ホテルにて。
抱き寄せられて口づけが深くなっていくのをどこか他人事のように見ている自分がいた。
そのままホテルに移動してベッドに押し倒される。
「涼架くん。本当にいいの?」
アツシさんが身体をまさぐり色々な場所を刺激してくる。それに身体が反応しながらも俺の頭の中は元貴の事ばかりが浮かんでくる。
あの日の夜が思い出される…。
「涼架くん、涼架くん」
何度も名前を呼ばれハッと顔を上げアツシさんを見上げると、アツシさんは大きなため息をついた。
「泣くほど嫌なら無理に相手しなくてもいいんだよ」
苦笑しながらアツシさんにそう言われて初めて自分が泣いている事に気がついた。
「あれ?俺?どうして…」
アツシさんは身体を起こし、乱れた俺の服も整えてくれる。
「大丈夫。俺はそんながっつくほど若くもないし、泣いてる子を無理やり襲う趣味もないからさ」
「すみません。俺、どうして…そんなつもりじゃ…」
そう鼻をすすりながらあやまる俺をアツシさんはそっと抱きしめてくれる。それは性的な要素の感じられない純粋なハグだった。
「無理に泣き止まなくていいよ。なにがあったか知らないけど、こうしててあげるからとりあえず泣きたいだけ泣いちゃいな」
そう言って頭を優しく撫でてくれる。
その瞬間、涙がぶわっと溢れ出るのがわかった。俺はアツシさんにしがみつき声をあげて泣く。
ここしばらくのダメだとわかっていても淡い期待をしてしまいその期待が裏切られる。やめないととわかっていても好きな気持ちが止められないそんなツライ日々。
アツシさんの優しさに逃げ込んでしまいそうになるくらい。それでもあきらめきれずにアツシさんにまで迷惑をかけてしまった自分が情けなくてたまらなかった。
いったいどれくらいの時間がたっただろう。だんだん涙もおさまってきた。
「落ち着いたかい?」
ずっと背中を撫で続けてくれたアツシさんが優しく問いかけてくれる。
「はい。ありがとうございました」
涙で顔がぐちゃぐちゃになっているだろうと思いながらもアツシさんの顔を見てお礼を言う。
ほらこれで顔を拭きな、と渡された濡れたタオルで顔を拭く。
「それで、どうしたの?ここまできたんだから、相談相手になれるかどうかはわからないけど話し聞くくらいなら聞いてあげるよ」
「……」
「好きな人がいるんだろ?」
「…はい」
ここまできて隠し事もないし、それに誰でもいいから聞いて欲しい気分だった。
「それで、その相手とうまくいかなかったの?」
「いえ、そいつゲイとかじゃなくて女の子が好きな普通のヤツで」
「ああ、報われない恋ね。でも俺らみたいなのだとそんなの慣れっこだろ?」
「まぁ、そうなんですけど…」
「わかってても諦めきれないってやつか。って事は身近な相手か。もしかして大森くん?」
アツシさんにそう聞かれて俺はうつむいて何も言えなくなってしまった。
いや、アツシさんいい男すぎ😅
アツシさんの貞操観念のおかげで涼ちゃん危機を免れました。
それにしても泣いちゃう涼ちゃん。よっぽど気持ちの膿が溜まってたんだよね。
わたしは今のところ書き溜めた在庫放出してるトコなのでいくらでも投稿できるのですが、在庫少なくなってきてるしとりあえず1日2個までにしとこうと思ってたんですが、前回あんなトコで終わってるし、個人的にこの回好きなのでみなさんにはやく読んでもらいたいなぁなんて思って投稿しちゃいました。
よろしければコメントで感想などお待ちしてます✨
コメント
24件
アツシさん勘鋭過ぎるだろ笑
アツシさん、、、いい人やった( ߹ㅁ߹) 涼ちゃん自覚してくれて嬉しい⸜( ˶'ᵕ'˶)⸝ これから一体どうなっちゃうんだーෆ⸒⸒
アツシさん紳士的でよかたー!!!!