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真っ赤な円錐状のロックオンサイトが童磨を射抜き、あんたの体が空を裂く。「クリムゾンスマッシュ!!」
鋭い衝撃波とともにあんたの蹴りが童磨の胸中を貫通した瞬間、巨大な「Φ」の紋章が鮮血のような赤さで浮き上がった。
崩壊の序曲
「あはは……何だい、これ。熱い……体が、内側から焼けるみたいだ……」
童磨の顔から余裕が消える。氷の術を繰り出そうとした指先から、パラパラと灰になって崩れていく。細胞の一つ一つがファイズのフォトンブラッドによって分解され、再生が追いつかない。
「しのぶちゃん……。君の旦那様、本当に……凄いや……。こんな終わり方も、悪くない、か……な……」
冷たい虚無しか持たなかった上弦の弐が、最期にその赤い光に目を細め、静かに霧散していった。
静寂と再会
無限城の喧騒が、その一角だけ嘘のように静まり返る。
あんたが着地の衝撃を抑えながらゆっくりと立ち上がると、背後からカタ、と小さな音がした。
「……〇〇さん」
振り返れば、そこには満身創痍のしのぶが立っていた。
彼女の瞳には、いつも隠していた「怒り」ではなく、ただ純粋な「安堵」と、溢れ出しそうな涙が溜まっている。
「本当に……来てくれたんですね。私の……私の勝手な覚悟を、こんな風に力技で上書きしてしまうなんて」
しのぶは一歩、また一歩と覚束ない足取りであんたに歩み寄る。
あんたがベルトのミッションメモリーを引き抜き、変身を解除したその時、彼女は力尽きるようにあんたの胸に飛び込んできた。
守り抜いた温もり
「死ぬつもりでした。彼を倒すために、この身を毒の塊にして……喰わせるつもりだったんです」
あんたの服を掴む彼女の指が、小刻みに震えている。
「でも……貴方が私を殴り飛ばして、あの化け物を粉砕してくれた。……生きていていいのだと、そう言われた気がしました」
顔を上げた彼女の頬を、一筋の涙が伝う。
いつも完璧な微笑みを崩さなかった「蟲柱」が、今はただの、夫を愛する一人の女性としての顔を見せていた。
「ありがとうございます。……私の、大好きな旦那様」
仲間たちの声
遠くから、カナヲや伊伊之助が駆け寄ってくる足音が聞こえる。
「師範!! 〇〇さん!!」
「うおぉぉ! やったな! あのデカい紋章、俺の背中にも描いてくれ!」
二人の騒がしい声に、しのぶは少しだけ困ったように笑い、それからもう一度、あんたの胸に深く顔を埋めた。
「……もう少しだけ、こうしていてもいいですか? 無惨を倒しに行く前に……貴方の心音を、聴かせてください」
無限城の戦いはまだ続く。けれど、この瞬間だけは、赤い光が守り抜いた「命の温もり」が、冷たい城の中に確かに灯っていた。