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『わ〜綺麗〜!!!
わ〜これも可愛い!!!
わ〜キラキラしてる…………』
どうやら実季は簪が欲しかったらしい。
今付けている花柄のものは、ずっとつけていたせいか絵が剥がれてしまってきているのだそう
『これ、可愛いなぁ〜……』
そう手に持ちながら見つめるのは
キラキラと輝く持ち手で、
シャラン
風鈴のような装飾がつけられている簪だ。
『可愛い〜……けど、高い……』
ぐぬぬ……
そう、実季は、商品と睨めっこしてる。
可愛い____
後ろから腕を組んで見ているが
思わず
実季の隣にしゃがみ
「買ってやろうか?」
と。
そう言うと実季は
『ええ!?!?』
一瞬、目がキラキラと輝いた気がしたけれどすぐに
『いいよいいよ!悪いよ!!!』
とブンブンと手を振る。
「欲しいんだろ?」
『いやそれは欲しいけど……悪いし……』
この、安い方買うよ、だなんて
言うから____
昔を思い出す____
好きなもんなんて買える余裕がなくて
好きなもん食べる事なんてできなくて____
「兄ちゃん!これほしいよぉ」
「我慢しろォ」
「やだ、これ欲しいい!」
「分かった、兄ちゃんが買ってやるから仕事の給料が入るまで待ってろ」
「うん!ありがとう!お兄ちゃん!」
給料____と、いっても
全額クズな父親に使われてしまう____
ああ____
思い出す____
『ほんと悪いから……』
「いいから貸せ」
『えっ?』
俺は実季の髪を結い
簪をつける____
「ほら。よく、似合ってんじゃねェか」
そう言って微笑み
頭を撫でる____
「おばちゃん、これ欲しいんだけど。」
「はいよ〜」
「つけて帰るわ」
金を払い
俺は実季の手を引き店を出る____
『さねみさん、、』
実季は俺の服の裾を掴み言う
そして____
『ありがとう!!』
満面の笑みで俺を見る____
そして
シャラン
『見て!可愛い?』
くるっと回り簪を見せる姿は____
「あァ、そうだな」
可愛くて可愛くて堪らねェ____
_________
『なにかお礼がしたいなぁ!
あっ!お揃いでこれ買う!?』
「いらねーわ笑」