『 ………………… 』
ベットから起こした斉藤香菜(カナ)の体は気怠げで重かった
もう学校では一限目は終わる頃だろうか
二階の自室からリビングのある一階に降りる
リビングには誰もいなかった
お母さんは私が生まれてすぐに他界した
お父さんは再婚相手と再婚してから酒におぼれ幻覚を見てベランダから落ちた
新しいお母さんは私のことを全く気にしてない様子だった
元々お父さんの金目当てで結婚したのだろうか
今は色々な男を取っ替え引っ替えしながら夜の仕事をしている
『 ……………… 』
誰もいないリビングがやけに寂しく見えて嫌気が差した
制服に着替えて少量の現金とスマホとスクールバックを持って家を出る
学校に行く為電車をいくつか乗り継ぐ
もう昼近くのこの時間帯は基本人は朝よりは少なく快適である
学校の校門前に着く
だが、カナは校門前でとどまり来た道を引き返した
『 学校なんて…ただの監獄だよ… 』
誰に聞かせるわけもなく独り言を呟く
フラッシュバックするのは同級生の腫れ物を見るかのような目
特別な容姿なわけでもない
何かのコンクールなどで金賞を取ったわけでもない
彼氏ができたわけでもない
ただ、実の両親が居ないだけだ
そのことだけなのにみんなが彼女を避けていく
先生も腫れ物に扱うように接する
ただ親がいないだけで何故特別な扱いを受けなければいけないのだろうか
きっと善意なのはわかってる
だけど私はとにかくそれが嫌だった
学校を背に向けた彼女は何かに絶望するかのように歩き始める
どこにも行く予定がなくなった彼女は比較的近くにある図書館へ足を運んだ
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