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BL・腐向け作品です
奈都が事務所に来て、ちょうど一週間が経った頃。
仕事終わりの静かな楽屋で、猗流舞は違和感に気づいた。
デスクに突っ伏して動かない奈都。
頬は薄く赤く、呼吸は浅い。
「……新人。」
呼ぶ声は低いのに、どこか柔らかい。
奈都はゆっくり顔を上げた。
「……は、い……」
その声が弱いと気づいた瞬間、猗流舞の眉がわずかに動く。
(熱……か。)
ほんの一拍、考える間。
すぐに息を短く吐き出す。
「……仕方ねぇな。」
声色は冷たいのに、奈都の腕を取る手は、驚くほど迷いがなかった。
ーー車内。
「今日は俺の家に泊まれ。」
命令みたいな言い方なのに、意味はただ一つ。
“放っておけない”。
奈都は伏し目がちに言葉をこぼす。
「……ご迷惑、ですよね……」
猗流舞は前を向いたまま、短く答える。
「迷惑なら置いて帰ってる。」
冷たく聞こえるその言葉が、なぜか少しだけあたたかかった。
⸻
家に着くと、猗流舞は奈都をソファへ座らせた。
「横になれ。」
触れた背中を支える手つきは、静かで、丁寧で。
奈都はその温度に少し安心したように息を落とした。
「……すみません……ありがとうございます……」
猗流舞は答えない。
けれど、その言葉は確かに耳に届いていた。
デスクに戻っても、視線は無意識に奈都へと向かう。
暫くして、聞こえた規則正しい寝息。
猗流舞はゆっくり立ち上がり、そっと奈都を抱き上げた。
腕に伝わる軽さに、思わず息が止まる。
「……軽すぎだろ。……ちゃんと食ってんのか。」
顔を顰めて独り言を呟きつつも、寝室に運ぶ。
布団を丁寧にかけてから、額にかかっていた前髪を指先でそっと払った。
「……ゆっくり休め。」
ひどく静かな声だった。
部屋の灯りを落とし、去り際に一度だけ振り返る。
眠る奈都の顔を見て、ほんのわずかに、唇がほどけた。
番外編101いいねありがとうございます☁️
まさかの肝心の本編よりも人気が出てしまったという…かなり予想外なんですが…
投稿が暫く止まっていたので、今日は後2話ほど出せればいいなと思っております💗
今回は少し萌えが足りてない気がしますが…次回は甘ーい展開があったり、その次にはまさかの展開が待ち受けてるので、是非楽しみにしていただけたら幸いです☀️
最近時間があまりなくて雑になりつつあるのは、読者様の寛大なお心でお許しください…