テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「だぁって有夏。ちゃんとココ、柔らかくしてあげないと。俺の挿れた時、有夏が辛かったら嫌だもん。ナカ、もっとトロトロにしとこ、ね?」
言葉と共に指がゆっくり抜き挿しされる。
「そこ……いくせっ」
シーツを握り締めて、肩を震わせて。
「何だ、用事ってそれだけだったんだね。でも有夏の部屋、掃除出来て良かったよ。気になってからねぇ」
うん、と言いたいのだろう。有夏が呻き声をあげる。
「いくせ、も……いいから。おまえの……はや、くっ」
「俺の何? どうしてほしいの?」
「ひゃあっ……あっ! んん……」
後ろから首筋に息を吹きかけると、腰がガクリと震える。
「有夏? こんなんでイッちゃ駄目だよ? ん? 先走りかな」
「はぁぁ……ぁっ」
この恰好、有夏の顔が見えないからなと呟いてから、幾ヶ瀬は身体を少しずらせた。
ゆっくりと指が引き抜かれる。
「ゆび、ヤだぁ。ちがうの挿れて……いくせの……」
貫かれる期待に、そこはひくひく震えている。
が、待ち望んだ太いモノはなかなか入口に近付いてこない。
代わりに腕をとられた。
「なに?」
ベッドに正座した幾ヶ瀬は、しっかり服を着込んだままだ。
股間の方は勿論かなり大きくなっているのが分かるが、しかし装っているだけだろうか。表情は涼しげだ。
その胸にもたれるようにして座らされて、有夏は不満そうに身をよじった。
「そういや、オーストラリア土産の大きなTシャツ持ってたよね。有夏が着たらブカブカになるんじゃないって言ってたやつ。アレは1回も着てないよね」
「それがなに?」
「見たいなぁ。裸でTシャツ1枚ってやつ」
「なにいって……たいしたシュミだなっ……」
有夏の顔は真っ赤で、呼吸は荒いままだ。
「ソレ着ろって? いいよ、着るからぁ。だからぁ、はやく挿れ……」
「いや、いいよいいよ。クローゼットの中は整理してないからグチャグチャでしょ。それはまた今度にしよ? 俺さ、ちょっと考えたんだけど」
「なに?」
「今日はちょっと趣向を変えてみない?」
「は?」
「ほら、有夏。マンネリは嫌だって言うじゃない。俺あれから色々試してるんだけど、気付いてた?」
「はぁ?」
「この前は立ちバックしたよね。意外と初めてだったでしょ。気持ち良かった?」
「いくせ……?」
有夏が呻く。
そんなのイイに決まってると、涙をためた瞳は幾ヶ瀬を見ていた。
「趣向って……またヘンなイクセさんのやつすんのかよ。有夏のコトこんなにしといて、それから言うなんて幾ヶ瀬きたない」
「ごめんごめん。変なじゃなくて、ルネッサンス末期のイタリアの男娼専門の娼館ね? アレの続きもいいよね。でも俺、気付いたんだ」
「だからなに?」
「世界史も地理も分からない有夏に、いきなりルネッサンス期イタリアの話しても理解できるわけないって」
「いくせ? お前、有夏のこと軽くバカにしてんじゃ?」
アハハ、と幾ヶ瀬は笑って受け流す。
「じゃん! 今回は教師と生徒のラブロマンスなんて考えてみました。どうだろうか」
「どうだろうかって、お前がどうだろうかだよ。なんでそんなにテンション高ぇの?」
幾ヶ瀬の胸に顔を埋めたまま、有夏。精一杯の悪態をつく。
だが、無意識だろう。
その腰が求めるように揺れていることに、幾ヶ瀬は気付いていた。
「俺が教師で、勉強が全然出来ない有夏の為に補習をしてるって設定で。教科は何がいい?」
「設定!? 何だコイツ……何なんだ、このヘンタイは」
「まぁまぁ。教科は何? 選ばせてあげるよ?」
「何でもいいよ。てか設定って……ホンモノかよ」
この瞬間、呆れが性欲を上回ったか。
幾ヶ瀬を見る有夏の目が、憐れむように細められた。
ホンモノのヘンタイが現れたよ、と小さく呟いている。
「ホントに何でもいいよ。てか、どうでもいいわ」
「そう仰らずに!」
「キッモ」
「まぁまぁ、そう仰らずに!」
「そういやお前、算数が上手だったな」
「うん? 数学かな。あと、上手とは言わないと思うな」
「高校んとき、よく勉強みてくれたよな。幾ヶ瀬、イガイと教えるの上手いかもよ?」
「ありがとう。あの頃は教えるのが上手いなんて思ったことないけどね。有夏がちっとも成績に反映させてくれなかったから」
「……ゴメン」
「まぁいいよ」
言いながら幾ヶ瀬の手が動いた。
有夏の後ろの入口を指の腹でこすったのだ。
「ずるいっ! そこさわったら……んっ」
切なげに喘ぐ有夏に軽くキスして、直ぐに指を離す。
「続き、してほしい?」
「……きたねぇ、幾ヶ瀬」
幾ヶ瀬の唇が歪む。
「おねだりしてよ。先生、シテって」
「せんせ……やっぱヤだ!」
一回の拒絶など、むしろ可愛いものだ。
有夏を胸に抱きしめたまま、幾ヶ瀬はその耳に囁く。
「はい。ここは教室ね。ちなみに放課後。ああ、ヤらしっ……。小テストが全然出来なかった有夏の為に俺が補習をしてるとこ。ああ、設定がすでにヤらしっ!」