テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
任務報告後。
隊長は半ば強制的に研究区画へ呼び出されていた。
⸻
カ「用件を言え」
ド「実験協力依頼だ」
カ「却下だ」
ド「拒否権はある」
一拍置き。
ド「だが内容を聞いてからにしたまえ」
研究台の横へ誘導される。
ド「極寒任務後の筋反応遅延測定」
ド「加えて氷毒残留耐性」
器具を操作しながら続ける。
ド「つまり触診と神経反応検査だ」
沈黙。
カ「医療班で足りる」
ド「精度が低い」
振り向く博士。
⸻
ド「君は私の観察対象だ」
距離を詰める。
ド「私が測る方が正確だ」
数秒。
カ「……短時間だ」
博士は喉で笑う。
ド「交渉成立」
研究台へ座らされる隊長。
ド「まず上肢反応から」
手袋を外す。
素手で手首を取る。
カ「器具を使え」
ド「皮膚温度も測る」
指先で脈を測りながら。
ド「任務後より高い」
カ「環境差だ」
ド「いや」
顔を寄せる。
⸻
ド「やはり私が近い時だけ上がる」
カ「……主観だ」
ド「数値だ」
手首を持ったまま、
さらに距離を詰める。
ド「次は瞳孔反応」
仮面越しに至近距離。
ド「動くな」
ほぼ額が触れそうな距離。
カ「……近い」
ド「正確な測定には必要だ」
光を当てるふりをしながら、
視線を観察する。
ド「興味深い」
ド「君は退かない」
低く囁く。
ド「恐怖ではなく――緊張だ」
沈黙。
カ「検査を続けろ」
博士は笑う。
ド「了解した」
次は肩部。
907
旅人
鎧を半分外させる。
カ「ここまで必要か」
ド「筋繊維反応を見る」
指先で肩をなぞる。
戦闘で触れた時よりゆっくり。
ド「やはり硬い」
ド「だが前回より弛緩している」
耳元で。
ド「私に慣れてきたな?」
隊長の呼吸がわずかに深くなる。
カ「……実験中だ」
博士は満足げに手を離した。
ド「本日の測定は以上」
距離を取る直前。
ド「だが追加実験を提案しよう」
カ「内容次第だ」
囁く。
ド「長時間接近環境での精神安定測定」
数秒。
カ「……却下だ」
博士は笑った。
ド「残念だ」
ド「だがいずれ同条件は訪れる」
背を向けながら。
ド「任務でも、医療でも、観察でも」
振り返る。
ド「君は逃げないからな」
隊長は小さく息を吐いた。
カ「……観察対象はこちらのはずだ」
ド「安心したまえ」
低く。
ド「主導権は常に相互だ」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!