TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

オーディションの行方

一覧ページ

「オーディションの行方」のメインビジュアル

オーディションの行方

1 - 第1話 おかしいんじゃない?

♥

36

2025年01月04日

シェアするシェアする
報告する

「優子、アンタさぁ…」

「最近、香織先輩に執着しすぎなんじゃない?異常だって。」

パラパラとした大きなポニーテールが揺れている。中川夏紀が話しかけてきた。

「はぁ?異常?何言ってんのアンタ。」

いくら仲の良い友達でも、香織先輩関係について口出しされるのはイヤ。 何にも知らないくせに。

「流石に付き纏いすぎっていうか…世話焼きすぎっていうか…なんていうかなぁ…」

なんなの。いいでしょ好きなんだから。

ふつふつと怒りが込み上げてくる。

「何が言いたいの…あ、もしかして嫉妬してんの?」

「ちょっと?わたし真剣なんだけど。」

少しからかってみた。でも思った以上に真剣な眼差しで言い返されちゃった。

夏紀こそおかしいよ、いつもはもっと軽い感じなのに。

「…ソリが高坂って決まってから、ほんとにおかしいよ。」

「…!!おかしいってなによ!香織先輩の味方しちゃいけないワケ!?」

「んなこと言ってないでしょ。ただ、やりすぎはよくないよ。」

全く、わたしが何をやりすぎてるっていうんだか。ただただ香織先輩のこと応援してるだけなんですけど。

「…だっておかしいでしょ。高坂がソロなんて。」

「しょうがないよ。今の北宇治は完全実力主義なんだから。」

「それでも一年が…あんな奴がソロなんておかしい…!!」

「香織先輩は今までずっと頑張ってきて、部の中で一番の奏者だったんだよ?

それなのにいつもいつもいつもいつも、なんの練習もしてない適当な三年生がソロを吹いてた。香織先輩の頑張りなんて無視して。

それが今急に実力主義になって、香織先輩より上手い謎の一年がソロを吹く?

今まで頑張ってきた香織先輩が三年生になった瞬間に?

香織先輩だって充分な実力がある。高坂に負けないくらい素敵な音を出してる!

なのに…なのに選ばれなかった。

そんなのおかしいに決まってるでしょ!香織先輩に不平等でしょ!可哀想でしょ!!」

「…それは…そうかもしれないけど…」

「そうかもしれないなら口出さないでくれる?」

「ちょっと優子!待ちなよ!」

待ってやるもんですか。なんにもわかってないくせに。

夏紀こそ、私に世話焼きすぎなんじゃない?

足取りが重い。夏紀の言葉は何故か、わたしの心に深く刺さっていた。


スタスタスタスタスタ


この足音…もしかして!!

「香織先輩〜!」

「…あっ優子ちゃん…」

「先輩!練習終わりですか?」

「みんなもう帰ったと思ったんだけどなぁ…もしかして優子ちゃんもずっと練習してたの?」

「いえ私は…香織先輩を待ってただけで。」

「…そっか。無理しすぎないようにね。」

「はい!無理なんてしてません!」

なんだか一瞬、香織先輩の顔が曇ったような気がした。

そんなことより、私の心配してくれる香織先輩マジエンジェル♡

「あー…優子ちゃん。ゴメン。忘れ物しちゃったみたい。」

「あっじゃあ私、玄関で待ってます!」

「大丈夫だよ。遅くなりそうだし、先に帰ってて?」

「でも!」

「ほんとに大丈夫なの。ほら、私はお母さんに遅くなること伝えてたけど、優子ちゃんはきっと伝えてないでしょ?」

「…はい。じゃあ帰ります。」

「うん、そうして。」

「お疲れ様でした!香織先輩!」

「おつかれ。」

香織先輩と一緒に帰れないのは残念だった。

せっかく待ち伏せしてたのに。

小さく笑顔で手を振ってくれる先輩に、私も見えなくなるまで手を振りかえした。


ロッカーを見ると、もう私の学年は私以外いないみたい。

「うっ…ムシムシしてる…」

しばらく歩くと、人影が見えた。

あれ…小笠原先輩…?


「部長?」

「あれっ優子ちゃん!?もしかして香織と一緒に練習してたの?」

「いえ…そういうわけじゃないんですけど。

部長こそどうしてここに?」

「あ〜わたしは香織を待ってるところ。 」

「香織先輩、忘れ物取りに行くって言ってました。遅くなるから先に帰ってって言われて…」

「そうだったんだ…」

「ではわたしは失礼しますね。お疲れ様です。」

「うん、おつかれ!」

部長、香織先輩と仲良いのかなぁ…

一応部長だし、色々と三年生同士で話すことあるのかも。

そこは邪魔しちゃいけないと思って、わたしは潔く帰ることにした。


…香織先輩…


あんなに遅くまで練習して…


私がなんとかしてあげなくっちゃ…

loading

この作品はいかがでしたか?

36

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚