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暗がりの拠点に、ミミカの甲高い声が響いた。
「ちょっとちょっとぉ!里香先輩、ひどすぎます〜!魔法少女の新曲、内緒にしてたんですかぁ!?」
机に両手を叩きつけ、ぷりぷり怒ったように身を乗り出すミミカ。
対する里香は、髪をかき上げることもなく無表情のまま、冷ややかな視線を向けた。
「……はぁ。なぜ私が、あなたにそんなことを言わなければならないんですか」
「え、えぇっ!?」
ミミカの抗議は、まるで壁にぶつかったように跳ね返される。
その時、重たい扉が軋む音とともに、奥からブーツの足音が近づいてきた。
「朝っぱらから……何を騒いでやがる」
現れたのはリンだった。鋭い赤い瞳を細め、部屋を一瞥する。
里香はすぐに立ち上がり、頭を下げる。
「……おはようございます」
「おっ、幹部〜!おはようございますぅ〜!」
軽薄な笑みを浮かべて、ミミカが手を振る。
「アオメはどうした」
「……今朝、体調不良で休むと」
「ふん、またか。あいつのことだ、珍しくもない」
リンは鼻を鳴らし、煙たそうに腕を組んだ。
「さっさと仕事に行け」
「かしこまりました」
里香は短く答え、踵を返す。
「え、え〜!?今回って里香先輩が行くんすか〜?」
能天気な声が背後から飛んできた。
その瞬間、里香の足がぴたりと止まる。振り返りもせず、ただ静かに。
眼鏡の奥の瞳が鋭く光り、背後のミミカに冷気を浴びせるような視線を投げた。
「……」
「ひぃっ……!」ミミカは肩をすくめ、思わず声を漏らす。
「す、すみませんでやんす〜!」
リンは深々とため息をついた。
「……まったく、朝から騒がしい連中だ」