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待機室のライトは、変わらず静かに揺れていた。
恒は、ひろの腕にもたれたまま、浅い眠りの中にいた。
その呼吸が、少しずつ深くなっていく。
そして、ふとした瞬間に、恒がまぶたをゆっくり持ち上げた。
視界はぼんやりしていて、
何がどこにあるのか、すぐにはわからなかった。
でも、頬に触れている布の感触と、
腕の下にある温度で、すぐに気づいた。
——ひろの腕だ。
恒は、少しだけ身体を起こそうとした。
でも、ひろがそっと手を添えて、動きを止める。
「……もう少し、いいよ。」
恒は、目を伏せたまま、静かにうなずいた。
「……寝てた?」
「うん。少しだけ。」
「……ごめん。」
「謝ることじゃないよ。」
恒は、腕にもたれていたことを思い出して、少しだけ顔を赤らめた。
でも、ひろは何も言わずに、ただ隣にいた。
「……重かった?」
「ううん。子供みたいだった。」
恒は、少しだけ笑った。
その笑いには、まだ眠気が混ざっていた。
「……子供か。」
「そう。」
恒は、何も言わずにうなずいた。
その言葉が、どこか心地よかった。
ふたりは、しばらくそのまま座っていた。
出撃の準備は進んでいたけれど、
今だけは、時間が止まっているようだった。
「……ありがと。」
恒が、もう一度そう言った。
今度は、ちゃんと温度があった。
ひろは、静かにうなずいた。
それが、恒にはちょうどよかった。