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放課後。
教室には、まだ何人か生徒が残っていた。
らん「すち、今日ちょっと時間ある?」
すち「ん? あるけど」
こさめ「じゃあ、ちょっと来てほしい」
すち「……?」
すちは不思議そうにしながら、5人についていく。
向かったのは、誰もいない空き教室だった。
すち「……何? 急に」
いるま「昨日のこと」
その一言で、すちの表情が止まった。
すち「……昨日?」
なつ「とぼけんなよ」
すち「……」
らん「俺たち、昨日……すちの家の前通ったんだ」
すち「……」
こさめ「窓、開いてて……中が見えた」
すちは何も言わない。
みこと「……父親との会話も、聞いた」
すち「……そっか」
小さく呟いて、すちは目を逸らした。
らん「なんで何も言ってくれなかったの?」
すち「別に、言う必要ないかなって」
なつ「いや、あるだろ」
すち「でも、普通だよ」
いるま「普通って何だよ」
すち「……家ではああいう感じなだけ」
こさめ「でも学校のすっちーと全然違った」
すち「……そう?」
みこと「うん」
みことの声は、いつもより静かだった。
みこと「学校では、ずっと笑ってる」
すち「……」
みこと「昨日は、ずっと『はい』って言ってた」
すちは俯いた。
らん「俺たち、すちのことちゃんと知ってると思ってた」
すち「……知ってる?」
らん「うん」
すち「じゃあ、知らないよ」
5人が黙る。
なつ「……何が?」
すち「俺のこと」
こさめ「すっちー……?」
すちは笑おうとした。
いつものように。
けれど、うまく笑えなかった。
すち「学校では、こうしてればいいから」
いるま「……何を?」
すち「普通にして、笑って、話して……」
すち「みんなが知ってる『すち』でいればいいから」
らん「……それって」
すち「俺が勝手にやってるだけだよ」
みこと「……なんで?」
すちは答えなかった。
しばらくして、ぽつりと口を開く。
すち「……分かんないから」
みこと「何が?」
すち「……」
すち「自分がどうすればいいのか」
らん「……すち」
すち「だから、普通っぽくしてる」
なつ「普通っぽく?」
すち「うん」
すち「笑ってれば、楽しそうにしてれば、ちゃんと話してれば……」
すちの声が少しずつ震える。
すち「それでいいと思ったから」
こさめ「……すっちー」
すち「俺だって、みんなといるのは楽しいよ」
すち「嫌いなわけじゃない」
すち「でも……」
すちは顔を上げる。
目には、いつもの笑顔がなかった。
すち「『好き』とか、『こうしたい』とか……」
すち「そういうのが、俺にはよく分かんないんだよ」
いるま「……」
こさめ「でも……」
すちは握った手を震わせながら、声を荒らげた。
すち「分かんないんだよ!だからこうしてるんだよ!」
コメント
1件
第6話、読み終わりました……。 すちの「普通っぽくしてる」って言葉が、すごく刺さりました。学校で笑顔を保つこと自体が、もう彼なりの必死の処世術なんだなって。みんなに知られてしまったことで、その仮面が剥がれそうになる瞬間の緊迫感が伝わってきて、胸が苦しくなりました。 碧さんの描く心情の機微、本当に繊細で好きです。続きが気になります……!