〜side小柳〜
俺は一人で生きて来た
もう人とは関わらず生きて行こうと決めていた
あんな弱くて俺を一人にさせる生き物‥‥
時は流れ‥‥
同じ日々を過ごす事に飽きていた
そんな俺にある組織が近寄って来た
お前の『力』を貸して欲しいと
何度も断ったが俺の力を欲しがる連中のしつこさに、少しの興味と成り行きでその組織に加わる事となった
他に集められた三人
叢雲カゲツ
星導ショウ
伊波ライ
そして俺を含む四人で悪の組織に立ち向かう
それが西の『Dytica』の仕事だ
四人で戦地へ出向きはするが、俺は所詮一匹狼
アジトへ戻って来てもみんなとつるむことはしなかった
それでも長く過ごしているうちに俺は少しずつ変わっていった
「‥‥なーぅ」
「‥‥なんだよ」
「んなーぅ」
「行かねーよ」
「うぅー」
「引っ張んな。穴が開くだろ」
俺の着物の裾をオトモが引っ張る
「お前一人で行ってこいよ」
頭と喉を撫でてやる
少しは機嫌が直ったのか、手のひらに頭を擦り付け始めた
その時スーッと襖が開かれる
「お前さ、下にみんな居るんだから少しは降りてこいよ」
「‥‥なんだよ伊波、ノックくらいしろよ」
「あ、ごめん」
謝りながらもズカズカと部屋の中に入ってくる
「なんかあった?」
「もう寝るのか?」
「‥‥そうだけど」
「お前‥‥怪我してね?」
「‥‥してねーよ」
言い終わると同時に左腕を掴まれる
「‥‥っ」
「ん?‥‥痛いんだろ?」
「‥‥痛くねーよ」
「怪我してるじゃねーか」
廊下に置いておいたであろう救急箱を取りに襖を開ける
「オトモ!俺の部屋開いてるからそっちで遊んでおいで」
「ぅなーっ」
伊波に促され、喜んでオトモが出ていく
「アイツまたお前の仕事道具で遊ぶぞ 」
「良いよ。うちのオトモも喜ぶし」
「そうかよ」
「早く腕出して!」
「‥‥‥‥」
俺は着物の襟を緩め、左腕を出した
「消毒したのか?」
「‥‥‥‥した」
「してない間の取り方だったな」
俺が巻いた包帯を取り、手際よく治療をしていく
治療を終え、腕をしまう
伊波は救急箱を片付けると電気を消した
「おい!勝手に消すなよ」
「良いだろ、どうせ寝るんだから」
そう言うと勝手に俺の布団の中に入って行く
捲られたままの布団
伊波が早くとばかり、空けてある場所を手で叩く
あんなに人とは関わらずに生きて行こうと決めていたのに‥‥
いつの間にか伊波に絆される俺がいた
布団の中に入ると伊波の手が俺を抱きしめる
「小柳って体温低くね?」
「文句あるなら離せよ」
「‥‥なんか今日俺に引っかかってくるけど、なんかあった?」
「‥‥‥‥なんもないよ」
「そう?」
伊波の手が着物の隙間から素肌に触れる
「‥‥‥‥っ」
「俺にはなんでも言ってよ、小柳」
「んぁっ‥‥‥‥」
そう
俺にはお前に伝えないといけない事がある
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コメント
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え!ライロウは見たかった! もしやてぇてぇ感増すかんじですか! 楽しみー(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク