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『こうなるはずじゃなかった』
「ゆうちゃん朝飯!!早く起きな!」
俺を叩き起こしてそそくさと階段を駆け下りる母さん。
「弁当ここ置いとくから忘れず持ってくのよ?あとそれから…これっ」
母さんが手にしていたものは5千円札だった。
「んぇ…なに急に笑」
そう聞くと
「お小遣いだっつの!今日から華の高校生よ?自覚してんの?」
そう言って少し微笑んだ後に
「そろそろ行くかんね!友達ちゃんと作んなさいよ〜」
こんな捨て台詞を吐いて母さんは家を出ていった。
(俺もそろそろ行かなきゃ…)
「華の高校生」なんて在り来りな言葉
俺は好きじゃない。
そんなことを思いながら新しいクラスに入る。
教室の扉を開けた途端、みんなが俺を見る。
そして前の黒板に貼ってある座席表を確認して自分の席に座る。
そして数分後
ガラガラっと大きく音を立てて教室に入ってきた長身の男。
教室全員の顔色が変わった。
その男は俺の隣の席に座った。
男は俺の顔を見るやいなや、
「ねー君名前は?」
そう聞いてきて、めんどくさいなと思いつつ呟
いた。
「瀬名 優姫」
「優姫ねー。俺は司 碧唯」
「よろしくね〜〜」
(聞いてないんだけど……)
皮肉なことを考えつつ、
「…どーも」
そんなことを言ってまた俯いた。
「今日から3年間、君たちの担任をする清原 一成だ。よろしくな!」
あまりのイケメンさにクラスの女子たちが騒ぎだす。
「さぁ、今からみんなに自己紹介してもらおうかな!」
1番めんどくさい時間がやってきた。
『自己紹介』
そんな意味のないもの、する必要なんてないのに。
クラスメイトが淡々と自己紹介していく中、とうとう俺の番がやってきてしまった。
「…えっと。」
早速言葉を詰まらせる。
「瀬名優姫、です。…よろしくお願いします」
「特技とか…なんかないか?」
(でたよその質問…)
「特技…は……」
そんなものあるはずない。俺に取り柄なんかない。
沈黙が続いて数十秒…
あの男が口を開いた。
「長いからさ。俺の自己紹介回してくんない?」
退屈なのはわかるけど。
(わざわざ言わなくたっていいじゃん…)
「…わかった!じゃあお願い」
「うぃーす」
「司 碧唯。特技はなんでもできること。以上!」
司がそう言い終えると途端に大きな拍手と大きな歓声が上がる。
「なんでもできる、か…すごいな〜!感心するよ」
「あざーす」
2人は浅い会話を繰り返し司の自己紹介は終わった。
放課後になり、みんなは挙って司に話しかける。
「LINE交換しない?」
「俺も俺も!!」
「碧唯くん私も〜!」
俺はそんな集団から抜け出し、自転車小屋に向かう。
(今からチャリとかダルすぎ)
そんなマイナスなことを頭に浮かべながら自分の自転車を取り出す。
すると遠くから大きい声が聞こえる
「おーい!!優姫〜!」
声のする方を向くとそこには大きく手を広げた司がいた。
「ねぇ優姫。俺と遊びに行かない?」
近くに来た司が俺にそう言った。
「急になんだよ。別に行かないし。」
俺の強がりな性格はきっと母さん似だろう。
「え〜。つれないなぁ。俺優姫と仲良くなりたいんだよ」
(俺と?)
新学期、ぼっちになりたくない奴が言う恒例の言葉文句。
「イケメンなんだからたくさん友達いるでしょ」
俺は情けない言葉を口に出す。
「やだなーその言い方…笑」
「俺は優姫と仲良くなりたいんだって」
「……ごめん。俺はそう思わない。」
俺は高校生活初日で司を突き放した。
気まずい空気は苦手だからチャリにまたがってその場を去った。
俺はイケメンの人気者が嫌いだ。