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混沌とは底のなく、天もない、存在もなく、雑音もない。
どの音も、人間が、文明が、オルガンが響かせている。
大合葬。死も楽譜の一音符であり、楽譜は作戦であり、曲名は戦争だ。
音楽は薬にも毒にもなる、といったところだろう。
イタリア前線
「…き…える……きこ……」
無線の音が静かに響く。
「こちらヴァレ1−4。誰か聞こえるか…」
…くそっ。
「聞こえるか、ヴァレ1−4。全軍に撤退命令を出された。
場所はヴェネツィアだ。そこで合流しよう。」
「あぁ…分かった…」
しかし、移動するにも…
バンッ!バンバンッ!
銃声がうるせぇ!
クソっ殺るにしてもサプレッサーもない。
静かに殺れねぇ…
ガタッ!物音が響く!
「誰か居るのか!」
ザッザッザッ…足音が近づいてくる。
「…ALD。」
「お前、まさか」
シュン…
「まさか…こんな形で旧友に出会うだなんてな。」
ダッダッダッ…
「誰だそこにいるのは!」
「死ねぇ!」
ドガンッ!
「はは…旧友の前で人殺しなんてさせるなよ…はは…ははは…」
ドガァァンッ!
手榴弾より大きい音が響く。
頬に伝わる熱、背中に響くコンクリートの音、世界が変わる目。
二重帝国前線司令部
「少将!ご報告がございます。」
「おや、バルト大尉、どうした?」
「イタリア軍前線崩壊の知らせが届きました!」
「なんだと!?」
「サントラ中尉は一刻も早く進撃許可をとのことです!」
「分かった、すぐさま進撃を開始せよ!」
「了解!」
ドドドド!
セミの音とともに、銃声が殴り捨てられる。
「おいいたぞ!撃て!」
ドンッ!
ゴキブリ一匹通さぬその銃はヴェネツィアへと向かう。
ヴェネツィア市街地
「おい、速く逃げろ!」
「住民の皆さん!気をつけて!港まで走ってください!」
「あはぁはぁ」
「クソっ!この街にも薬が!」
「おい二重帝国軍が来たぞ!」
「クソっ、クソっ!」
美しい共和国を続けた市街地は一夜にして瓦礫に、二夜にして更地になった。
1300年もの間、誰にも征服されず生きていたヴェネツィア共和国。
しかしその地は、血となり、薬となった。
イタリア首都ローマ
「ドゥーチェ、ご報告します…」
「…」
「二重帝国軍はヴェネツィアを突破、ミラノへと進撃しています。」
「…」
「更にイギリス軍がジブラルタルからスペインを、そしてマルタからシチリアへと
攻勢をかけています…どうされますか…」
「…」
「ドゥーチェ…」
「…幹部を集めろ、最終会議を開く。」
「…了解。」
「ドゥーチェ…」
「いまから最終会議を開く。まずはヴェルン上級大将。意見を。」
「…正直ここからの打開は不可能に感じます。現在敵帝国軍は100万以上の歩兵がいることが確認
されていますが、私達はのこり予備軍含めて46万人ほど。
到底覆せる数ではないと思います。」
「…次、ガルト海軍大臣。」
「私の意見としましては…もうどうにも出来ないかと…。
海兵隊は全滅、海軍も残っているのが駆逐艦4隻、巡洋艦7隻…
そして艦船を修復する材料も殆どない…はっきり言って、海軍は降伏です。」
「…次、ヴァット陸軍大臣。」
「…言うことありません。」
「…そうか。」
…
どこから私は道を間違えたのだ?
私は確かに、この手で勝利を約束したのだ。
何故だ、まだ手はあるぞ…
何故だ…
…いやある。
「最後の作戦だ。」
「…はい。」
放射能で、世界を焼け。