微ヤンデレ、BAD END?注意
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スマイルには、知らないで欲しかった。
俺のこの、黒く汚れた愛なんて。
「ん……」
なんの用もなくベットから立ち上がると、そこまで広くも無い部屋をぐるりと見回した。
壁際に大きな姿見があり、鏡には俺の姿が映っている。そして、それに反射して写真で埋め尽くされた壁が見えた。
どれも妙なアングルで撮られている、俺の最愛なるスマイルの写真だ。
……そう、俺は世間一般から見たら、所謂”ストーカー”と言うやつなのだ。だから、これも隠し撮り。
スマイルが、俺のものになってくれないから悪いんだろ?……こんなに、好きなのにさぁ……。
ふぅーっと息を吐き出し、姿見の前を後ろにして座り込む。
その写真を一枚ずつ眺める。……あぁ、やっぱり可愛いなぁ……。
頬杖をついて、目を閉じる。すると瞼の裏に浮かんでくるのは、笑顔の彼。
あの、アメジストの様に輝いてるのに何処か曇りがある美しく神秘的な瞳。
見ただけでは分からない、サラリとしていて柔らかい綺麗な茶髪。
いつもツンとしている唇も、笑った顔になると少しだけ緩む所とか……。
細くて白い腕も足も腰回りも、全部全部大好きで、ずっと、この目で見ていたかった。
…………でも、今はもうそれすら出来ない。
彼は今、隣にいる。俺以外の人の隣に。
「……っ」
胸が痛い。心が苦しい。息ができない。
それでも、この想いを伝える事はできない。もう一度伝えた所で、どうにもならない。
……だって、スマイルは俺のこと嫌いなんだもん。
隠し撮りをしたり、壁に貼ったりしているのがバレてからは早かった。
撮影中は話してくれたけど、実写を撮り終わった後はすぐに帰ってしまったり、プライベートで遊ばなくなったり。
「……素直に…好きって、言っておけば…良かったのかなぁ…………ッ…スマイ、ル…ぅ……ッ…」
今にも泣き出しそうな、震えた声で言葉を発する。
……今更後悔したって遅いのだけれど。
俺はただ、スマイルの傍にいたかった。
少しでも長く一緒にいたかった。
それだけなのに……。
「ねぇ、スマイル……」
俺じゃ駄目かな?……俺なら絶対、スマイルの事泣かせたりしないよ?大切にするし、ずっと守っていくよ?……だから、お願いだよ。……こっち向いてよ。笑ってよ。
涙が出てくる。視界が歪む。……ダメだ、スマイルの写真が濡れちゃう。
俺は慌てて立ち上がって、近くの棚の中からアルバムを取り出した。そしてその中から一枚の紙切れを取り出す。
これはスマイルへのラブレター。
それをビリビリに引き裂く。
「ごめんね、スマイル。……素直に大好きだよって伝えられない臆病者の俺を許してください」
これは俺のせめてもの罪滅ぼし。
引き裂かれた手紙の破片を床に散らばらせた。
そして今日もまた、彼がいない俺の不安定な世界が始まるのだ。
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紫色さんにストーカー行為がバレ、素直な本当の想いを伝えられず初恋が終わってしまう黄色さんでした。
過去に紫色さんを監禁しようと家に連れ込んだ時にバレたとかですかね、?そこら辺の話も書きたい所…
愛情表現の上手く出来ない攻めっていいよね。