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本当にお久しぶりです……( ˊᵕˋ ;) 気づけばフォローをしてくださっている方が380を超えていて、♡も沢山頂いていて…。本当にありがとうございます🫶こんなに自由奔放な創作を見て頂き、感謝してもしきれません。このシリーズは、次回最終回の予定です!早めに出せるよう頑張ります!
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︎︎⚠︎︎注意⚠︎︎
・ご本人様方には一切関係がない
・捏造、妄想要素が激しい可能性あり
・特徴を捉えきれていない部分が多々あり
・恋愛要素はないが友情的てぇてぇ要素が多い?
・【Potion Craft】というゲームをオマージュしている設定、名称が多い。
※GTAの役職も人物設定に関与している
・投稿頻度がノロマかつ不定期
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行ってらっしゃいませ✩.*˚
「ぐちーつ、解毒ポーションって作れたりする?」
「ん、解毒ポーション?まぁ、全然作れなくはないけど……。」
お疲れ気味なぺんさんは、珍しいほど深刻な顔でそう尋ねてきた。何かあったのか、と詳しい事情を聞きたいところではあるが、まずは質問に答えようと情報を整理する。解毒薬及び解毒ポーションを作るには、植物由来か動物(魔物含む)由来かなどの成分を調べるため、患者から採血をしなければならない。毒の症状とパターンが目に見えるほど違うため、わざわざ調べなくても分かりはするが、後遺症を残さず治すには必要な過程である。
(たいていの毒はヒール、一部の特質的な毒は市販の【万能解毒薬】で綺麗さっぱり治せちまう。最近は、マジでどうにでもなるんだよな~。)
と、ここら辺の内容は、治癒士になる際に学ぶ基礎中の基礎。修道院の院長になるほど優秀なぺんさんが、知らないはずがないのだ。
つまり─────、
「ぺんさん、まずは言わんと。これまで何があったか、今何が起きているのか。」
「あぁ、そっかごめんね。えっと…、あれは1週間前の話かな?」
概要を聞いてみると、俺の予想は大体合っていた。修道院にやってきた騎士団を始め、多くの人たちが見たことの無い魔物に噛まれ、妙な毒症状を訴えているらしい。彼の強大なヒールでも万能解毒薬でもどうにもならない、初見の毒が巷で流行っているというのだ。
(てなると、採血して毒成分を分析して、一から研究をする必要があるな……。)
「一応、万能解毒薬で多少の症状は治まったんだけど、神経麻痺とか魔力中毒っぽい感じの後遺症も残るみたいで、修道院で様子を見てるって感じ。」
「俺も実際毒喰らってみたけど、やっぱ個人差あるくね?普通の毒より痛くなかった気するわ。」
「後遺症もほぼないんでしょ?てことは、ワンチャンらっだぁ抗体持ってんじゃね?」
「………は、え?待て待て待て。何どうゆうこと?その、今流行ってる毒はみんな初見で、ぺんさんのヒールも万能解毒薬もあんま効かない…んだよな?」
「そうそう。ヒールするとむしろ悪化するから、めっちゃ困ってる。」
「うん…、で?それをらっだぁが喰らったってのは何?」
「いや、まぁかくかくしかじかあって毒喰らっちゃったんよ。でも、命に関わるような感じではなかったし、蚊に刺されてずっと痒いみたいな感覚で…。」
「お前例え下手すぎだろハハッ(笑)」
「え、だいぶ的を得てたくね?」
「いや、俺は毒喰らってないからあんま分から」
「はい、らっだぁさん採血しまーす。今すぐこっち来い、てめぇこら。」
えちょっと心の準備が!とかいう男をぺんさんに押さえ付けてもらい、俺は問答無用で血を抜く。鼓膜の替えは常備しているので、いくら近くで大声を出されても意味は無い。そして、結構な血を抜き終えると、らっだぁはげっそり肩を落とした。
「ほらよ、てめぇは栄養たっぷりなバナナでも食っときな。」
とぅーんにもお礼としてバナナを渡し、水晶でるせさんに連絡を入れる。初見の毒を攻略するなんてこんなスリルは、今まで味わったことがない。
(解毒ポーション、絶対やりきってみせるぜ。)
先ほどの温度感とは裏腹に、3人(+1)は真剣に話し合う。王都の図書館から得た古の薬学や魔女の知恵を存分に咀嚼し、今回の毒とヒールの因果関係を考察する。従来の毒と何が違うか、症状に個人差があるのは何故か、とにかく沢山考えた。そして、らっだぁの血液から分かったことも、とぅーんが診てきた患者の証言も、るせさんの特製スープも、徐々に線で繋がっていく。
「特製スープって……あ!この前飲まされた不味いやつ!」
『オォーイ!!不味いって言うな。』
「いやでもなるせくん、あれは普通に美味しくなかったよ。」
『オォーイ!!!!だから、本人を前に言うんじゃねぇて。傷つくだろうが。』
「いやまさか、あのスープにるせさんの魔力が入ってるとはねェ~。あれ、でもそんなことしたら【魔女の寿命】やばいんじゃ?」
『ん〜いいよいいよ。無事研究の成果が出たし、そんなに長く生きててもお前らがいない時間増えるだけだし。』
「「おぉ〜〜。」」
「あのなるせがデレましたな…。」
水晶越しだからってあんま調子乗んなよ、と何かが飛んできそうだったが、どうにか彼女をなだめる。特製スープとは、この前るせさんの差し入れとして俺らが飲まされたものなのだが、魔女が蓄える魔力(寿命)が入っていた。俺らみたいな魔法を扱う一般市民は、基本的に空気中にあるマナをエネルギーとして使う。魔力はその上位互換で、人体にはあまり馴染まずむしろ悪い影響を与えてしまうのだ。では、そんなものを飲んで俺らは平気なのか?と疑問に思うだろう。実際俺も思った。しかし、るせさんは長い間、自身の魔力と人体に順応性の高いマナを混ぜて、1人でも多くの人間に魔法を扱ってほしいと研究し続けていた。俺も色々なマナポーションを提供したり、マナの循環や魔法発動の原理を共有したりしていた。そのため、薄ら彼女の研究内容は知っていたが、まさか自分の寿命を削ってまでやっているとは思うまい。
「さて、そろそろ解毒ポーション作りますか。」
「マジでやろう、こんな雑談をしている場合ではない。もう全く~本当になるせは。」
『ええ~!?なんか俺のせいみたいになってる!?えぐい。』
「ぐちーつ俺も手伝うぜ!あ、あの、火とか使うのはちょっと怖いから無理だけど…。」
〈解毒ポーションの作り方〉
①臼にマナポーションの材料(魔女キノコ、メイズベリー)を入れてすり潰す
②水の入った大なべに①を入れる
③大スプーンでかき混ぜる
④ ふいごを使って軽く熱す
⑤ ひしゃくで水を足して微調整
⑥臼にドロイドのローズマリーとマッドシュルーム、霜サファイアを入れてすり潰す
⑦大なべにいれてかき混ぜる
⑧ 太陽の塩を少量加える
⑨ふいごを使って一気に熱す
⑩微量の冷却・保存魔法をかけたびんに移す
⑪コルクで栓をしてラベルを貼り付けたら完成
毒(らっだぁの血液)を調べた結果、魔力と似たような成分が混じり全身を巡っていると分かった。そして、魔法を扱えない人と扱える人、らっだぁでそれぞれ個人差があったのは、体内にあるマナや魔力量に違いがあったからだ。
(この解毒ポーションは、毒に対抗出来る薬草の成分と魔力と調和出来るマナの量を同時に供給出来るように調合してみた。これで魔力による後遺症も残らないし、ワンチャン魔法も扱えちゃうな!)
という冗談はさておき、人や症状によってマナの量や使用する薬草、ポーションの種類は変えなければいけない。また、毒に含まれている魔力はあくまで悪性、魔法が扱えるようになるなんてこともないのだ。ちなみに、俺が本当に大変なのはここからで、今はやっとスタートラインに立てたってだけだ。とりあえず、ポーションを調合するのに必要なものを紙に書き出し、簡易セットと材料を揃えておく。窓から日の光が差してきたところで、奥で寝ている誰かが目を覚ました。唸る声や影になっている身長的に、こちらに来ているのはらっだぁだろう。
「ぐちつぼ~、少しでもいいから寝な~?」
「あぁうん、分かってるよ。その前に、飲ませたポーションどう?効いてる?」
「……ん?あ、寝る前に飲んだいつものポーションね。毒のちょっと後味悪い感じは完全になくなったし、疲労も回復したよ。ほんとありがとね~。」
「良かった良かった。お前はいつものやつで、マナ調整すりゃいけそうだったからよ。」
「ぺんさんは…どうする、起こす?」
「いや、俺も2時間くらい仮眠しときたいから、みんなで寝ようぜ。」
「よいしょ~、じゃあ2度寝かましまーす。」
起きたらポーションを調合する簡易セットを抱えて、修道院の患者たちを治療しに行かなければいけない。引き続き忙しくなりそうな明日を想像しながら、俺は重たい瞼を閉じた。
(らっだぁ視点)
「えっと、もうそろ起こさなきゃなんだよね?」
「そうしたいとこだが…。」
「…うん。こんなぐっすり寝られると、無理やり起こすのは可哀想というかなんと言うか…。」
ふと散らかった机の上に目をやると、開かれたページには〈解毒ポーションの作り方〉とその〈概要〉がある。昨夜、俺らが話し合った内容もしっかり書き留められていて、相変わらず真面目だなと感心した。2人で熱心にそれを読み進めると、あることに気づく。それは、ポーションに頼らずとも魔法陣を組みかえたり、ヒールのマナ量を調整したりして唱えれば治せるのでは、ということだった。彼の分析能力があってこそ毒の性質を理解し、神聖魔法(ヒール)の応用方法に気づけたのだ。
「一旦、俺らでも考えてみない?ぐちーつの睡眠時間を延長すると思ってさ。」
「めっちゃアリ。なんか多分いけそうよな。」
そうして、王都の図書館と修道院にある使えそうな書物ありったけ持ってくるわ、と言って飛び出すぺんさんを見送り、俺はポーション屋に残った。ずれ落ちそうな彼のブランケットをかけ直し、隣でもう一度ノートを見返す。夜通し頑張ったぐちつぼと交代して、今度は俺らが出来ることをする番だ。たとえこれが失敗しても、ぐちつぼの負担を減らす方法なんてきっといくらでもある、というか無理やり探し出すつもりだ。
「ゆっくりおやすみ。」
そう声をかけてみると、彼は微かに笑った。