アツシさんとの飲みの続き。
「そういえば涼架くん…でいいかな?」
「はい。いいですよ」
「涼架くんは恋人いるの?」
「ここのところ仕事が忙し過ぎて恋人つくるような時間も余裕もないですよ」
もちろん理由はそれだけじゃないけど。と心の中でだけつぶやき大きなため息をつく。
「ふ〜ん。じゃあさ、俺が立候補してもいいかな?」
そう言ってアツシさんが顔を寄せてそっと手を握ってくる。
「なに冗談言ってるんですか、俺、男ですよ」
気づかない振りをしてそっと視線をそらすとアツシさんが耳元でささやく。
「俺、男が恋愛対象なんだ。君だってそうなんだろ?」
そう言われてどう返していいものか内心オロオロしている俺にかまわずアツシさんは言葉を続ける。
「君なんて好みのタイプそのものなんだ」
そうストレートに言われ顔が熱くなる。
「涼架くんは俺みたいなのはダメ?嫌い?」
「い、いえ、そんな事は全くないですけど」
かっこよくて大人の落ち着きがあって優しい憧れのバンドメンバー。正直言ってなんで俺なんかを口説いてくるの?って感じだ。
「からかわないでくださいよ」
そうごまかして話題を他にそらすとアツシさんもそれ以上突っ込む事はなく自然に他の話題で盛り上がり、その後はとても楽しい時間がすごせた。
「じゃあそろそろ店でようか」
そう言って席を立ち店の外に出るとスッとアツシさんに腕を引かれて抱きしめられる。
「ねぇ、この後ホテルに行こうよ」
「えっ?」
「ゲイだとなかなか気にいる子との出会いもないし、だからってこれだけ有名になると処理のために変なの相手にすると後々大変な事になるしさ。君もそうなんじゃない?」
確かにそうだ。元貴が好きだと自覚したせいもあるが、顔と名前が売れ過ぎてこっそり遊び相手を探す事すら難しい。男女でもそうなのだ。男同士となるとさらにきびしい。
「俺、本当に君の事気に入っちゃったんだ。ダメかな?」
そう言いながら優しくキスしてくるアツシさんを俺は受け入れていた。
正直元貴の事さえなければ大喜びでOKするところだ。
…でも、なぜかときめかない。
アツシさんのキスはやっぱり上手くてだんだんと息が上がってくるのがわかる。
俺は元貴の事が好きだ。でもこの思いが報われる事はない。いっそ離れてしまえればいいが仕事上そんなわけにもいかない。報われる事のない片想い相手と常に行動を共にする事に正直疲れてきた。
もしこのままアツシさんと恋人やセフレにでもなればこの思いも少しは楽になるのかな。それに元貴への思いが暴走して気持ちがバレる心配も少なくなるのかもしれない。
アツシさんとの関係がバレたとしてもどうせゲイバレしているのだ。元貴の事が好きだとバレるよりその方がマシなんじゃないかと思えた。
…俺はなんてズルい男なんだろう。
涼ちゃんアツシさんに流されてしまいました。
さてこの後はどうなるでしょうか。
お話とは別ですが、最近投稿したらすぐに読んでくださる方が増えてきてとっても嬉しいです☺️ありがとうございます✨
コメント
11件
なんか、両片思い
涼ちゃん、正気になって( ;´꒳`;) もっくんに永遠に恋して欲しい( '-' )
アーツーシー!(二回目) この誘いにも簡単には乗らずに迷っている藤澤さん…大森さんのことかなり本気ですやん! 複雑ぅ… 大森さん頑張って✨