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出久推し
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雷雨の音が、ずっと窓の向こうで鳴っている。
僕は部屋の隅で、ぬいぐるみを抱きしめていた。
「……かっちゃん、次はいつ帰ってくるかな」
返事がないのは分かってる。
それでも、聞かずにはいられなかった。
……あの頃、かっちゃんは笑って言った。
「かっちゃん、次はいつ帰ってくる?」
「分かんねぇけど、ちゃんと戻ってくる」
「……ほんと?」
「疑ってんのか?」
「ううん。……待ってる」
そう言ったのに、もう、待つのが苦しくなってきた。
「……ごめん、かっちゃん。もう、待てないよ」
昔の僕なら、こんなふうに逃げたりしなかった。
怖くても、かっちゃんのところへ行った。
でも今は、目が合うだけで胸が騒ぐ。
「……なんでだろう」
壁に残った落書きを見る。
昔は何とも思わなかったのに、今では少し恥ずかしい。
あの頃は、少し背伸びをしないと取れなかった本も、今では普通に読めるようになった。
僕だって、ちゃんと大きくなった。
……なのに。
「かっちゃんのことだけは……分からないな」
雷雨は、まだ止まない。
久しぶりに帰ってきたかっちゃんも、またすぐに行ってしまった。
「……次はいつ会えるの?」
そう聞きたかった。
でも、声にはできなかった。
「……気をつけてね」
「あァ。テメェもな」
優しくされた。
それだけなのに、胸が苦しくなる。
昔から、僕が無茶をすればかっちゃんは叱った。
そんなふうに真正面から怒ってくれるのが、僕は嫌いじゃなかった。
だから、たまに優しくされると困る。
「……勘違いしちゃうじゃん」
あの日、ほんの少し触れた手の感触も、まだ覚えている。
どうして、こんなことまで覚えてるんだろう。
「……もっとちゃんと、握ればよかった」
後悔する。
それなのに、また触れられたらなんて思ってしまう。
「……好きになればなるほど、言えなくなるんだね」
自分でも、どうしたらいいのか分からない。
いっそ、この気持ちなんて終わってしまえばいい。
そう思うのに、かっちゃんを想う気持ちは消えてくれない。
「綺麗な恋なんて……僕には、似合わないのかも」
「……そんなの、逃げてるだけだよね」
僕が欲しかったのは、もっと普通の恋。
「好きな人と笑って……手を繋いで」
本の中にあるみたいな、そんな甘い恋。
「……僕も、そういうのがよかった」
「……でも、僕の恋は、違う」
また雨が鳴って、僕は一冊の本を閉じた。
「……僕の恋はもう少し、本で見たような、甘い感じ……」
コメント
1件
ああ〜第6話、めっちゃ胸にきたよ…!!😭💦 雷雨の音がずっと続くのが、主人公の心のざわつきと重なってて切なすぎる。。 「好きになればなるほど、言えなくなるんだね」ってセリフ、ほんとそれ…って共感しちゃったよ。 かっちゃんとの距離感、優しくされると逆に苦しくなる感じ、すごくリアルに描かれててエモかった…! 次どうなるかマジで気になる〜続き楽しみにしてるね!🔥🌸