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上から降って来たのは、人だった。
罰…先生は…そう言った。どれだけ住み慣れていても、どれだけ長い時間住んでいたとしても、違う世界という事実は、覆らない。でも…でも、私…いや、私達にとっては、本当は違う世界が、正解の世界。その考えを無視するなんて…こんなの…こんなの間違ってる!
「私達は…負けないよ。絶対に。」
「当たり前だよ。私は、私だ。」
「絶対に、」
『帰る!』
人が言う。
「そんなに、間違った世界が良いのか?」
答えは、決まっている。
「もちろん。私達にとっては、本当の世界。間違ってなんかいない。」
「そうか…。住み慣れた世界が良いか。」
頷く。
「急に違う世界に行くことは苦となる。よし。帰って良いぞ。」
「え…?なぜ…」
手のひら返しだ…
「罰なんて嘘よ。あなた達の本音を聞きたかっただけ。本当に似すぎてる。あなた達は。」
「なんだぁ〜。」
「さぁ、住み慣れた世界に帰りなさい。」
鏡の前に立つ。
「お別れだね……」
「また…会えるかな…?」
「会えるよ…きっと。」
「そうだね。」
進む。帰る。それぞれの世界に。
次の日。
「おはよう。」
「おはよう。」
「愛美。おはよう。」
「おはよう。」
「皆…おはよう。」
「…戻ったんだよな。」
「無事に…ね。」
夜の冒険は終わった……はずだった。
「皆さん。」
「あ、先生。」
「6人でこっちに来て。」
なんだろう…。
「皆は…交流を持ってしまったからね。特別よ。」
壁に、扉が現れた。
「え?何…これ…。」
「階段?」
「愛美さんは、奥まで見に行ったでしょう?この上の廊下を。」
「5階への…階段…」
「皆は、この階段を上ることができる。そして、世界の狭間に行ける。秘密ね。」
「はい。」
世界の狭間…あそこで、会えるってこと…会いたい。
放課後。階段を上り、扉の前に行く。そして、開く。
ああ…やっぱり…似てるんだなぁ。
「また…会えたね。」
end