『待てっどこに行くんだ!』
『……恋人に会いに』
『家族を探しに』
そう淡々と歩き去る、私はそれを止めようとしたが時間が流れるにつれ諦めていた。
翻訳機能のある機械、味は薄いが食べ物が出せる機械など進化していったこの世の中で、この星に残されたのはたった1人。
私だけだった。
✩.*˚✩.*˚✩.*˚
星を追われる逃亡者、逃げるしかないこの王はアイツらの想いを背中に背負う。
それがどれほど重いものか、誰も知らない、だが王はその重さを知りながらも背負い船へと歩いてゆく。
きっともう誰も使わないであろう。この船はそっとこの星を抜け出すに十分な燃料を持っている。
あとはどこに助けを求めるかだ。
見知らぬ星に向けるのも迷惑であろうか?だとしてもこの後悔を早く消したい、そして自分を貫いた俺をただあいつらに認めてもらいたい。
背負ったこの思いあいつらは見ているだろうか?
母様、俺の成長を見ていますか?
お世辞でも好きとは言えない母様に、厳しかった母様に認めようと努力した覚えがそっと脳に過ぎる。
☆彡.。☆彡.。☆彡.。
『母様!』
『ーーー』
『え?』
『ーーーー』
『なんで、ですか?』
認められたい、そのためが一心で余は勉強をし剣術をみにつけ、と少しずつ努力を重ねていた。
『ーーーーーー』
『…はい、分かりました』
落ち込みながらとぼとぼと部屋に戻る。また勉強のやり直し、また剣術をみにつける。
その苦しさを味わいながらも認めてもらいたく我慢する、胸が痛くて辛くて、だとしても母のそばにずっといる。
いつか認められる日を信じて…笑って過ごす。
☆彡.。☆彡.。☆彡.。
今ではそれすらもできない、誰にもすがれない、自分自身でしか自分を守れなくて自分自身でしか自分を信用出来ない。
誰よりも信じれるのは自分だけである。
だが人に縋らなければアイツらの思いを背負った意味がなくなってしまう。
生き延びた俺はアイツらのために前に進む。
爪先を前に向けて…
少しずつ船へと乗り込む。
重い体は無理にでも起こし無駄に頭に叩き込んだその記憶で船の仕組み、全ては分からなくても基礎は覚えてきたんだ。
記憶を振り絞り操作する。するとふわりとちょっとずつだが浮き出す。
こんなふうになるのか、と改めて思う。
地図も少しボロボロだが貼ってはある。それに機械にも星の位置も表示されるようになっている。
『化学はすごいと身に染みるな』
その化学とやらで滅ぼされたのが余、俺の星であり国だがな
『あそこは』
盗賊がいると少し名の知れた星が見当たった。本当は見知らぬと言ってもいいが、名の知れていた方が安心はできる。
元ではあるが王だったという事実は変わらない、なら盗賊も助けてくれるのではないか?
とも考えるも遠のく王座だけが頭を過ぎる。俺は王に相応しくないのだろうか?
背負った重さによりさらに心を不安定にさせる。そんな時は客人がやっていたことでも真似しよう。
☆彡.。☆彡.。☆彡.。
『何やってるんですか?』
『あぁ、ギャンブルだ』
『危ないものでは?』
サイコロを三つ並べ転がす怪しい客人、今でも脳のそこに焼き付いている。
『サイには女神が宿ってる』
『本当ですか?』
『人それぞれだがなぁ』
にやける客人はただそれだけ余に言いギャンブルのことを多少教えてもらうが母様に叱られて記憶から消そうとした。
だが「サイには女神が宿ってる」これだけは忘れられなかった。
☆彡.。☆彡.。☆彡.。
見知らぬ星に向けるVenez m’aider
生かされた意味を瞑想する。だが答えは出ない、分かっていたことだ。
再建の日を夢見よう。
そして賭けよう。
この星は助けてくれるのか?はたまたしてくれないのか?俺は助けてくれるにベッドする_________
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