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𐙚 花見 ໒꒱· ゚
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#アラスター
一緒にバイトをして改めてわかったが、ゆうさんはやっぱり誰が見てもキレイでモテる。
男の客なんて明らかにゆうさんを狙ってるのがわかる。
俺以外になんで笑いかけんの?
自分でもゆうさんがやりにくいだろうなというのは分かっていた。もっと大人にならないとなとも思うけど嫉妬心を止められなかった。
『もうやめてよ…仕事だよ…。あきらくんだけだよ、あきらくんが大好きなんだよ、私。仕事にヤキモチやかないで…』
「ヤキモチやくなってことはもう好きにならないでって事だよね?!好きだからヤキモチやいてる!」
自分でもわかってる。
いきすぎてるのをわかってた。
でも嫌だった。
見るなよって思った。
俺以外の男が彼女を見るのが許せなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『何か隠してることない??』
ゆうさんが言った。
「え?!なに…?」
少しの沈黙が続く。
「わかんない、隠してること別になにもないけど…」
『ほんとに??』
『ほんとにない…?』
『…私に話さなきゃいけないこと、ない…?』
あ。
これは。
と思った。
ゆうさん気付いてる。
「…籍…、抜けてないこと…?」
『そう。その事。』
終わりだ。
ゆうさんがいなくなる。
『多分あきらくんのお兄さんだと思う。写真見せてくれたから分かった。お兄さんの話で聞いた。ごめん、話してくれるの待とうかとも思ったんだけど無理だった。』
離婚届を記入しあっちが出すというので任せたこと、荷物をまとめて出ていって離婚してると思ったこと、そのまま1年経っていること、数日前急に実家から電話がきたことを話した。
実家の親にあっちまで行ってきっちり話をつけて来いと言われたこと、あっちは迎えにくるなら戻るとわけの分からないことを言っていると話した。
『あきらくんさ…、離婚届あっちが出したからっていってたけど…離婚受理証明書受け取った…?』
「…なに?それ。」
『2人で提出した場合はないけど、どちらか片方が離婚届を提出したらもう片方の方には離婚届受理証明書っていうのが自宅に届くようになってるんだよ。それが届いてないってことは…離婚…出来てない状態だよ…。』
なんだそれは。そんなこと知らなかった。
離婚なんて簡単に出来ると思ってた。
なんで…
なんで…!!
『あきらくん、なんで話さなかったの?』
「話せなかった。話さなきゃって思ったけど、…話せなかった…。…ごめん…。」
『…うん。そうなんだろうね…。でもこれは話しにくくても絶対言わなきゃいけない話。』
「…うん。…ごめん…」
もう何を言われるのかわかっていた。
でも嫌だった。
言わなきゃいけないのは分かっていた。
でも手放したくなかった。
ゆうさんと離れるのは絶対に嫌だった。
『あきらくん…?』
『…今のまんま、一緒にはいれないや。』
ゆうさんは無理矢理笑顔を作って涙をボロボロ流しながら言った。
「待って、…ごめん、ゆうさん待って!嫌だ!!」
ボロボロ泣いた。
離れていっちゃう。
「ごめん、ごめんゆうさん…!別れたくない、ごめん…!!ごめん…!」
『うん、…うん』
「俺ほんとにバカで…。離婚してると思ってて…!」
『うん、わかってるよ。』
「証明書とかそういうの来るとか知らなくって…」
『うん』
「ごめん、ごめん…!ちゃんとするから…!」
『うん』
泣きながら必死に言った。
ゆうさんも泣いてた。
『…でもね、今はもう無理なんだよ。…既婚者である以上一緒にはいれない。』
…
終わってしまった。
目の前が一気に真っ暗になった。
あんなに楽しかった日々が一気に崩れていく。
分かっていた、こうなること。
全部しっかりしなかった自分が悪いんだ…。
曲がったことが嫌いなゆうさん。
白黒ハッキリしているゆうさん。
ああ、もう俺の元から離れちゃう…。
『…あきらくんどうするつもりなの?…あっちに行くの?』
「行きたくないけど、親からも話つけてこいと言われてるし…行かなきゃ終わらないから行ってくる…それまで……」
“それまで待ってて”
と言いたかった。
でもこれは自分の勝手すぎなしないか。
それに離婚届出したフリまでしたくらいだ…すぐ決着つかないかもしれない…。
それまで持たせるの?
…でも、その間に誰かいい人が現れたら…?
…嫌だ。俺がしてるみたいにほかの男が彼女に触れるのなんて許せない。考えるだけで気が狂いそうになる。
彼女は俺以外に俺にしてたみたいに甘えるのか?
嫌だ、そんなの絶対いやだ。
でもゆうさんにとっては…?
いい人がいたらゆうさんにとってはその方が…。
言いかけて最後まで言えなかった。
待っててというのはあまりにも自分勝手だ。
「ゆうさん、今までほんとにありがとうございました…!俺ほんとにほんとにゆうさん大好きで…!」なんとか笑おうとしたけど涙が出てだめだった。
「今の状況で何言ってんだって思われるかもしれないけど、…初めてほんとに人を本気で好きになりました…!!」
『あきらくんさ…』
『“待っててください”って言ってくれないの…?』
『そりゃさっさとけりつくのか、長引くのか分かんないし今の状況図らずしも不倫関係になっちゃってるから言いにくいとは思うけどさ。待っててって言ってくれるかな〜ってちょっと期待しちゃった。』
『私もあきらくん大好き。ヤキモチやきで困るなって思ったりもするけど、そこも含めて大好きなの。…はじめてなの。こんなに誰かを好きになるの。今までの私ならね、今の状況になったら迷わず切るよ。既婚者だったとか冗談じゃないって。それが本人が離婚できてないと分かってなかったとしても。…でもね、出来ない。離れられない。…好きなの。』
『だけど、今はだめ。キッチリ話つけてきて。しっかりケリつけた上で今度はあきらくんから告白してきて』
「…ごめん…ごめん…!ありがとう…!ごめん…!」
『ごめんでもありがとうでもないよ!ここは何ていうの?!』
「ゆう、待っててほしい」
『待ってるよ…!』
目に涙をいっぱいためながらも笑顔で応えてくれた。
俺の頬にキスをして振り向かずに車を降りて行った。
さっさと決着をつけてやろうと携帯を手に取った。