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「妹ちゃん、大丈夫か?」
支えたままの手をそっと離しながら、悠真が覗き込む。
「……はい。ありがとうございます」
咲は顔が熱くなるのを誤魔化すように、慌てて姿勢を正した。
ちょうどそのとき、遠くから美優の声が響いた。
「咲ー! りんご飴買ったよ! 一緒に食べよ!」
振り返れば、美優がりんご飴を二本手にして、亮と並んでこちらへ戻ってくるところだった。
「ったく、奢らされたわ」
亮がぶつぶつ言いながらも、結局は楽しそうだ。
「……戻ろうか」
悠真の一言に、咲はこくりと頷いた。
夜空に、最初の花火の音が遠く響きはじめていた。