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(私にだけ、どうして……)
いくら考えたところで、何もわかるはずもなかった。
あの美しい仮面の下に、塗り込められたように感情は隠されていて、私がたやすく知ることなどはできなかった。
それ以前に、本当に感情なんかあるのかすらもわからなかった。
あの医師は、ただ興味本位で、私をおもちゃのように扱っているだけにも思えた。
”興味の対象“……言われた言葉が思い浮かぶ。
興味がなくなれば、飽きて捨てるつもりなのかもしれない……だから真梨奈にはそうしたように、私には優しくしたりする必要もない……。
……そう思うと、それが納得のいくことのようにも思えたけれど、それを頭で認めてしまうのは辛くて、そしてなぜだか酷く悲しかった……。
──政宗医師と付き合い出してからの真梨奈は、いつもそわそわとして、どこか浮き足立っているようにも見えた。
そんなにもあの男との付き合いが嬉しいだなんて、到底信じられなかった。
私には辛い思いしかなくて、顔も合わせたくないという程だったのに、
彼女とは私とのような付き合いは少しもしていなくて、本当にいっしょにいるだけでも楽しいのだとしたら……、
一体、二人はどんな付き合い方をしてい るんだろうと感じた。
”紳士で、優しくて、エスコートも上手くて……“という、真梨奈の言葉が頭をかすめると、そのどれか一つでも、私の前では彼が見せてくれたことなんてなかったのにと、苦く思い至った……。
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