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予想外の声の大きさに、受付の奥の松原女史には、軽くたしなめるような咳払いをされ、
「……なんで、そんなでっかい声出すのよ?」
真梨奈からも、咎めるような疑ぐり深い視線を向けられた。
「……うん、ごめん…」
自分でもどうしてだかよくわからないまま謝って、
「……そんな風に思えなかったから、それで……」
さっきと同じような台詞を、ぼそぼそとただ繰り返した。
真梨奈は、しばらくそんな私の顔をじっと見つめた後で、
「……好きなんでしょう? やっぱり」
そう確信めいた言い方をして、
「じゃあ、これからあなたとはライバルってことで」
宣戦布告とばかりに、私へにっこりと微笑んで見せた──。
真梨奈に言われて、(本当に好きなのかな……)と、一瞬頭を巡らせて、それから、そんなわけがない……と、自ら打ち消した。
私は、あの医師のことなんて、少しも好きじゃない……。
あんな、悪魔のように責め立ててくる男のことなんか……。
……だけど、と思う。
真梨奈には、紳士のように優しく接していただなんて……。
だったらあの人は、私にだけどうしてあんな振る舞い方をするんだろうかと、思わずにはいられなかった──。