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hbfwの初々しい感じ可愛い~😭😭😭
初コメ失礼します🙏 hbさんの初々しいというか感情に名前がつけられずに苦悩してるのが繊細に書かれててめちゃくちゃ引き込まれました…! らせんさんの小説楽しみにしてたので久々の更新嬉しいです🥰🥰 続き楽しみにしてます!
この作品は【hbfw】です。
この作品はライバー様の名前をお借りした二次創作です。
ご本人様には一切関係ありません。
拡散、転載、スクショなどはお控えください。
また、全ての配信を追えている訳では無いので口調などが違う可能性があります。ご了承ください。
タグの意味と界隈のルールを理解している方のみお進み下さい。
「ごめん、いったんストップで」
練習の最中、ローレンが突然小さく手を上げたことでピタリと音が止まる。メンバーの視線が一挙に集まる中、ローレンが真っ直ぐと近づき立ち止まったのは、不破湊の目の前だった。
「湊〜?」
「んぇ?どしたんローレン」
訝しげな表情で、怪しむようにジッと不破の顔を覗き込む。不破は何やら分かっていない様子で、きょとん、と大きな目を猫のように開いて、ただ眼前の顔を見つめ返している。
「んー…、ちょっと失礼しますよ、っと」
「…え?なん……ちょ、つめたッ……もーなんやねんロレぇ」
ローレンの手のひらが不破の額に触れる。瞬間、ひやっとした感覚に襲われて反射的に身を縮めたが、表情は相変わらずふにゃふにゃと笑っているだけだ。そんな不破をよそに、ローレンは「はぁ、」と溜息をひとつ吐いて、不思議そうにこちらを見ている他2人にちょいちょいと手招きをして呼び寄せた。
「どうしたんすかロレさん?」
「これ、湊熱ある。結構重症みたいだから今日はお開きだわ」
「え”ぇッ!!?」
「熱マジか」
ローレンの言葉を聞いた途端、ワタワタと焦り出す渡会、少し眉を落として不破の顔を伺うイブラヒム。
当の不破は、「俺すか!?」という表情でみんなと顔を見合わせていた。
ローレンはもう一度溜息を吐いた。
「練習始まったくらいからちょっと顔赤いなとは思ってたけど、こんな熱あるなら普通休むだろ……。さっきだって、普段の湊ならしないようなミスしてたし」
「すげぇ、よく見てるんすねロレさん」
「ロレ俺のこと好きすぎか、さすがに」
「あーだるいだるい」
「ていうか本人が気づかないってなに?」
「まあバカは風邪ひいたことに気づかないって言うから……」
3人が一斉に不破の顔を見る。そして次に、渡会の顔を。
「なぁんで俺の方見るんすかぁ!?」
「なんでって、ねぇ」
「うん」
「んはは〜」
笑い合う先輩達を見て、渡会は納得がいかない、という顔で「う”ぅ…」と唸り声を漏らした。
「とりあえず、今日の練習は終わり。片付けはやっとくから湊は早く帰って休みな」
「いやや!俺まだやれるって!やらせてください!!」
「いやダメだってw」
「こういう時は素直に甘なよ。悪化する方がかえってよくないだろうし」
高熱の割には元気に喚いていた不破が、イブラヒムの言葉できゅっと口を噤む。顔には出さないが、どうやら本気で心配しているらしい。
「…んぇ〜……マジかぁ…ごめんなみんなぁ」
申し訳なさそうにしょんぼりと肩を落とす。
そんな不破を横目に、ローレンはくい、と渡会を指で呼び寄せ、自分よりもやや高い頭を少し下げさせてから耳打ちをした。
「…?なんすか?」
「ひば、湊のこと家まで送ってやってくんね?1人だとちょっと怖いから」
「ぇ”ッ、俺が…??ロレさんが行けばいいんじゃ……」
「俺とかイブじゃ、体格的に無理だって。つーか、それともなに、湊のこと嫌いなん?」
「きらっ……そんなわけないじゃないっすかぁ”!!」
「っるせ…w、んじゃまあ、頼んだぞ後輩」
励ますようにポンと背中を押したローレンは、どこか含みのある薄ら笑みを浮かべていた気がする。
【side H】
残って片付けをしてくれるという先輩2人に別れを告げ、スタジオを出ると、外はすっかり日が沈んでいて、冷たい夜風が髪を揺らした。
スタジオの前にはあらかじめ呼んでおいたタクシーが止まっており、少し足元が危うい不破さんに手を貸しながら一緒に乗り込む。その際に触れた不破さんの手のひらは確かに酷く熱を持っていた。
本当に、こんな状態でよくスタジオに来れたものだ。この高熱はいくらなんでもエナジーじゃ補いきれないだろうな。
「わっちさん、姿勢つらくない?大丈夫?」
「…ん、へーき」
そう言われ掴んでいた手を離そうとすると、不破さんが「ぁ、」と小さく声を漏らした。
「ん?」
「………そ、の、ひばがいやじゃなければ…なんやけど……。手、繋いだまんまにしててもええ……?」
躊躇った様子で、俺の顔を伺うようにして聞いてくる。
一瞬呆気に取られてしまったが、そんな顔で言われて、NOと答えられるほど薄情な男には育てられていない。
「そんなんもう、お安いご用っすよ」
そう返しもう一度手を繋ぎ直すと、不破さんは安心したようにふ、と息をついた。
タクシーの運転手さんに不破さん宅の住所を伝え、車が発進すると、しんとした沈黙が車内を包む。こういう時、何か話した方がいいのかもしれないが、隣で苦しそうに浅い呼吸を繰り返している不破さんの横顔を見ると、声をかけるのはどうにも憚られる。
濡れた唇から熱い息を吐き出す様子がやけに艶美に思えて、なんだか居た堪れなくて、思わず窓の外に目線を逸らした。
広い環状線沿い。たくさんのテールランプと共に、先ほどスタジオで言われたロレさんの言葉が、脳内を去来する。
『それともなに、湊のこと嫌いなん?』
……嫌いなわけがない。
誰が嫌いになれるんだこんな人。努力家で、明るくて、いつも俺なんかを気にかけてくれるような優しい人で。
俺をバンドに誘ってくれた時に、「ボーカルはひばしかいないって思ってた」と言って笑いかけてくれたのが、どれだけ嬉しかったか。
不破さんのことは先輩としても人としても尊敬している。
いつも俺の前を行く憧れの人で、
好きだと思った。
憧れと恋愛感情の線引きなんて、恋愛経験もさほど無いバカな俺にはわからない。
今抱いている感情はどちらなのか、誰に聞けばわかるのだろう。同期の、黒髪の彼なら、喜んで聞いてくれるだろうか。
わかったところでどうと言うわけでもないが。不破さんにとって俺は、ただの事務所の後輩でしかないのだから。
「ひば…」
小さな声が耳に届く。窓から目を離して向くと、不破さんが不安そうにこちらを見つめていた。
「ごめんな、送ってもらっちゃって。ひばにもみんなにも迷惑かけて、ごめん」
俯いて、申し訳なさそうに瞳を揺らす姿が痛々しかった。こうやってすぐ他人本位な考え方をしてしまう性格にも、きっと惹かれていた。
「……いつものわっちさんらしくないって。俺もみんなも迷惑だなんて思ってないよ」
だから、そんな顔しないで。
自分のよりも一回り小さく感じる不破さんの手を、もう一度ぎゅっと握り返すと、
「はは、お前はやさしいなぁ…」
と力無く笑みを溢したきり、俺の肩に頭を預けて目を閉じてしまった。高い体温が服越しにじんわりと伝わってくる。
この時間がずっと続けばいいのに。
病人相手にそんな自己中な考えが頭に浮かんでしまって、急いで掻き消した。
不破さんはそのうち、いつの間にか眠ってしまったみたいだった。
to be continued…