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「おいおい、マジかよ……」
新制「帝丹・江古田学園」の初日。黒羽快斗は、新しい教室の座席表を見て頭を抱えていた。窓際の後ろから2番目が快斗。そして、そのすぐ後ろの席には、あの東の名探偵・工藤新一の名前がある。
「どうしたんだい、快斗。そんなに青い顔をして」
隣の席から声をかけてきたのは、幼馴染の新庄駿だ。周囲には普通の高校生として振る舞っているが、二人は互いの秘密を完全に共有している。快斗が「怪盗キッド」であり、駿が「怪盗ブラックシャドウ」であるということを。互いの正体を知る唯一無二の相棒だからこそ、学校でもこうして自然にアイコンタクトを交わせるのだ。
「どうしたもこうしたもねえよ、駿! 俺の後ろの席、工藤新一だぞ? 気が抜けねーっての!」
「ハハ、スリリングで最高じゃないか。僕たちの正体がバレるか、それとも名探偵の鼻を明かすか……新しいステージの幕開けにふさわしいよ」
駿は不敵に微笑みながら、ブレザーのポケットの中で、ブラックシャドウの銀の仮面をそっと指先でなぞった。
◇
キーンコーンカーンコーン――。始業のチャイムが鳴り、担任の先生が教壇に立つ。教室には江古田の紺の学ランと、帝丹の緑のブレザーが入り混じり、まだどこか落ち着かない空気が漂っていた。
「よし、全員席に着け。今日は合併初日だが、さらにもう一人、このクラスに転校生が来ている。……おい、入ってこい」
ガラガラと教室の扉が開いた。入ってきたのは、学ランの襟を少し崩し、野球帽を逆さに被った色の黒い少年だった。その鋭い眼光が教室全体を見回し、やがて窓際の後ろに座る工藤新一を捉えた瞬間、ニカッと白い歯を見せて笑った。
「よぉ、工藤! 待ちかねたで!」
「は、服部!? お前、なんでここに……っ!?」
新一が思わず椅子を蹴立てて立ち上がる。教室がワッと騒がしくなる中、転校生――西の高校生探偵・服部平次は、親指で自分の胸をドンと叩いた。
「いや〜、帝丹と江古田が合併してオモロい学校ができるって聞いてな! ちょうど親父の仕事の都合も重なって、オレもこっちに転校手続きしてもろたんや! 東の名探偵と西の名探偵が同じクラスやなんて、最高にアツいやろ?」
平次はそのまま、新一の斜め後ろ、つまり快斗のすぐ隣の列の席へと歩いていく。そして、すれ違いざまに快斗と駿の顔をジロリと凝視した。
「(……ん? なんやコイツら。ただの高校生やなさそうな、妙な気配がしよるな……)」
平次の探偵としての勘が、二人の「普通さ」の裏にある違和感を敏感に察知していた。
◇
「……最悪だ」
昼休み。快斗は駿と一緒に屋上に避難し、購買で買ったパンを齧りながら愚痴をこぼしていた。
「工藤だけでも厄介なのに、なんで服部平次まで同じクラスにいるんだよ! 東西の名探偵に挟まれるとか、どんな罰ゲームだ!」
「まあ落ち着けよ、快斗」
駿は手すりに寄りかかり、眼下に広がる校庭を眺めながら冷静に分析する。
「だけど、これで面白くなった。探偵が二人揃ったということは、彼らの意識はまず互いに向く。お互いを意識し合っている隙こそ、僕たち怪盗が動く絶好のチャンス(シャドウ)だと思わないか?」
「お前、本当にポジティブだな……。まあ、ブラックシャドウ(影)とキッド(光)が組めば、探偵が何人いようが負ける気はしねーけどな!」
快斗はニッと笑い、手の中でパッと白い薔薇を出現させてみせた。その時、バタン!と屋上の扉が勢いよく開いた。
「おい、お前ら。そこで何話しとんねん」
現れたのは、ポケットに手を突っ込んだ服部平次、そしてその後ろから静かに歩いてくる工藤新一だった。
「黒羽快斗に、新庄駿、やったな。お前ら、合併前の江古田でも結構有名やったらしいやんけ」
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サンフラワー
平次が不敵な笑みを浮かべながら、二人にジリジリと近づいてくる。
「……何のことかな、服部くん。僕たちはただの大人しい高校生だよ」
駿が完璧なポーカーフェイスで微笑み返す。
「大人しい、な。……なあ新一、お前も気づいてるやろ? 昨夜、米花博物館に『キッド』と『ブラックシャドウ』の連名で予告状が届いた件」
新一が腕を組み、鋭い視線を快斗と駿に突き刺した。
「ああ。ターゲットは『蒼天の涙』。合併記念の展示を狙うなんて、あの泥棒どもめ、よっぽどこの学校が気になるらしい。……なぁ、黒羽。お前、昨日その博物館の近くにいなかったか?」
「はぁ!? 俺がそんなとこ行くわけねーだろ! 昨日は家で大人しくマジックの練習してたっつーの!」
快斗はわざとらしく大声を上げて身白ぎする。平次はそんな快斗の動揺(を装った演技)を見逃さず、今度は駿に視線を移した。
「新庄言うたな。お前、ブラックシャドウが使うっていう特製のワイヤー、どっかで見たことないか? 腕の筋肉のつき方、アイツの身のこなしにそっくりやなと思ってな」
「買い被りだよ、服部くん。僕はただ、夜の散歩で体を動かすのが好きなだけさ。……今夜の満月の夜も、いい散歩日和になりそうだね」
駿はあえて新一たちを挑発するように、昨夜と同じ言葉を口にした。新一と平次の目が同時に細くなる。
「(こいつら、間違いない……!)」
「ほな、今夜の『散歩』、オレらも混ぜてもらうで。東と西の名探偵が揃って、泥棒猫一匹、影一つ、逃がすわけにはいかんからな!」
平次が帽子を前に被り直し、不敵に言い放つ。
「望むところだ。名探偵さんたちに、極上のステージを見せてあげるよ」
快斗が不敵に笑い、駿もまた静かに闇のような微笑みを浮かべた。一つになった学び舎。背中を預け合う二人の大怪盗「キッド&ブラックシャドウ」と、互いのプライドを懸けて挑む東西の名探偵「工藤&服部」。今夜の満月の下で繰り広げられる、華麗なる大怪盗VS名探偵の第2ラウンドが、静かに幕を開けようとしていた。
コメント
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うわああ新庄さん最高すぎる…!!😭💕 キッド×ブラックシャドウのバディものとか至高すぎるでしょ!しかも工藤&服部探偵コンビまで同じクラスとか完全に胸熱展開じゃん!!🔥 駿くんの「影だからこそ動ける」って台詞、怪盗としての美学感じてめっちゃエモかった…。予告状連名で送るコンビプレイ反則級にかっこよすぎるよ!!次の話絶対読みます✨