テラーノベル
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人混みを抜け、少し静かな参道に差しかかった。
屋台の明かりは遠ざかり、提灯の柔らかな光が二人の影を揺らす。
「……楽しそうだな、亮と美優ちゃん」
悠真が横目で二人を見て、少し笑った。
「はい。あの二人、見てるとなんか面白いです」
咲もつられて微笑む。
けれど、次の瞬間。
人の波に押されて、咲の肩がふらりと傾いた。
「――っ」
倒れそうになった体を、悠真の手が支える。
「危ない」
咲は思わず顔を上げ、近くにある悠真の横顔を見つめた。
胸の鼓動が速まっていくのを止められなかった。
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