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離婚します  第一部

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離婚します  第一部

34 - 第34話 旦那が事故?

2024年10月30日

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いつのまにか、寝てしまっていた。

まだ明け方4時。

貴君を起こさないように、そっと自分の布団に戻った。

やっぱり一人で寝る方が伸び伸びできていいな。

あー、そもそも私は結婚に向いていないのかも、なんて思いながら寝た。


朝になった。

寝不足のせいか少し頭が痛い。

若い頃は一晩くらい寝なくても平気だったのに。


「おはよ!今日はどこ行く?近くに滝もあるみたいだよ」

「あれ?起きてたの?」

「うん、せっかくだから朝風呂入ってきたよ、未希ちゃんもどう?」

「そうだね、さっぱりしてこようかな」


これ、若かったら朝からもう一回、なんてこともあっただろうけど。

私では無理だろうな、若いお嫁さんがいてくれた方が貴君は幸せになるだろう。

なんといっても子どもが産める、本人はそんなに欲しがってないみたいだけど家のことを考えたら、必要なことだ。


熱めのシャワーにして、湯船にどっぷりつかる。

体に残る貴君の余韻を、流してしまおう。

これはこれ、楽しかった思い出だ。


朝ごはんを食べて、ナイアガラみたいだと有名な滝へ行った。

また顔ハメパネルで写真を撮って、帰りは道の駅に寄ってお土産をたくさん買って帰った。



「ありがとう!楽しかった」

「こちらこそ、また…ってまたはないだろうけど、またツーリングとか行こう、面白いことしようね」

「うん、しよう、じゃあね」


家の前まで送ってもらった。

旦那はまだ帰ってないようだ。

あんなに楽しみにしてた旅行は、特にトラブルもなく終わった。


「ただいま!」


玄関マットの上でタロウが眠そうにしている。

リビングに入ると、家の電話が鳴った。

ほとんどの連絡はそれぞれのスマホに入るから、この電話が鳴ることはほとんどない。


「もしもし?」

『小平さんのお宅でしょうか?』

「はい、そうですが」

『私、南川警察の久喜といいます。実は小平進さんが車の事故に遭われまして、病院に搬送されました。

どなたかご家族の方に病院に行っていただきたいのですが…』

「えっ…」

『奥様でしょうか?搬送先は市立病院です』

「あ、あの…」

『詳しくは病院でお聞きください、それでは』


ガチャリと切れた。

車の事故?

ワナワナと足が震えている、行かなきゃ、とにかく。


「タロウ、またお留守番しててね、行ってくるから」


慌てないように、深呼吸をしなきゃと思うのにもう車は走り出していた。


市立病院の救急の入り口から中に入った。

受け付けで、事故で運ばれた小平進はどこですか?と聞く。


「その方でしたらこの奥の…」


説明途中で奥を見たら、救急処置室という部屋が見えた。

慌てて部屋へ入る。


「進君!」

「え!」

「あ!」


左腕に包帯を巻き、顔には絆創膏が2枚、頭には包帯、でも座っていた。


「未希ちゃん、きてくれたの」

「警察から電話があって、事故して運ばれたから病院へって。よかった、大したことなさそうで」


わりと元気そうな様子を見てホッとした。

ドラマでよく見る、ICUとかで、いろんなものが繋がれて…なんて想像していたから。


「奥様ですか?」

「はい」

「一応の検査はしましたが、頭を打っているので念のため今夜は入院してもらいます。外傷は大したことはありませんが、打撲がありますのでそちらの経過も見ないといけませんので」

「あ、そうですか、でも血まみれとかじゃなくてよかった」


本当にそう思った。

もしものことがあったらどうしよう?そればかり考えていたから。

それじゃあこちらへと、旦那は車椅子に乗せられて入院する部屋へ連れて行かれる。

四人部屋だったが、他には誰もいなかったので気兼ねなく入れた。


「では、これで」


と看護師さんが出ていく。

よっこらしょとベッドに移る旦那。


「ねぇ、なんで事故なんかしたの?どんな事故?」

「猫がね、飛び出してきたんだよ、それを避けようとしてガードレールにどん!頭をドアにぶつけたみたいでさ、脳震盪を起こしてて、通りがかった人が救急車を呼んでくれて、今に至る、みたいな」

「猫か…被害者がいなくてよかったけど」

「猫もね、スーパーの袋だったみたい、白猫だと思ったんだけどなぁ。ゴミはちゃんと捨てといて欲しいよな」


運が悪かったとしか言えない事故だけど、これくらいで済んで運が良かったと言うべきか。


「保険屋さんにはさっき電話したし、車もレッカーしてもらってあるから、あとは心配ないと思う」


あははと気まずそうに笑う旦那。


「…だから…」

「え?」

「心配したんだからね!笑うとこじゃないでしょ!!」


思わず大きな声が出る。


「あ、うん、ごめん…。でも、うれしかったよ」

「なにが?」

「来てくれるとは思わなかったから」

「そこまで冷たい女じゃないと思うよ、私は」

「そうだね…」


ただ、自分でも驚いていた。

離婚すると決めたのに、こんなに慌てて心配になって、まだ少し手が震えている。


「明日、夕方でしょ?退院するの。迎えに来るから待ってて」

「うん、お願いする」


病院をあとにして家へ帰る。

昨日と今日と、たった24時間でこんなにも状況が変わって、気持ちがバタバタして疲れた。

ソファに横になったら、そのまま寝てしまっていた。

貴君からLINEがきてたことには、朝まで気づかなかった。

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