
でも、 頭の中は、真っ黒だ。
親のせいで。
環境のせいで。
……俺のせいで。
奥歯を噛みしめる。
その時。
ふわっと、首元が温かくなる。
🎼👑「ほら」
みことが、マフラーを巻いていた。
🎼👑「ちゃんとしないと風邪ひくよ」
すちは、ニット帽を被せてくる。
🎼🍵「はい、これでよし!」
少し満足そうな顔。
🎼🍵「……あったかいでしょ」
その言葉に。
少しだけ、何かが緩む。
みことが、隣にぴったりくっつく。
🎼👑「今は、あったまろ」
すちも、そっと手を握る。
🎼🍵「ココア飲もうよ」
温かい手。
温かい声。
俺は少しだけ目を閉じて。
……頷いた。
三人で歩き出す。
雪の中。
さっきより、少しだけ足取りが軽い気がした。
でも。
頭の中からは、消えない。
あいつの背中。
あの夜の、背中。
今すぐにでも、傍に行けたらいいのに。
《🎼☔️side》
……あれ、ここ……
🎼📢「おいこさめ!はやくはやく!」
🎼☔️「待ってよ、まニキ!」
……あれ?
まニキ……と、こさめ?
小さい。
3年生……くらい?
ここは、過去?
夢、みてるのかな。
過去のまニキと俺は、家の階段を勢いよく駆け上がっている。
まニキが先頭。
俺が、その後ろ。
でも───
今のこさめは、少し離れたところから見てるだけ。
一歩、踏み出す。
懐かしい階段を、一段。
*
階段をのぼり終える。
🎼📢「こさめ、早くこっち来い」
🎼☔️「ええ?!屋根、だいじょーぶなの?!」
🎼📢「いいんだよ、バレなきゃ」
……屋根、ね。
俺は自分の部屋の扉を開ける。
2段ベッド。
ふたつの机。
クレヨン。
スケッチブック。
ぬいぐるみ。
散らかったままの、あの頃。
でも視線は自然と窓へ向く。
夜空。
屋根の上。
ふたりで並んで座ってる。
🎼📢「見てみろよ、あれ」
🎼☔️「うわぁ!!星いっぱい!」
息を呑むような声。
冬の夜空は、澄んでいる。
空気が冷たい分、星がはっきり見える。
黒い空に、無数の光。
🎼☔️「ねぇねぇまニキ、あれなに?」
🎼📢「あの三つ並んでるやつか?」
🎼☔️「うん!」
🎼📢「あれはオリオン座。真ん中の三つがベルト」
🎼☔️「ベルト?」
🎼📢「並んでるだろ、一直線に」
🎼☔️「ほんとだー!」
こさめは身を乗り出す。
🎼📢「その右上がベテルギウス。赤い星」
🎼☔️「赤いのあった!」
🎼📢「左下がリゲル。青白いやつ」
🎼☔️「青いのもある!」
🎼📢「オリオンは分かりやすいからな」
少し得意そうな声。
🎼☔️「じゃあ、あれは?」
🎼📢「その下のめっちゃ明るいやつ見えるか?」
🎼☔️「うん!いっちばん光ってる!」
🎼📢「あれはシリウス。夜空で一番明るい星」
🎼☔️「すごーい!」
🎼📢「で、そのシリウスと、さっきのベテルギウスと……」
少し指でなぞるようにして。
🎼📢「プロキオン。あのちょっと控えめなやつ」
🎼☔️「あ、あった!」
🎼📢「それで三角形できてるだろ」
🎼☔️「ほんとだ!」
🎼📢「それが冬の大三角形」
🎼☔️「さんかく!」
嬉しそうな声。
風が少し吹く。
でも寒さなんて気にしてない。
🎼☔️「ねぇねぇ、あっちは?」
🎼📢「んー……あれはおうし座」
🎼☔️「どれ?」
🎼📢「あのV字っぽいやつ」
🎼☔️「あ!ほんとだ!」
🎼📢「その中の赤いのがアルデバラン」
🎼☔️「また赤い星?!」
🎼📢「冬は明るい星多いからな」
🎼☔️「ねぇ、星ってなんで光るの?」
🎼📢「燃えてるから」
🎼☔️「え?!燃えてるの?!」
🎼📢「太陽と同じ」
🎼☔️「じゃあ、太陽も星なの?!」
🎼📢「そう」
🎼☔️「すごい……」
小さく呟く声。
世界が広がったみたいな顔。
🎼☔️「ねぇ、星ってさ、さわれる?」
🎼📢「無理」
🎼☔️「えー、なんでよ!」
🎼📢「めちゃくちゃ遠いから」
🎼☔️「どれくらい?」
🎼📢「……光の速さでも何年もかかる」
🎼☔️「……??」
🎼📢「簡単に言うと、めちゃ遠い」
🎼☔️「そっかぁ……」
少し残念そうな声。
でもすぐにまた顔を上げる。
🎼☔️「じゃあさ!あれは?!」
🎼📢「どれ?」
🎼☔️「あの、二つ並んでるやつ!」
少し、間があく。
でも、まニキは答える。
🎼📢「あれは双子座」
🎼☔️「双子座?」
🎼📢「二つ並んでる星、見えるだろ」
🎼☔️「うん!」
🎼📢「あれがカストルとポルックス」
🎼☔️「どっちがどっち?」
🎼📢「明るい方がポルックス。弟の方」
🎼☔️「へぇー!」
無邪気な声。
🎼📢「もう一つがカストル。兄」
🎼☔️「兄と弟なんだ!」
🎼📢「そ」
🎼☔️「……じゃあ」
こさめが笑う。
🎼☔️「こさめたちと同じだね!」
まっすぐな笑顔。
疑いなんて、一つもない。
🎼📢「当たり前だろ」
まニキが言う。
少しだけ、優しく。
*
静かな時間。
星が、瞬いてる。
🎼☔️「……いいなぁ、いるまくん」
ぽつりと。
🎼📢「……なんだよ急に」
🎼☔️「だって、まニキは学校で人気ものだし」
🎼☔️「お家でも怒られないし」
🎼☔️「テストもいい点ばっかり」
声が少しずつ弱くなる。
🎼☔️「こさめは、その逆だよ」
……ああ。
この時だ。
🎼📢「……まぁ、俺なんでもできるし」
🎼☔️「なんで?!こさめは?!」
🎼📢「こさめはバカ担当」
🎼☔️「ひど!!」
🎼📢「うそうそ」
笑い合う。
ちゃんと、楽しかった。
でも。
🎼📢「……お前さ」
空気が変わる。
🎼📢「なんでそんな怪我してんの」
真剣な声。
🎼📢「増えてんだろ」
🎼☔️「……」
🎼📢「何で怪我すんだよ」
……言えなかった。
本当は、言いたかったのに。
🎼☔️「なーいしょ!!」
笑って、ごまかした。
でも、本当は。
見てほしかった。
褒めてほしかった。
頑張った。
全部。
でも、届かなかった。
だから。
怪我をした。
血が出れば、見てくれるから。
心配してくれるから。
それが。
欲しかったから。
🎼☔️「こさめね!夢あるの!」
明るい声。
🎼📢「なに?」
🎼☔️「宇宙に行って、たっくさん星みるの!!」
あの夜空より、もっと近くで。
触れそうなくらい近くで。
🎼📢「いけんじゃね?こさめなら」
軽い声。
でも。
ちゃんと、肯定してくれた。
***
目が覚める。
暗い保健室。
カタカタ、と音。
らんくんのキーボード。
……戻ってきた。
現実。
でも。
少しだけ、あったかい。
あの夜の星。
あの言葉。
まだ、残ってる。
目を閉じる。
🎼☔️「……」
もっと。
話したいこと、あるのに。
でも。
こさめ、怖がりだから。
言えない。
小さく思う。
……もっと。
まニキみたいに、 なれてたら。
ちゃんと、言えてたら。
違ったのかな。
静かな部屋に。
小さな呼吸だけが、響いていた。
next.♡1000