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︎︎⚠︎︎注意⚠︎︎
・ご本人様方には一切関係がない
・捏造、妄想要素が激しい可能性あり
・特徴を捉えきれていない部分が多々あり
・恋愛要素はないが友情的てぇてぇ要素が多い?
・【Potion Craft】というゲームをオマージュしている設定、名称が多い。
※GTAの役職も人物設定に関与している
・投稿頻度がノロマかつ不定期
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行ってらっしゃいませ( ◜ᴗ◝)و
『ぐっちゃん、例のブツがついに出来たぜ。いや〜寝る間も惜しんで研究したかいがあったわマジで。……で、早くそっちに届けたい訳なんだが、色々トラブっちゃってさ〜。そこでひとつ頼まれてくんない?』
昨夜、小さな水晶からそう連絡がきた。実は、らっだぁを介して魔女キノコを仕入れるようになってから、るせさん(魔女)と俺は交流をするようになり、しいては共同研究をする仲にまでなった。魔女は取っ付きづらいというイメージがあったが、彼女は人一倍親しみやすい。ほとんどの日をこの店で過ごしているような俺にでさえ、とても良くしてくれている。実際この水晶は、るせさんが俺あんま外に出たくないから、と連絡手段に渡してくれたものだ。これを使って定期的に情報を交換したり、研究の成果を報告し合ったりしている。
(やっぱ良い人だ、るせさんは。共同研究をお願いしたのはこっちなのに、わざわざ届けに来ようとしてるし、ポーションも無償で提供するのにちゃんと買ってくれるし……。)
俺は彼女の人間性に感心しながらも、魔女は人間の内に入るのだろうか、と疑問を浮かべる。そんなことを考えながら、研究室やカウンター、素材倉庫を片付けていると表のドアから音が聞こえてきた。いつものベルではなく、カリカリと爪を立てている微かな音。気づいてすぐにドアを開けてやると、大荷物を背負った白猫が顔を覗かせ、ニャーンとひとつ鳴いた。
[この子には、ポーションに使う材料と完成した例のブツ、【月光の塩】を少量持たせといたぜ。ぐっちゃんが前言ってた通りに作れば、マジ何の問題もない量よ。あと、出来たものはまたこの子に運んでもらってくれ。気まぐれだからわんちゃんそこに長居するかもだけど、よろしく頼むね〜。]
丁寧に封蝋までされた手紙には、そう書かれていた。袋の中身も確認すると、【透明ポーション】に必要なつむじ草と幽霊のスカート、霧のパラソルが必要な分だけきちんと入っている。そして、俺の胸を高鳴らせるこの小瓶。照明の光に透かして見ると、中の塩がキラキラと輝いた。しかし、それを眺める俺の瞳も負けじと輝いている。結局、どちらがより輝いているのか分からないまま、俺は研究室へと向かい袖をまくった。
〈透明ポーションの作り方〉
①臼につむじ草と幽霊のスカート、霧のパラソルを入れてすり潰す
②油の入った大なべに①を入れる
③大スプーンでかき混ぜる
④ 月光の塩を少量加える
⑤ひしゃくで油を足して微調整
⑥ふいごを使って一気に熱す
⑦微量の冷却・保存魔法をかけたびんに移す
⑧コルクで栓をしてラベルを貼り付けたら完成
白猫は、材料を臼に入れたりコルクを咥えてきたり色々と手伝ってくれた。さすが魔女に仕えているだけある。また、ポーションを作る過程にずっと興味津々で、脇見した時のその姿はなんとも微笑ましかった。こう見えて俺は犬派だが、この子はとても優秀でつい目移りするところだった、危ねぇ。出来上がったポーションは袋に入れて、ひとまずカウンターの端に置く。物珍しそうに店内を見て回る白猫、俺は近くにあったカザハナを手に持って声をかけた。
「お〜い、ほらほら。つい本能が疼いちゃうよねェ〜??」
「……?!」
「うわっ!ちょッ(笑)猫ってこんな飛びつく力強いの?お前小さいのにすげぇんだな。」
お宅からこの店まで長旅だったはずだが、遊ぶとなると体力は無限になるらしい。必死に目で追う姿が愛らしく、猫じゃらしに見立てたカザハナがちぎられるまで、とにかく遊んだ。
(猫にハーブティーはさすがにか。あ、あれにミルクを足すくらいならいいか?)
激しい運動後には甘いもの、と思いたち自分のハーブティーを作り始める。そして、白猫に水だけというのは、安全だがなんとも味気なかったため、薄めに作ったカモミールティーにミルクを入れることにした。使う必要がなくなったといつだからっだぁに渡された猫用ミルク、まさか使いどきが来るなんて思ってもみなかった。白猫の前に完成したものを差し出すと、匂いを嗅いで不思議そうに見つめている。
(無理そうだったら普通にミルク単体をあげるか……。)
そう思い、俺が立ち上がろうとすると、白猫は表面を舌先で舐め始める。猫に関する知識が疎い俺でも、嬉しそうに飲んでいるのが分かった。邪魔をするのは良くないと分かっていながら、そっと撫でてやると俺の手に擦り寄ってくる。少しは仲良くなれたかな、と口角を上げるも自分用のハーブティーを思い出し、急いでカウンターへ戻った。
リラックス効果が効いたのか、白猫はスツールに座る俺の膝で寝ている。しばらくは透明ポーションもこのままか、と思い店番をしているとドアが開いた。
(カランカラン)
「だからァ、勝手にうちの食堂来んなって。」
「なんでよ、お腹空かせた哀れな子羊を見捨てるって言うの?」
「子羊!?どう見てもおじさんやん!「お、じさん???」」
「いや〜もう、とにかく!!皆困ってたから!!ここの人じゃないなって、せめて俺がいる時に…。」
「だから、ずっとあそこ居とけば暇になるっしょいつか。てか、今日はむしろありがたいと思えよ、俺がいなかったら大変だったやん!」
「う〜〜。そ、そうだけど…それとこれとは話がッ。(口を手で抑える)」
シーっと訴えると、2人は会話を止めてくれた。喧嘩するほど仲が良いと言うので、いつもならスルーするが今回は違う。俺の膝の上で、人んちの猫が健やかに寝ているのだ。
(小声)
「え、どしたのぐちーつ。あ、近所迷惑的な?」
「違う違う、この子。」
「あれ?こいつなるせんとこの猫じゃん。あ待って、わんちゃん俺まずいか…。」
「…ん?もしかして、この前猫用ミルクいらなくなった、って渡してきた話と関係ある?」
「…いやなんか、依頼こなしてた道中で迷い猫拾ったんよ。その後ギルドに持ってったら困るって突き返されて…。で、必要なもん買って俺が飼おうとしたら、後日肌が荒れた。」
「え、猫アレルギーってことだよねそれ。」
「多分そう〜。だからその猫は専門の人に託した。」
猫用ミルクにそんな背景があったとは露知らず、と言いたいが、事情を先に話してから渡せよと思い直した。とはいえ、貰えるもんは貰った方がいいという自分の精神に呆れたのも事実、全てひっくるめてるせさんに感謝だった。その後、ところで何故なるせの猫がここに、という話に戻り状況を説明する。
「なるせくんが透明ポーション?何に使うんだろ…。」
「え〜あいつなら、なんかやましいことに使うんじゃね。透明ポーションってそういうイメージしかないし。」
「や、やましいこと!?ほんとにやめろ、マジどんなイメージ持ってんだよ。」
「はい??ぺんさんは一体何を想像したんだい。」
「──────ッ!?(笑)」
るせさんに良くないレッテルが貼られてそうだが、だからと言って本当の理由、前言撤回出来るような嘘は言えない。俺が何かしら話せば野暮になるな、と思い2人の会話を聞きながら白猫を撫でた。依頼された透明ポーションは、まだ彼女の元に行き届いていない。つまり、行き届くまでが俺の仕事だとすると、隠し通すのが筋である。
(後、魔女は昔からおっかないと言われてるからな。時が満ちるまで余計なことはせず、俺なんてもんは黙っておくのさ。)
緩やかな談笑は、目覚めた猫の伸びでピタリと止まった。らっだぁとぺんさんの目はそれを捉え、お互い遊びたそうにしている。まだまだ楽しくなる予感がして、俺はつい吹き出してしまった。さて白猫さんよぉ、次は何をして遊ぼうか。
「透明ポーション…?何に使うか、ってごめん。俺聞いていいやつ?」
『……あ〜、まぁぐっちゃんだから言うわ。塩の研究をすること自体、俺はおもろかったから全然良かったんだけどさ。やっぱ合ってるかどうか確かめる為には、完成する度に舐めなゃいけないんよ。塩ってやっぱ身体に良くないんだね。
……え〜、めっちゃ浮腫みました。グギッ(笑)
いや〜マジ太ったんかってくらい浮腫んでさ、しかも数日経っても何故か治んないの!!もぉ〜、マジで勘弁してくれ。……って訳ですな。塩を届けに行くのもそうだけど、らっちゃんとぺいんとに渡したいものあるんよね。でも、あいつら俺見て絶対馬鹿にしてくるじゃん?なんで、ぐちっぽ!マジめちゃくちゃ良い透明ポーション頼むわ。』
「なるほどね(笑)マジで任せなよ。」
『あ?笑ったか今?馬鹿に、したか?』
「違う違う、してないしてない。」
『そうだよな?言葉には気をつけな、危うく魔女のFireballが出るとこだったぜ。』
「ほんとに危ない、それは。」
『まぁ、笑ってくれても別にいいんだけどさ、外に出慣れてないってのもあるんで、とりあえず頼んます。』
「はーい。」
水晶から音沙汰がなくなり、俺は一息つく。窓の外を見れば、今日は月が満ちる日だったようで、思わず感嘆の声が漏れた。研究室は月光に照らされ、まるで模様替えをしたかのように印象を変える。しかし、キラキラと浮遊するものが埃だと気づいてしまい、早く片付けないと、と今度はため息が出た。月は、幻想的な美しさを持っているのによく雲に隠れてしまう。あれは雲が悪いと思っていたが、案外そうじゃないのかもしれない。欠けているのを見られたくなかったり、あえて俺らを照らさないようにしたり。隠れたがるのは魔女も月も似てるな、そう呟いて俺は水晶に布をかけた。