『グチャッ』
そんな音が鳴り響いたと思ったら、右腕が温かいことに気がついた。
そして右腕を見ると僕の右腕は…霊夢の腹部を貫いていた。
それと同時に右腕に肉をえぐる感覚が伝わってくる。
そして……霊夢は倒れた。
ハク「れい……む?」
呼吸がしづらくなり息が上がる。
ハク「霊夢!!!」
霊夢を呼んでも返事がない。
ガク「どうだ?お前のせいだぞ?」
ハク「僕…が……?」
僕は膝から崩れ落ちた。
ガク「………じゃあな」
ヤツがナイフを振り下ろす。
…が、そのナイフは途中で止まる。
ガク「…面白くねぇ……」
ナイフは僕の右手で止まっていた。
ハク「お前を…殺す」
ガク「やれるもんならな!」
ヤツを蹴り上げる。
ガク(…速い……)
そして宙に舞ったヤツに弾幕を放つ。
それを避けたヤツを蹴り、地面に叩きつける。
ハク「夢符「封魔陣」」
ガク「ッ…」
紙一重でヤツは封魔陣を避ける。
そして追い打ちをかけようとした僕の攻撃を避け、僕を殴り飛ばす。
そして雷を僕に落とす。
ハク(…能力…?…じゃあどうやって人を操ったんだ?)
そんなことを思いつつやっと弾幕をかわしながらやつに接近し、殴る。
その瞬間、ヤツが水に変わり、攻撃を避けられる。
ハク(さっきとは違う能力…?)
ヤツが後ろに回り込み攻撃してきたがそれを避け、蹴り飛ばす。
しかしヤツが急に光り始める。
ハク「っぐ…」
目を潰され、その隙に腹部に重い一撃を受ける。
ハク(また違う能力…)
ハク「夢符「二重結界」」
周りに弾幕が放たれる。
そしてヤツが弾幕を避けるために体制を崩したところを狙い攻撃する。
しかしヤツは煙のようになり攻撃を回避する。
ガク「こんなもんか…」
ハク「……お前の能力が分かった」
ガク「!?」
ハク「お前が使っている複数の能力、そして人を操るなどの関連性の無い能力、お前の能力は『能力を創り出す程度の能力』なんじゃないか?」
ガク「……そうだ、それが俺の最強の能力、『能力を創り出す程度の能力』だ、でもそれがどうした?俺の能力を知ったところでお前に止める術はない…」
ハク「僕の能力を教えてやるよ、僕の能力は『理解したものをコピーする程度の能力』だ」
…そして僕はヤツの能力をコピーする。
ハク「最強に勝つには最強をぶつければいい」
ガク「クソッ……!」
ハク(でもヤツより能力をうまく使うことはできるけど体力の消耗が激しいから持久戦になったら不利か…)
そしてそれを解決するために一つの能力を創り出す。
ハク(『能力を消す程度の能力』…)
これを使えばヤツの能力を消すことができるがオリジナルの能力が消えると僕の能力も消える。
ハク(やるしかない…)
そしてその能力を発動し、能力を創り出す。
ハク(今だ!)
そしてやつに触れようとするがかわされる。
ガク「なにか企んでいるな…?」
ハク「それはどうかな?」
そして僕の攻撃を避け体制を崩したヤツに触れ、能力を発動する。
ガク「!?」
ヤツの能力が消えると同時に僕の能力も消える。
ハク「…どうだ……!」
ガク「…チッ!」
そして僕はやつに急接近し殴り飛ばす。
ハク(ヤツの動きが鈍くなった……能力で強化してたのか)
そして僕は追い打ちをかけていった。
【ガク視点】
…なぜヤツは動けるんだ……
俺はそんなことを考えていた。
俺が負傷したらヤツも負傷するし俺が疲れたらヤツも疲れるはず……何がヤツを動かしているんだ…
ガク「…ックソ!」
そして俺は右足を切り落とす。
俺と同時にヤツの足も切断され、体制を崩す。
そこで急接近し、ヤツの顔面を精一杯殴った。
【ハク視点】
ヤツに追い打ちをかけようとしたとき、ヤツが急に左足を切り落とした。
僕は体制を崩し、重い一撃をくらう。
ハク「…っ」
足が切り落とされた痛みと殴られた衝撃で頭の中がグチャグチャになる。
ハク(早く倒さないと…体力が………)
ここで逃げられたら勝ち目がないと考えた僕は次の攻撃にすべてをかけることにした。
ハク(この一発で………!)
残された拳にありったけの力を込め、ヤツがいる方向に突き進む。
そしてヤツもものすごい勢いでこっちに向かってくる。
ハク「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
……そして僕の拳はヤツの胸を貫いた。
それと同時に僕の胸にも穴が開く。
ハク「っぐ……」
そして僕はヤツと一緒にその場に倒れ込む。
ハク「これで終わりか………」
…僕はそうつぶやき意識を手放した。
【数日後】
私は永遠亭で目を覚ました。
魔理沙「霊夢!!!」
霊夢「…あれ……?私、ハクにやられて……」
魔理沙「凄い音がしたから音がした方向に向かったら霊夢が倒れてたんだ」
霊夢「魔理沙が助けてくれたのね…ってハクは!?」
魔理沙「…………」
永琳「残念だけどあの子は……」
霊夢「…うそ………」
魔理沙「霊夢も助かったのが奇跡みたいなもんなんだ、あと数ミリずれてたら死んでたとか……」
そして私は数週間後に退院した。
ハクが死んで数週間が経過しても私の心にはポッカリと穴が空いていた。
私が縁側で空を見上げていると魔理沙が話しかけてきた。
魔理沙「アイツは今どうしてんだろうな」
霊夢「……………」
魔理沙(…そっとしておいてやるか……)
魔理沙「…霊夢……また来るぜ」
魔理沙はそう言い残し、帰っていった。
それからしばらく時間が経過し、私が神社を掃除していたとき、1枚の紙切れが落ちていることに気がついた。
霊夢(これは…手紙?)
そしてそれを開くとその手紙は私宛のものだった。
【霊夢へ】
この手紙を読んでるってことは僕はもうこの世にはいないってことだよね。
この手紙で霊夢に伝えなきゃいけないことを伝えようと思う。
実は僕、転生みたいなもので魂だけをこの世界にある体に憑依させていたんだ。
そしてその体がやつのクローン体、つまり偽物だったんだよ。
だからヤツが死んだから僕も死んだんだ。
まぁ僕は天国で見守っておくから残された人生を精一杯楽しんでよ。
そして最後に……ありがとう。
【ハクより】
そんな事が書かれていた。
それを読み終わったとき、心の穴が埋まったような気がした。
そしてそれから数日後、博麗神社にハクの墓が建てられた。
霊夢「さてと、今日も精一杯楽しみましょうか!」
こうして幻想郷に平和で静かな日常が訪れた。
コメント
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