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――帰還後数日/スネージナヤ外縁 任務区域
博士の負傷は完治。
氷毒反応も消失し、
医療区画からの拘束は解除された。
だが――
ド「約束通り同行しよう、隊長殿」
カ「命令書は確認した」
ド「長期観察任務」
書類を軽く振る。
ド「正式に承認済みだ」
今回の任務は中規模殲滅戦。
長時間戦闘、低温、持久戦。
博士の言う「長期観察」に最適な条件。
博士の命で隊員は別で行動させている。
吹雪のない氷原。
だが視界は白く、静かだ。
ド「前回より筋出力が安定している」
カ「戦闘前だ」
ド「歩行データから既に分かる」
横を歩きながら、
端末を操作する博士。
ド「庇い行動の再現性も確認したい」
カ「起こらない方がいい事象だ」
ド「研究的には起きてほしい」
視線だけ向ける隊長。
カ「貴様を囮にする気はない」
ド「だが結果的にそうなる」
軽く笑う。
ド「君が私を庇うからな」
その瞬間。
氷丘の影から魔物群が出現。
戦闘開始。
隊長が前線へ出る。
剣撃、衝撃、氷片が舞う。
博士は後方――
だが今回は距離が近い。
ド「右側面、三体」
カ「確認」
指示に合わせ、斬撃が走る。
ド「後方死角」
振り向きざまの一閃。
魔物が沈む。
戦闘は連携的だった。
前回の“庇う関係”から――
今回は“役割共有”へ近い。
戦闘終盤。
大型個体が突進。
ド「来るぞ」
隊長が迎撃姿勢。
だが衝突直前――
ド「左へ二歩」
反射的に動く。
その瞬間、
突進軌道が僅かに逸れた。
隊長の剣が急所を断つ。
巨体が崩落。
静寂。
カ「……今のは」
ド「観察結果の応用だ」
歩み寄る博士。
ド「君の回避癖、踏み込み幅、反応速度」
ド「全て記録済みだ」
距離を詰める。
ド「だから最適回避を指示した」
至近距離。
ド「どうだ?」
ド「庇われるより効率的だろう?」
数秒。
カ「……合理的だ」
博士は満足げに笑う。
ド「長期観察の成果だな」
そのまま、
隊長の腕を軽く取る。
カ「何を――」
ド「戦闘後反応測定」
脈を測る。
ド「前回より安定」
ド「だが――」
顔を寄せる。
ド「私が近い時だけ上昇する傾向は継続」
カ「環境要因だ」
ド「戦闘直後にしては整いすぎている」
低く囁く。
ド「慣れたな?」
隊長は手を振り払わない。
ただ低く言う。
カ「……任務中だ」
博士は笑い、手を離す。
ド「分かっている」
背を向け、歩き出す。
ド「だから今は観察だけにしておこう」
数歩進み、止まる。
ド「だが一つ訂正だ、隊長殿」
振り返る。
ド「前回は君が私を庇った」
間。
ド「今回は私が君を生かした」
視線が交錯する。
ド「相互観察」
低く
ド「実に健全な関係だ」
隊長は小さく息を吐く。
カ「……研究対象はこちらのはずだ」
ド「安心したまえ」
去り際、いつもの調子で。
ド「主導権は常に相互だ」
氷原に二つの足跡が並ぶ。
以前より――
僅かに距離が近いまま。