テラーノベル
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『咲、この前の夏祭りのとき、亮くんとちょっと話したんだけどさ』
通話に切り替えると、開口一番に美優がそんなことを言った。
「え? お兄ちゃんと?」
思わず声が裏返る。
『うん。あの人、昔から知ってるけど……やっぱり大人っぽくなったよね』
少し照れたように笑う声が耳に届く。
「へえ……美優がそう言うなんて珍しい」
咲はクスッと笑った。
『ちがうちがう! 変な意味じゃないってば。ただ、からかわれるとムカつくけど、なんか安心もするっていうか……』
美優の言葉を聞きながら、咲の胸に妙なあたたかさが広がった。
(美優とお兄ちゃん、もしや……?)
その予感を打ち消すように、咲はわざと明るい声を出した。
「……まあ、美優らしいね」
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